日本人の平均寿命が延びて人生100年時代といわれるようになったいま、リタイア後、収入がなくなってからの時間がどんどん長くなっています。その長い老後の生活を支えるには公的年金だけでは十分といえず、預貯金などの資産を十分に確保して備える必要があります。その資産形成、何に投資して、どう増やしていけばいいのでしょうか。

人生100年時代が現実にそこまで近づいている

資産運用
(画像=hiroyuki/stock.adobe.com)

厚生労働省の『簡易生命表』によると、2019年の日本人の平均寿命は、男性が81.41歳で、女性が87.45歳です。この平均寿命というのは、現在0歳の人があと何年生きるかという平均余命ですが、年齢別でみると、女性40歳の人の平均余命は48.11年ですから、88.11歳まで生きる可能性が高く、さらに70歳の平均余命は20.21年ですから、平均すると90.21歳まで生きることになり、80歳の平均余命は12.01年なので平均92.01歳まで生きる計算です。

文字通り、人生100年時代がそこまできているといった印象ですが、そこで気になるのが老後の生活です。定年年齢が引き上げられているとはいえ、リタイア後も20年、30年と生活していかなければなりません。そのため、老後の生活に不安を感じる人が増えています。

公益財団法人生命保険文化センターでは、3年に1度、『生活保障に関する調査』を行っています。そこで老後生活への不安やその対処法などを調査していますが、安心して老後を迎えるための参考になるデータが多くなっています。

8割以上の人が老後の生活に不安を持っている

まず、老後生活に対する不安の有無を聞いたところ、2019年の調査では、「非常に不安を感じる」「不安を感じる」「少し不安を感じる」の合計が84.4%に達しています。20年ほど前の1998年の調査では、その数字が79.9%だったことから、不安を感じる人の割合は年々高まっています。

2019年の調査はコロナ禍以前ですから、これがコロナ禍後の2020年に実施されていれば、不安を感じる人の割合は高くなっているのではないでしょうか。

では、何に不安を感じているのかといえば、経済的な不安が大部分を占めています。最も多かったのは、「公的年金だけでは不十分」82.8%で、次いで「日常生活に支障が出る」57.4%、「退職金や企業年金だけでは不十分」38.8%、「自助努力による準備が不足する」38.5%などが続いています。

年をとることによる心身の衰えへの不安もあるものの、多くは経済的な不安が占め、十分な準備を行うには、時間が不足しているという声もあります。

国民年金だけの人は特に自助努力が大切に

では、その「公的年金だけでは不十分」とする公的年金は、いったいどれくらい出るものでしょうか。日本年金機構によると、2020年度の年金支給額は自営業などの国民年金加入者が6万6,141円で、厚生年金加入者が22万724円です。これは、40年間就業して、キチンと年金保険料を納めてきた人で、そんなに受け取れない人も少なくありません。

しかも、年金制度の収支は極めて厳しい状態に置かれているので、今後は支給額が減っていくことになるのは間違いありません。それに対して、生命保険文化センターの調査では、老後の生活にいくら必要と考えているかを聞いています。その結果、「最低の日常生活費」の平均は月に22.1万円で、「ゆとりある老後生活費」は月に36.1万円となっています。

国民年金の給付額ではとても足りません。不動産投資を初めとした資産形成による自助努力が極めて重要になります。厚生年金でも最低の日常生活費にギリギリです。とても、ゆとりある老後生活費ではありません。やはり公的年金だけに頼っていては十分といえません。

3人に2人は公的年金以外の準備を始めている

そのため、多くの人が自助努力によって公的年金を補う対策を実行しています。生命保険文化センターの調査によると、65.9%の人が「準備している」としており、ほぼ3人に2人は何らかの形で公的年金を補う対策を実行しています。

そこで、実際に老後生活をまかなう手段を質問したところ、「公的年金」が86.7%とトップですが、それだけでは足りないことは先に触れた通りです。そのため、「預貯金」(69.6%)、「企業年金・退職金」(41.9%)などが続いていますが、いずれもローリスク・ローリターンの安全性を重視した、利回りの極めて低い商品などが上位に挙がっています。超低金利時代のいま、「預貯金」などは0%台の定期預金などが多く、高くても1%、2%止まりです。

年利1%としても、100万円の元金だと10年で約108万円、20年で約118万円に、30年でも約128万円にしか増えません。これでは老後の生活を支える資金をつくるのには物足りないといわざるを得ないでしょう。

不動産投資の利回りは景気に左右されにくい

それに対して、ハイリスク・ハイリターン型の株式投資を中心とする「有価証券」は8.2%にとどまり、ミドルリスク・ミドルターン型の「不動産による収入」も5.8%と低い水準です。

株式投資の場合、狙いが当たれば10年で2倍、3倍になることもあるでしょうが、反対に投資先が倒産すれば、株券は紙切れ同然になることもあり得ます。大切な老後資金をそんなリスキーな商品で運用するのは考えものです。

その点、不動産投資は安定しています。経済状況によって、地価や不動産価格の暴落リスクがないとはいえませんが、それでも実物資産のため株券のようにゼロになってしまうことはありません。地価や不動産価格が下がっても、賃貸相場はそう下がりません。景気が悪くなっても、人には住む場所が必ずいるため、テナントがいなくなることはありませんし、賃料相場も安定しているのです。業界関係者の間では、「家賃相場は粘着性が高い」といわれています。一度形成された賃料相場は、よほどのことがない限り急速に変化することはないわけです。

もちろん、賃貸住宅ですから20年、30年が経過すれば老朽化が進み、設備も古くなってきます。放置しておくと賃料の低下や空室リスクの上昇につながりますが、当初から万全の維持管理を行えば、老朽化の速度を限りなく遅くして、賃料を維持することが可能になります。そんな物件を吟味して投資すれば、安定した家賃収入で老後の生活を支えてくれるはずです。(提供:YANUSY

【あなたにオススメ YANUSY】
副業ブームの日本!サラリーマン大家になるなら覚えておきたいこと
2019年以降の不動産投資は「コミュニティ」が欠かせない
賃貸業界の黒船になるか。インド発のOYOの実態
不動産所得での節税に欠かせない必要経費の知識
賃貸管理上でのトラブル対応術とは?