1棟マンションの賃貸経営における最終目標は収益最大化です。その中でもコスト削減はその収益最大化のために欠かせないピースの一つといえるでしょう。しかし「今まで発生していたコストが適正」と思いこんでしまっているオーナーも多いのではないでしょうか。交渉すれば削減できるコストをそのままにしてしまっているのでは非常にもったいない状態です。
共用部のLED化や給水ポンプの省エネ化などお金をかけて設備投資を行うことで実現するものやお金をかけずに無料で実現できてしまうコスト削減もあります。これらの知識の有無や行動するか否かの違いだけなのです。そこで今回はコストをかけない1棟マンションのコスト削減方法に絞って具体的な方法を解説します。
共用部電気料の削減
共用部電気料金の削減は大きく分けると2つ手法があります。1つ目の手法は電力会社を公共電力から新エネ会社に変更することによるコスト削減です。2016年4月1日以降は電力自由化されているため、公共電力だけでなく他の会社とも電力契約ができます。東京電力から「ハルエネでんき」へ契約を変更しただけでそれ以前の共用部電気料と比べて10%程度電気料金が下がった事例があります。
ここからは補足になりますが、この新エネ会社への契約変更とセットで提案されるのが共用部電灯のLED化です。通常であればLED化には初期投資が必要ですが5年間リースしその後所有権が自分に移るという形式にすることもできます。その場合、月額当たりのリース料より新エネ会社への契約変更とLED化による共用部電気料削減金額のほうが大きければ実質手出しなしでコスト削減できたことになります。
そのためコストをかけずに電気料を削減したい人はぜひ検討してみてください。もう一つの方法は、電気料金の契約アンペア数を下げることにより電気料金を下げる方法です。契約アンペア数は最大使用電気量によって調整が必要な数値になります。しかし最大使用電気量が大きいほど契約アンペア数を大きくしておかないとブレーカーが落ちてしまうのです。
そのため現在の電気使用状況を調査し適正な契約アンペア数を把握することから始めましょう。もし現在の最大電気使用量に対して契約アンペア数の設定値が大きすぎる場合は、契約アンペア数を下げることにより電気料金が下がります。
建物管理費用の削減
次に建物管理費用の削減です。RC造1棟マンションを購入した場合、以下の建物管理費用がかかることが多い傾向です。
- エレベーター保守・点検費用
- 定期清掃費用(年に1回程度の大規模な清掃)
- 日常清掃費用(月に数回程度の定期的な清掃)
- 消防設備保守・点検費用
- 貯水槽保守・点検費用
- 緊急事態対応費用
管理会社に管理委託をしている場合、その管理会社と連携している上記保守・点検などを行っている会社と個別に契約を行います。レポート受領や各会社への支払いは管理会社が行いオーナーへの請求は管理会社よりまとめて1本で来るケースが多い傾向です。この各種保守・点検の業者についてクオリティを下げずに委託業者を変えることによってコストダウンすることができます。
例えばエレベーター点検の種類は「フルメンテナンス契約(FM契約)」「POG(Parts Oil Grease)契約」の2つです。フルメンテナンス契約はトラブルが発生した場合の部品供給なども無償で行ってくれます。しかしPOG契約は軽微な内容を除き部品供給は都度コストがかかるのが特徴です。そのため一般的にフルメンテナンス契約のほうがPOG契約より料金が高くなります。
しかし実際はフルメンテナンス契約の業者は自分たちのコストを減らしたいのでよほどのことがない限り部品供給などしてくれません。必要ないと主張してきます。そのためフルメンテナンス契約になっている人はPOG契約に切り替えることによりそこまでクオリティを下げることなく建物管理費用を削減することができます。
管理委託している場合は、管理会社に協力してもらう必要があり強く主張すれば動いてくれる管理会社が多いため、ぜひコスト削減を訴えてみてください。
賃貸管理手数料の削減
最後に賃貸管理手数料の削減です。賃貸管理手数料は3~5%で設定されることが多いですが、この数値に明確な基準はありません。普通に考えると5%の手数料を取っている会社のほうが3%の手数料を取っている会社よりクオリティの高いサービスをしていると思いがちです。しかし現実は必ずしもそうとは言えない一面もあり同じ管理会社であってもオーナーによって手数料が違うことも少なくありません。
賃貸管理手数料の手数料割合削減に効果があるのは、他社の見積もりを提示することです。他社で取得した安い見積もりを武器として「現在の管理手数料をその割合まで下げてくれなければ管理を切り替える」という流れで交渉をしていけば3%までなら下げられる可能性があります。3%以下で管理を行っている会社も耳にすることがあるかもしれません。
しかしリフォーム業者は「指定の業者しか使ってはいけない」「広告費を多めに支払わなければならない」など縛りがあるケースもあるため、そういったデメリットも加味して慎重に検討するようにしましょう。(提供:YANUSY)
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