12月1日、日本経済新聞社は2020年の日経MJヒット商品番付(2020年ヒット商品番付)を発表した。今年は東の横綱に「鬼滅の刃」、西の横綱に「オンラインツール」が選ばれたほか、大関は東が「おうち料理」、西が「フードデリバリー」と新型コロナ禍のニューノーマル(新常態)を色濃く反映する番付となった。ヒット商品は企業業績や株価にも影響を及ぼすこともあって、同番付は株式市場でも度々話題になるランキングだ。
注目されるのは、西の関脇に「アウトドア」が登場したことだ。今年は新型コロナ禍で3密を避ける目的やグランピングなどの「インスタ映え」効果、ソロキャンパー芸人ヒロシのユーチューブ番組や、『ゆるキャン△』『ヤマノススメ』といった漫画の影響もあって第2次キャンプブームの最盛期を迎えているとの観測もある(詳細は後述)。株式市場では、ハイエンドでスタイリッシュなキャンプ用品メーカーとして人気のスノーピーク <7816> が10月14日に年初来高値となる2180円を記録、3月13日の安値513円から4.2倍に上昇する場面も観測されている。
今回はスノーピークの最新動向を見てみよう。
『ゆるキャン△』『ヤマノススメ』、ソロキャンパー芸人ヒロシの影響も
スノーピークは初代社長の山井幸雄氏が、金属加工で有名な新潟県燕三条地域に「金物問屋」として1958年に創業した。登山家でもあった山井氏は、当時の登山道具に満足できず、燕三条の優れた職人技術を活かしオリジナルの登山用品を開発、1963年にはスノーピークブランドを立ち上げ登山やアウトドア用品分野に進出した。さらに1988年にはオートキャンプ事業を立ち上げ、オートキャンプのパイオニアとして日本のアウトドアシーンを牽引してきた。いわば、後段で述べる「第1次キャンプブーム」の立役者でもある。
スノーピークの製品は同業他社より割高な傾向にあるが、高品質、高機能、永久保証に加え、自社で運営する全国7箇所のキャンプフィールドなどのイベントやSNSでの顧客との関係構築等を背景に「スノーピーカー」と呼ばれる熱狂的なリピーターが多いのも特徴だ。