読者のみなさんは「デジタルペン(ペンタブレット)」を使ったことはあるだろうか? 漫画家やデザイナー、イラストレーター等のクリエイターにはお馴染みのツールなのだが、新型コロナ禍で新しい生活様式が模索される中、リモートワークやオンライン教育、オンライン診療、ハンコレス等に欠かせないツールとして成長が期待されている。

東証1部上場のワコム <6727> は、そのペンタブレットで国内市場の98.8%のシェアを誇る企業である(2018年実績)。後段で述べる通り、ワコムの株価は11月4日に一時835円と年初来の高値を更新、3月17日の安値253円から3.3倍に上昇している。今回はワコムの最新動向を交えながら、デジタルペンが描く未来像を見てみよう。

営業利益186.4%増、さらなる上方修正期待も

ワコム,株価
(画像=Canape104 / pixta, ZUU online)

10月30日、ワコムは2021年3月期中間決算(4?9月)を発表した。売上は前年同期比17.9%増の553億円、営業利益は186.4%増の86億円と絶好調だった。ワコムは2021年3月期(通期)について、売上を前期比11.8%増の990億円、営業利益を同61.7%増の90億円といずれも過去最高を更新する見通しを示している。ただ、営業利益については中間決算の進捗率がすでに96%に達しており、株式市場では再度の上方修正を期待する向きもあるようだ。ワコムは2018年に策定した「中期経営計画」で、2022年3月期に売上で1000億円、営業利益で100億円の目標を掲げていたが、前倒しで達成する可能性も浮上している。

株式市場はワコムの好決算を歓迎、翌11月2日はストップ高(14.6%高)の784円まで買われたほか、11月4日には一時835円と年初来高値を更新する場面も観測されている。3月17日の安値253円から8カ月ほどで3.3倍に上昇した計算だ。

デジタルペン市場、新型コロナ禍で急拡大

ちなみに、ペンタブレットとは「ポインティングデバイス」の一種で、マウスやトラックボールと同じジャンルの製品である。パソコンの画面上の正確な位置を指定して筆圧を検知できるので、まるでペンで紙に書くようにパソコンの画面に文字や絵を描き込むことができる。イラストレーターやデザイナーといったクリエイターには必携のツールだ。