2027年度、東京駅日本橋口前に新たなシンボルが誕生します。三菱地所がすすめる東京駅前常磐橋の再開発プロジェクト「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」のエリア内に建設予定の「Torch Tower(トーチタワー)」が、日本一の高さ(390メートル)を有するビルになると話題を呼んでいます。コロナ禍でオフィスを縮小・廃止する企業が増える中、トーチタワーに勝ち目はあるのでしょうか。

トーチタワーについて

日本一高いビル
(画像=beeboys/stock.adobe.com)

三菱地所が2023年度に着工を予定するトーチタワーは、屋外空間併設の展望施設、約100室の国際級ホテル施設、大規模ホール、オフィス、店舗を備える大規模ビルです。高さは390メートル、2027年度に完成する予定です。ビルの高さは、現在1位の「あべのハルカス」(300メートル)、2位の「横浜ランドマークタワー」(296メートル)を大きく上回ります。

トーチタワーの上部は松明(たいまつ)をイメージさせる形状の展望施設。完成後は、東京を照らす灯りのようなビルになるでしょう。地下鉄コンコースと直結しており、天候に関係なく東京駅・大手町駅にアクセスできるのも魅力です。

ビル内の電力は環境への負荷を軽減するため太陽光、風力、水力を使う再生可能エネルギーを利用し、災害時には帰宅困難者を支援するとともに、復旧活動の拠点となる機能も有しています。

トーチタワーの横並びにもビルが

トウキョウトーチ内には、トーチタワーのほかにもう1つのビル・常磐橋タワーが誕生する予定です。2021年6月末に完成予定の常盤橋タワーは、地上212メートル、地上40階建てのビルで、こちらはオフィススペースを主としています。

トーチタワーと常盤橋タワー、2つのビルで多くのオフィススペースがつくられます。コロナ禍でオフィスの縮小・廃止が続く中、果たしてこの2つのビルのオフィスに需要はあるのでしょうか。

東京のオフィスの空室率は上昇 オフィスは必要なのか

コロナ禍で完全リモートワークを選択し、オフィスを解約する企業も出てきています。東京のオフィス平均空室率は2020年4〜9月で上昇している状況です。しかし、コロナは不動産業界にマイナスの影響を与えるだけでなく、新たなチャンスを生みそうです。

コロナでオフィスから人が消え「オフィスは本当に必要か」「これからのオフィスの役割とは何か」を企業が模索している中で、オフィスに求められる価値が変わりつつあります。

在宅勤務で見えたオフィスの必要性

業務の一部または全部をリモートワークにする企業が増加した2020年。オフィスを縮小・廃止する企業がある一方で、オフィスに新たな価値を見出した企業もありました。

サムライト株式会社は、オフィスの価値を「従業員が集い協働する場所、イノベーションやクリエイティブを生み出す場所」と再定義して本社オフィスを移転しました。

業務のリモート化が進む中で、懸念すべきは「社員同士のコミュニケーション不足によるイノベーションの停滞」です。イノベーションは、何気ない雑談や偶然から生まれます。社員が在宅勤務で予定された仕事をこなしているだけでは、偶然によるイノベーションは生まれにくくなってしまうのです。イノベーションが停滞すれば、企業も成長しないでしょう。

オフィスの形態が変わる

オフィスに求められる価値が変われば、オフィス内のレイアウトや広さも変わります。

ソーシャルディスタンスを意識すれば、デスクとデスクの距離をこれまでよりも広く取らざるをえません。コロナ以前と同じ人数でオフィスを利用したいのなら、より広いオフィスに移転しなければならない企業も出てきます。社員同士のコミュニケーションを活性化する場所を新たに作るためにも、これまでよりも広いオフィスが必要になるはずです。

新しいオフィスに移転する企業も増える?

アフターコロナでは、ビジネスパーソンは再びオフィスに集まると考えられます。ウィズコロナではオフィスを縮小した企業も、アフターコロナではコロナ以前よりも広いオフィスに移転するケースもあるかもしれません。短期的には楽観視できないオフィス需要も、長期的に見れば回復していくでしょう。新たな東京のシンボルとなるであろう、トーチタワーの灯りが消えることはなさそうです。(提供:YANUSY

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