「事業承継時の相続税対策はどうすればよいのか?」とお悩みの方も多いでしょう。相続税は、適切な対策により節税することができます。この記事では、事業承継時の相続税対策について、準備や具体策をご紹介します。
事業承継で発生する税負担とは?
それでは最初に、事業承継で発生する税負担にどのようなものがあるかをみてみましょう。
相続税
事業承継で発生する税負担としてまず大きいのは相続税です。相続税を支払うのは相続人(相続を受けた人)です。相続税は所得税と同様の累進課税(額が大きくなるほど税率が高くなる)であるため、相続額が大きくなりすぎないよう、適切な遺産分割を考える必要があります。
贈与税
事業承継では贈与税が発生することもあります。贈与税は、財産を生前に譲り渡した際に発生します。累計2,500万円までの贈与財産が非課税となる「贈与税の特例(相続時精算課税制度)」が2003年に施行されました。相続時に相続財産とその贈与財産を加えて申告するため、課税の繰延ではありますが、生前での財産贈与がしやすくなっている現状です。
所得税
生命保険金の相続に際しては、所得税がかかることがあります。保険の契約者と被保険者がどちらも親で受取人が子どもであれば、一般の相続と同様に相続税がかかります。しかし、被保険者が親の保険の、契約者と受取人が子どもであれば、相続税ではなく所得税の対象になります。
事業承継時の税金対策に向けた準備
事業承継時の税金対策に向け、どのような準備が必要かをみてみましょう。
自社株の株価を算出する
事業承継にあたっては、最初に自社株の株価を算出します。特に株式を贈与するには、株価が下がるタイミングで行うのが有利です。大型の設備投資や賃貸用不動産購入などで、純資産額が減るタイミングを見極めましょう。
株主を把握する
次に必要なのは、株主を把握することです。自社株を保有している人は経営権も有しています。事業承継時に経営権でトラブルが発生しないよう、必要なら株式の集約を行うことも必要です。
財産の分配について検討
株価と株主を把握したら、財産の分配について検討します。その際、後継者以外の相続人から不満が出ないよう、親族内でよく話し合っておくことが重要です。場合によっては遺言書の作成も必要となるでしょう。
事業承継時の相続税対策
事業承継時の相続税対策として、どのような方法があるかをみていきます。
株価を下げる
相続税対策としてまずあげられるのは、株価を引き下げることです。株価の引き下げは、遊休資産を賃貸物件にするなど資産の引き下げや退職金の支払や経営者保険加入などの利益の引き下げ、配当中止などにより行えます。
生前贈与による株式移転
生前贈与による株式移転も、事業承継時の相続税対策として有効です。生前贈与なら、株価の引き下げと株式移転の両方を、タイミングを合わせて行うことが、相続より容易です。
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度を利用するのも節税対策として有効です。相続時精算課税制度とは、生前贈与に関して2,500万円まで贈与税が発生しなくなる制度です。
不動産への投資
不動産へ投資して、相続財産を不動産に変えることによっても相続税を節税できます。土地の相続税評価額は、公示価格の80%程度で算出されることになるからです。但し、購入後3年以内は時価で評価することとされている為、注意が必要です。
法人保険への加入
法人保険への加入も、相続税の節税対策の一つとなります。支払った保険料は損金計上されるため、その分利益が圧縮されて自社株の評価額が下がるからです。
専門家に相談しながら適切な対策をとろう
事業承継で発生する可能性がある相続税や贈与税、所得税などの税負担は、自社株の評価額を下げるなどの適切な対策をとることにより節税することができます。ただし、節税の方法は一般に複雑で、多岐にわたります。適切な節税対策を行うためには、事業承継を専門とする税理士などの専門家に相談するのがよいでしょう。(提供:企業オーナーonline)
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