日本時間8日未明にかけ、ビットコインをはじめとした暗号資産(仮想通貨)は全面安の様相となった。

きっかけとなったのは、郵便投票の影響で開票に遅れが出ていた米国大統領選挙に関する一報だ。

アメリカ
(画像=月刊暗号資産)

民主党候補のジョー・バイデン氏が、現職のトランプ大統領と接戦を繰り広げていた激戦州で勝利を次々と確実にしたことで、米メディアが一斉にバイデン氏の当選確実の報を打った。

ビットコインはいわゆる「暗号資産バブル」以来となる1BTC価格160万円台に到達し、2017年12月に記録した過去最高値更新に向け期待感が募りつつあった。しかし市場の急激な過熱感や、バイデン氏の当確に伴う米議会のねじれ等の懸念から、利確およびリスクオフの流れが強まったものとみられる。

一時は148万円ほどまでビットコインは下落したが、日本円およびドルベースで見た際の節目であったことから、サポートが働き執筆時点では160万円付近を推移している。

一方で、前週末にバブル経済崩壊以来29年ぶりの高値を更新した日経平均株価はさらに続伸を見せた。

取引開始直後から値を伸ばすと、最大で600円超上昇し、前週末比514円61銭(2.12%)高の2万4,839円84銭で取引を終えた。1991年11月5以来およそ29年ぶりの高値を更新した格好だ。

これは米国の大統領選の大勢が判明したことで、米民主党が進める大規模な経済対策が速やかに行われ、米景気の回復につながるとの期待が広がったものとみられる。

株式市場には楽観的な空気が漂っているように映るが、トランプ大統領は今回の米大統領選で不正が行われたと主張し、東部ペンシルベニア州などで訴訟を起こしていることから、同氏の動向次第では市場に混乱が生じる可能性もあるだろう。暗号資産市場においても同様のことが起こる可能性があるため、十分に警戒する必要がある。

しかし株式市場の好状況に加え、今年4月に米国民1人あたり1200ドル(約12万4,000円)の給付金の配布が行われた際のことを考えると、米経済政策を含むバイデン政権による政策方針次第では暗号資産市場へさらなる資金流入が起こる展開も大いに考えられるだろう。

暗号資産市場のみで見ても、年末にかけて価格に影響を及ぼす可能性があるファンダメンタルズが多数あるため、しばらくはボラティリティの高い推移を考慮しておく必要がある。(提供:月刊暗号資産