国際決済銀行(BIS)は現地時間9日、7つの中央銀行と共同で中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する調査報告書を公表した。

本取り組みに参加した中央銀行は、日本、米国、カナダ、欧州連合(EU)、スイス、英国、スウェーデンの7行だ。

CBDC
(画像=月刊暗号資産)

報告書によると世界の中央銀行の80%は、現在CBDCのような新たな貨幣システムの調査に取り組んでおり、そのうち半数は概念的な調査を経て試験的な運用を開始しているという。

本調査報告書に協力した7ヶ国の中央銀行はこの試験的な運用によって得られた情報を集約および調整するために集まっており、CBDCに興味を示す中央銀行の動機を検証し、政策への影響や機能設計について説明しているとのこと。

なお、本報告書の目的はCBDCの発行を促すものではなく、調査報告書の作成に協力した7行はどれもCBDCの発行に関する意思決定はしていない。

本調査報告書に協力した中央銀行の動機は、決済手段としてのCBDC利用や金融政策ツールの強化などが挙げられるが、現状CBDCの設計で全ての動機を同時に実現することは難しく、トレードオフ(一得一失)を必要とする可能性が高いとしている。

また中央銀行は、管轄区域における金融とその安定のために独自の要件や状況に応じて対応を行なっているが、CBDC発行には共通の基本原則があり、それを踏まえた上で検討をする必要があるとしている。

基本原則は「中央銀行は通貨および金融の安定性を妨げない」「既存の決済通貨と共存させる」「エンドユーザーへのサービス革新と効率化を可能にする」の3つだ。

これらの基本原則を満たすために、14の核となる特徴も同時に報告されており、その中には「通貨の単一性を維持するために、CBDCは現金と同等の価値交換をしなければならない」「CBDCの支払いは簡単にできる必要がある」「中央銀行はCBDCを発行する明確な権限を持つべき」などがある。

報告書ではBISと中央銀行が協力し、今後も調査を継続していくとしており、特にトレードオフや核となる機能の実用的な深掘り、クロスボーダー取引における課題についても理解を深めるため、中央銀行間の情報共有と協力を要請するとしている。(提供:月刊暗号資産