FOMC経済予測に注目 ナスダックの調整度合いの見極めも重要

今週は重要イベントが目白押しだ。14日の自民党総裁選投開票のあと16日に臨時国会が召集され首相指名選挙が行われる。金融政策面では15-16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)、16-17日の日銀金融政策決定会合と続く。しかし、自民党総裁選はほぼ市場に織り込み済みで日銀会合も材料にはならない。最大の注目はFOMCだ。終了後に声明発表とパウエルFRB議長の記者会見、経済予測の公表がある。今回のFOMCでフォワードガイダンスの変更を含む政策変更はないとの見通しが大勢である。ただし、経済予測で2023年まで利上げしないことを示すだろう。それに関してパウエル議長は記者会見で説明し、早晩フォワードガイダンスを変更することを告げるだろう。ポイントはそれを受けた市場の反応だ。ハト派的との受け止めが広がれば、ハイテク株の切り返しにつながる。日本株は米国株が下げても追随しなくなっているが、米国株が反騰すれば日本株の追い風になるのは無論である。

金融政策の変更はないが、改めて緩和継続が意識されやすい地合いとなるだろう。FOMCは上述した通りだが、日銀のほうも菅政権誕生で黒田総裁続投、異次元緩和路線継続を確認することになる。菅氏は日経新聞のインタビューで、異次元の金融緩和は黒田氏を任命する時から関わってきたと言及。金融緩和も継承したいと答えている。加えて、菅氏は「状況を見て必要があれば金融政策をさらに進めていきたい」と発言するなど追加緩和を念頭に置いていると見られる。菅氏が首相に指名されれば市場では追加緩和の思惑が高まるだろう。

リスクはなんといってもナスダックの調整度合いである。ずっと下値サポートとして機能していた25日移動平均を下回り50日の移動平均もサポートにならなかった。次に75日移動平均でも止まらない場合、3月の大暴落直前と同じパターンと意識されやすい。

ナスダック
(画像=Bloomberg)

もちろん環境がまったく異なるのだが、テクニカルだけで判断する投資モデルがあるとすれば、そうした主体からの投げ売りがかさむ可能性があるので要注意。

今週の予想レンジは2万3100円~2万3800円とする。

広木隆 広木 隆(ひろき・たかし)マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
上智大学外国語学部卒業。国内銀行系投資顧問。外資系運用会社、ヘッジファンドなど様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任。長期かつ幅広い運用の経験と知識に基づいた多角的な分析に強み。2010年より現職。著書『9割の負け組から脱出する投資の思考法』『ストラテジストにさよならを』『勝てるROE投資術

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