東京スター銀行は個人向けのユニークなサービスで知られる銀行のひとつだ。具体的にどんなサービスを展開しているのか興味のある人も多いだろう。今回は東京スター銀行の金利や手数料や独自の金融サービスなどについて解説する。

1.東京スター銀行の特徴

東京スター銀行,手数料,金利,メリット,デメリット
(画像=Urupong/stock.adobe.com)

そもそも東京スター銀行とはどのような銀行なのだろう。

東京スター銀行は個人向けサービスに注力する地方銀行

東京スター銀行はネット銀行というイメージを持つ人もいるかもしれないが、第二地方銀行に該当する。第二地方銀行はほかに神奈川銀行や名古屋銀行などがあり、地域の特徴にあわせた金融サービスを展開するのが主な役割だ。

東京スター銀行は個人向け商品に力を入れている。円預金以外にも外貨預金・各種ローン・投資信託などさまざまなラインアップがある。提携ATMの利用手数料や他行宛て振込手数料もネット銀行と同様に無料の回数が設けられているので、お得に利用できる。

東京スター銀行は地方銀行でありながら、ネット銀行に匹敵するサービスを提供している点で独自性のある銀行といえる。

東京スター銀行の親会社は台湾CTBC Bank

東京スター銀行の親会社はCTBC Bankであり、台湾で最大規模の民間金融機関だ。合計15の国と地域、115拠点にグローバル展開をして成長を続けている。(2020年10月現在)

東京スター銀行およびCTBC Bankでは両社の関係を生かし、台湾への事業進出をサポートするサービスも提供している。現地での口座開設、課題解決のための金融ソリューションを提案する。主な対象は日本国内の中小・中堅企業であり、海外進出のノウハウのない企業を支援する役割を果たしている。

2.東京スター銀行を利用する8つのメリット

東京スター銀行を利用すると以下のような8つのメリットがある。手数料がお得になったり金利が高くなったりするので要チェックだ。

東京スター銀行のメリット1……ATM手数料が月8回まで実質無料

東京スター銀行のATM手数料は以下のとおりだ。

東京スター銀行 回数制限なしで無料(時間帯制限あり)
セブン銀行 月8回まで実質無料
ゆうちょ銀行
都市銀行・地方銀行・
信用金庫・信用組合(出金のみ)
MICS提携ATM(出金のみ)
※2020年10月現在
※銀行の公式サイトをもとに筆者作成

東京スター銀行の提携ATMであるセブン銀行やゆうちょ銀行などでは、月8回まで無料でATMを利用できる。ほかのネット銀行では一定の預金残高などの条件を求められることもあるが、東京スター銀行なら条件なく無料で利用できる。

セブンイレブンや郵便局が近くにあり、毎月8回までの利用で十分という人なら、東京スター銀行が便利だろう。

ただし都市銀行・地方銀行やMICS提携ATMなどは出金のみに限られている。さらに入金には利用できないことも注意しよう。

東京スター銀行のメリット2……インターネットバンキングの利用で他行宛て振込手数料が月3回まで実質無料になる場合も

東京スター銀行の窓口やATMを利用して他行宛に振り込む場合、手数料はかかるが、インターネットバンキングである東京スターダイレクトを利用すれば他行宛て振込手数料が無料になる場合がある。

口座取引明細書の郵送あり なし
口座取引明細書の郵送なし 月3回まで無料
※2020年10月時点
※銀行の公式サイトをもとに筆者作成

東京スター銀行では、スターワン口座での口座取引明細書の郵送の有無で手数料無料の回数が異なる。郵送なしにするだけで他行宛の振込手数料が月3回まで無料になるので、忘れずに設定しておきたい。

口座取引明細書が郵送されなくても、インターネットバンキングを使えば取引明細をチェックできるので問題はない。紙で管理する必要がなくなるので、ペーパーレスに抵抗のない人なら利便性が高まる。

東京スター銀行のメリット3……普通金利預金が最大0.1%

東京スター銀行の普通預金であるスターワン円普通預金の金利は、通常0.001%でほかの銀行と変わらない。しかし東京スター銀行を給与受取口座にすると、100倍の金利0.100%になる。

東京スター銀行の金利を0.100%にするための具体的な手順は以下のとおりだ。

1.スターワン口座を開設
2.勤務先に給与振込口座の変更依頼を提出
3.原則として、給与振込があった翌月の第5営業日から金利が100倍になる

金利100倍の対象はパート・アルバイトの給与も含まれる。東京スター銀行に届け出を提出する必要はないので手続きの手間も省ける。

東京スター銀行のメリット4……スターワン円定期預金プラスの金利が最大0.20%

東京スター銀行では定期預金の金利が最大0.25%と高く、まとまった資金を預けるのに向いている。最低預け入れ金額は300万円で、期間は1・3・5年から選べる。入金方法は店頭またはテレホンバンキングに限られる。

最大である0.20%の金利にするには、以下の条件をクリアして「コース2」が適用されることも必要だ。

・新規口座開設された方(開設後3ヵ月以内の方まで対象)
・当行を給与振込口座に指定されている方
・当行を年金受給口座に指定されている方
・外貨預金および投資信託を合計500万円以上保有されている方
・ローン商品(無担保ローンを除く)を保有されている方

なお条件をクリアしなくても「コース1」であり、0.15%と比較的高めの金利が適用される。

東京スター銀行のメリット5……米ドル建ての外貨積立の為替手数料が0円

外貨積立とは、毎月決まった日に設定した金額を円普通預金口座から外貨普通預金口座に振り替えられるサービスのことだ。

東京スター銀行では円から外貨へ振り替えるときの為替手数料が無料だ。たとえば米ドルなら1ドルあたり1円の為替手数料がかかるが(店頭・テレホンバンクの場合)、外貨積立サービスを利用すれば無料になる。

東京スター銀行のメリット6……預金連動型住宅ローンがある

東京スター銀行はローン商品のラインアップも多いのもメリットだ。スターワン住宅ローンは預金連動型の住宅ローンであり、預金残高に応じて住宅ローンの利息が軽減される。

具体的には、住宅ローン残高から預金残高を差し引いた分にのみ利息がかかる。よって多くの預金残高がある人なら、住宅ローンの利息を節約できるのだ。

スターワン住宅ローンはローンの借り入れ金額に近いか、またはそれを上回る預金金額を確保している人に向いている。

東京スター銀行のメリット7……ユニークでお得な個人向け商品が多い

東京スター銀行は個人向け取引に注力しているだけあり、ユニークな個人向け商品が色々ある。たとえば短期の外貨預金として、「王様金利外貨定期預金」だ。

「王様金利外貨定期預金」の特徴は複数の通貨から選べて満期が1ヵ月と短い。そのため気軽に外貨預金を試したい人に向いている。インターネットであれば、預入金額は20万円からと比較的小規模で済むのもメリットだ。

各国通貨の金利は以下のように高い水準となっている。(※金利は2020年10月現在)

・米ドル1ヵ月もの:年利14.00%
・豪ドル1ヵ月もの:年利16.00%
・南アフリカランド1ヵ月もの:年利20.00%
・ユーロ1ヵ月もの:年利8.00%
・ニュージーランドドル1ヵ月もの:年利8.00%

東京スター銀行のメリット8……「お金の未来診断」でマネーの相談ができる

自分自身のお金が将来どうなるか不安に思う人に向けて、東京スター銀行は「お金の未来診断」として以下5種類のメニューを提供している。

・キャッシュフローシミュレーション
・資産ポートフォリオシミュレーション
・自宅の将来価値診断
・年金シミュレーション
・相続税シミュレーション

どれも多くの人が心配している領域ではないだろうか。お金の悩みや不安を相談員がヒアリングし、未来と現状のギャップを把握して解決策を提案してもらえる。

東京スター銀行の「お金の未来診断」は相談料・利用料無料なのもいい。診断を受けるには来店する必要があるので、WEBか電話で予約を入れて訪れよう。

3.東京スター銀行のデメリットや注意点

東京スター銀行は利用するメリットが多い銀行だが、以下の3点には注意しておきたい。

東京スター銀行の注意点1……無料の手数料もいったんは引かれる仕組み

東京スター銀行の手数料は「実質無料」となっていることに注意したい。東京スター銀行ではATMや他行振込の利用時に手数料がいったん差し引かれ、後日振り込まれるのだ。

翌月の第1営業日にキャッシュバックされる仕組みなので、利用者に損失は発生しないが、一時的に手数料が取られることは覚えておこう。

また当然のことながら、キャッシュバックの時点で東京スター銀行の口座を解約していた場合は対象外になる。

東京スター銀行の注意点2……ATMで他行宛てに振り込むと手数料を取られる

東京スター銀行のATMで他行宛ての振り込みは以下のとおり手数料がかかってしまう。

・5万円未満:1回あたり220円
・5万円以上:1回あたり440円
※東京スター銀行のキャッシュカードを利用する場合

振り込みに関しては、インターネットバンキングの「東京スターダイレクト」を利用するのがおすすめだ。前述したように口座取引明細書を郵送しないよう設定するだけで、月に3回までは振込手数料を無料にできる。

東京スター銀行の注意点3……預金金利は比較的高いが最高レベルではない

東京スター銀行は普通預金・定期預金とも金利が高めだが、ネット銀行での最高値というわけではない。普通預金、定期預金がそれぞれ高いネット銀行と比較してみた。

◆普通預金の金利

東京スター銀行(給与振込に指定)  0.10%
GMOあおぞらネット銀行(証券コネクト口座) 0.11%
あおぞら銀行Bank支店 0.20%
※2020年10月時点
※各銀行の公式サイトをもとに筆者作成

◆定期預金の金利

東京スター銀行 0.10%(コース1)
あおぞら銀行Bank支店 0.20%(1年)
SBJ銀行 0.20%(5年)
※2020年6月時点
※各銀行の公式サイトをもとに筆者作成

東京スター銀行の普通預金では、あおぞら銀行Bank支店やGMOあおぞらネット銀行などのほうが高い金利である。定期預金の金利も通常の「コース1」では0.10%であり、あおぞら銀行Bank支店やSBJ銀行よりは低い。

4.東京スター銀行の利用がおすすめの人

ここまで解説してきたサービスの特徴から、東京スター銀行を利用するのに向いている人についてまとめる。

ATM手数料や振込手数料を簡単に節約したい人

東京スター銀行では月8回までATM手数料、月3回までの他行宛て振込手数料が実質無料だ。しかも適用されるための制限は特になく、預金残高などの条件を気にする必要はない。

東京スター銀行は手間をかけずにこれらの手数料を節約したい人に向いている銀行だ。

セブン銀行やゆうちょ銀行のATMが近くにある人

東京スター銀行の提携ATMはゆうちょ銀行、セブン銀行などであり、ATMの実質無料回数もこれらの銀行が対象だ。ゆうちょ銀行やセブンイレブンなどが近くにある人のほうが、より便利に活用できるだろう。

なおメガバンクや地方銀行などのATMでも利用はできるが、引き出しのみに限られている。これらの場所で入金することが多い人では不便に感じるだろう。

5.メリットの多い東京スター銀行を賢く活用しよう

東京スター銀行は手数料無料の仕組みが充実していて預金金利も比較的高く、ユニークな独自商品に強みがある。これらのメリットが自分に合っていると判断したら、東京スター銀行に口座を開設してみてはいかがだろうか。

執筆・安藤真一郎(ライター・ファイナンシャルプランナー)
主に金融系ライターとして活動し、2019年に2級FP技能士資格を取得。マネージャンルで役立つ情報を、初心者にも分かりやすく解説することを心掛けています。関心分野は、キャッシュレス決済、積立投資、ポイ活、節約術など。

MONEY TIMES

【関連記事 MONEY TIMES】
人気のネット銀行10社を徹底比較 定期預金金利、普通預金金利、ATMや振込手数料など
ネット銀行を使うメリット・デメリットは?メインバンクとしてどうなのか?
日本の銀行ランキングTOP10!格付け、口座数、時価総額、自己資本比率など
SBI証券のハイブリッド預金とは?特徴やメリットを紹介
楽天証券の「マネーブリッジ」とは?金利優遇やポイント2重取りなど、メリットも紹介