SBI証券の株式取引には、手数料プランが2つあります。取引ごとに計算する「スタンダードプラン」と、1日の取引金額で計算する「アクティブプラン」です。どちらが有利なのか気になりますよね。

本記事ではSBI証券の2つの取引プランを比較し、どちらのプランを選択すべきか解説します。また、それぞれの手数料プランをネット証券10社とも比較します。

SBI証券の手数料は安いのかどうか、客観的に確認していきましょう。

SBI証券の手数料は「スタンダードプラン」と「アクティブプラン」の2つ

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(画像=PIXTA)

SBI証券の2つの手数料プランの内容を見てみましょう。

スタンダードプラン:1回の取引ごとに手数料を計算

「スタンダードプラン」は、取引ごとに手数料を計算するプランです。一般的な手数料プランで、買いと売りそれぞれに手数料がかかります。

アクティブプラン:1日の取引金額の合計で手数料を計算

「アクティブプラン」では、1日の取引金額で手数料を計算します。取引金額は買いと売りの合計で計算されます。取引金額が1日100万円以下なら、手数料が無料になります。

スタンダードとアクティブ、どちらにすべき?2プランの手数料を比較

1回の取引金額に応じて決めよう

SBI証券の2つの手数料プランは、どちらがお得なのでしょうか。

取引内容によって有利なプランは変わるため一概には言えませんが、取引金額に応じてどちらを選ぶか決めるのがいいでしょう。

①少額取引ならアクティブプラン!1日100万円まではタダ
1日の取引金額が100万円以下に収まる場合は、アクティブプランを選択したほうがよいでしょう。1日の取引金額が100万円以下であれば、手数料がかからないためです。

②1回の取引金額が100万円を超えるならスタンダードプラン
1回の買いまたは売りの金額が100万円以上の場合は、スタンダードプランのほうが有利です。

例えば、1回の取引金額が110万円の取引を1日2回行う場合、アクティブプランだと1,718円かかりますが、スタンダードプランでは1,013円で済みます。

プランの変更ルール 前日までの手続きが必須

2つの取引プランは、随時変更できます。変更は毎日受け付けており、受付時間によって以下のように適用されます。

・平日23:29までの変更手続き:翌日から適用
・土日の変更手続き:翌週火曜日から適用

SBI証券の手数料をネット証券10社と比較 定額コースならSBI証券が“最安”

SBI証券の手数料が安いかどうかは、他社と比較してみないとわかりにくいですよね。ネット証券10社と比較してみましょう。

スタンダードプランは他社の1取引ごとの手数料プランと、アクティブプランは他社の定額の手数料プランと比較します。

スタンダードプラン(取引ごとの手数料)をネット証券10社と比較

まずは、SBI証券のスタンダードプランと他のネット証券10社と手数料を、取引金額ごとに比較してみましょう。

結果は以下のとおりです。最も安いのは「ライブスター証券」と「DMM.com証券」で、どの取引金額でも手数料は最安です。

SBI証券は、すべての取引金額で「GMOクリック証券」にも負けています。買いと売りの往復で考えた場合は、「LINE証券」にも負けます。

  取引金額
10万円 30万円 50万円 100万円
SBI証券 99円 275円 275円 535円
①楽天証券
(超割コース)
99円 275円 275円 535円
②松井証券
※取引ごとの手数料体系なし
③auカブコム証券 99円 275円 275円 1,089円
④岡三オンライン証券
(ワンショット)
108円 385円 385円 660円
⑤マネックス証券
(取引毎手数料コース)
110円 275円 495円 1,100~
1,650円
⑥ライブスター証券
(一律(つどつど)プラン)
88円 198円 198円 374円
⑦GMOクリック証券
(1約定ごとプラン)
96円 265円 265円 479円
⑧DMM.com証券 88円 198円 198円 374円
⑨LINE証券
(取引所取引※買いは無料)
176円 484円 484円 869円
⑩SMBC日興証券
(オンライントレード)
137円 275円 440円 880円

1取引ごとの手数料体系では、SBI証券は最安ではありません。比較してみると、SBI証券のスタンダードプランは平均的な手数料といえるでしょう。

アクティブプラン(定額の手数料)を他10社と比較

アクティブプランを比較したところ、結果は以下のようになりました。

アクティブプランは100万円まで手数料がかからないので、SBI証券が最安です。

  取引金額
10万円 30万円 50万円 100万円
SBI証券 0円
①楽天証券
(いちにち定額コース)
0円 943円
②松井証券 0円 1,100円
③auカブコム証券
※定額の手数料体系なし
④岡三オンライン証券
(定額プラン)
0円 880円
⑤マネックス証券
(一日定額手数料コース)
2,750円
⑥ライブスター証券
(定額(おまとめ)プラン)
440円 660円
⑦GMOクリック証券
(1日定額プラン)
234円 305円 438円 876円
⑧DMM.com証券
※定額の手数料体系なし
⑨LINE証券
※定額の手数料体系なし
⑩SMBC日興証券
※定額の手数料体系なし

50万円までなら手数料を無料にしている証券会社はありますが、100万円まで無料にしているのは2020年10月現在、SBI証券だけです。これは、SBI証券の大きなアドバンテージといえるでしょう。

なお「楽天証券」と「岡三オンライン証券」は、2020年中に100万円まで無料にすると公表しています。

SBI証券 その他の手数料一覧 他の商品でも手数料がかかる 

手数料がかかるのは、「株式取引」だけではありません。SBI証券の他の金融商品の手数料を確認してみましょう。

投資信託の手数料:SBI証券は「全銘柄で販売手数料が無料」

投資信託を買う際、証券会社に「販売手数料」を支払います。

販売手数料は銘柄や証券会社によって変わりますが、SBI証券では投資信託の販売手数料はかかりません。

NISAの売買手数料:SBI証券は「国内株&海外ETFが無料」

運用益に税金がかからない「NISA(ニーサ)」には「一般NISA」と「つみたてNISA」があり、株式や投資信託で資金を運用します。

つみたてNISAはどの証券会社でも販売手数料はかかりませんが、一般NISAは売買手数料がかかる証券会社もあります。

  投資先 販売手数料
一般NISA 株式、投資信託 有料の証券会社あり
つみたてNISA 投資信託 無料

その点、SBI証券は一般NISAの手数料を「国内株式」「国内の上場投資信託」「海外の上場投資信託」で無料にしています。「海外株式」以外は手数料がかからないので、安心ですね。

  投資先 売買手数料
国内 株式 0円
ETFなどの上場投資信託 0円
海外 株式 有料
ETFなどの上場投資信託 0円

海外株式の手数料:SBI証券は「為替取引の手数料にも注意」

SBI証券では海外株式にも投資できますが、国ごとに手数料が設定されています。

例えばアメリカ株式の場合は、以下のとおりです。

取引金額 手数料
2.02米ドル以下 0
4,444.44米ドル以下 0.495%
4,444.44米ドル超 一律22米ドル

これとは別に、日本円を米ドルに交換する際の「為替取引」にも手数料がかかります。

米ドルでは1米ドルあたり0.25円、1万米ドルでは2,500円かかります。「円貨決済」もできますが、これにも為替手数料が含まれています。

・住信SBIネット銀行のほうが安い場合も
SBI証券では「住信SBIネット銀行」と口座を連携させ、住信SBIネット銀行の外貨をSBI証券の口座へ直接入金できます。

直接入金できるのは以下の7通貨で、いずれも為替手数料は住信SBIネット銀行のほうが安いです。

  為替手数料
  SBI証券 住信SBIネット銀行
米ドル 0.25円 0.04円
ユーロ 0.80円 0.13円
豪ドル 1.00円 0.25円
NZドル 1.00円 0.25円
カナダドル 0.80円 0.25円
南アフリカランド 0.30円 0.14円
香港ドル 0.15円 0.05円

いったん住信SBIネット銀行で対象の外貨を買い、その後SBI証券へ入金するほうがお得と言えるでしょう。

単元未満株の手数料:SBI証券は「1取引ごとに0.55%」

SBI証券では、100株未満の「単元未満株」を売買できます。

取引は1株単位で、手数料は取引金額の0.55%です。最低手数料は55円なので、売買代金が1万円を下回ると割高になります。

SBI証券のメリットと注意点 

ここからは、SBI証券のメリットと注意点を確認していきましょう。

SBI証券のメリット IPOとTポイントに強み

SBI証券のメリットは、以下の3点です。

・①100万円までは手数料無料で取引できる
前述のとおり、アクティブプランでは1日100万円までなら無料で株式取引ができます。これはSBI証券の大きなメリットです。

・②IPOの取り扱い実績が豊富
株式を証券取引所に上場することを「IPO」といいますが、その際証券会社は事前に抽選を行い、上場前に投資家に株式を配分します。

SBI証券はIPOの実績が豊富で、2019年は84件、2018年は86件ありました。

IPOの抽選に応募したい方は、SBI証券に口座を持つメリットは大きいでしょう。

・③Tポイントがもらえる
SBI証券では、取引や投資信託の残高に応じてTポイントがもらえます。Tポイントは、投資に回すこともできます。

SBI証券の注意点 取引ツールが有料 

SBI証券の注意点は、以下の2点です。

・①アクティブプランでは100万円以下でもいったん手数料を取られる
アクティブプランは、手数料表の1つ上の手数料がいったん徴収され、翌日に返還される仕組みになっています。

100万円以下は本来無料ですが、取引当日に一段階上の1,278円がいったん徴収され、翌日に返還されます。

・②取引ツールやニュースに有料版がある
SBI証券は取引ツール「ハイパーSBI」を提供していますが、条件に達成していない場合は月に550円かかります。

SBI証券は他にも有料情報を提供しており、すべて無料で利用できるわけではありません。

SBI証券の手数料は他社と比較しても安い 

SBI証券の手数料を他のネット証券10社と比較すると、スタンダードプランは平均的な水準でしたが、1日100万円まで無料のアクティブプランは最安です。ただし手数料がいったん徴収され、翌日返還される仕組みになっています。

株式以外の手数料も、総じて安い傾向があります。投信の販売手数料は無料ですし、NISA口座の売買は海外株式を除いて無料なので、SBI証券の手数料は比較的安いといえるでしょう。

文・若山卓也
肩書・ファイナンシャルプランナー
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。 関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有。

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