一人で抱え込まないからピンチも乗り越えられる

――仕事の充実もプライベートの充実もどちらも大切にし、それを実現している清明氏は、まさに人生を豊かにする理想的な時間の使い方ができていると言えるだろう。けれども、読者の中には「自分もそうなりたいとは思うけれど、そこまで活発に活動できるだけのエネルギーがない」と思う人も多いかもしれない。

「仕事で悩みごとを抱えていると、休日もそのことを引きずってしまい、鬱々とした気持ちで1日を過ごすことになりがちですよね。人は、仕事がうまくいっているときのほうが、仕事のことを気にせずに、プライベートで思いっきり遊ぶことができます。

休日を充実させたければ、仕事のストレスをできるだけ抱え込まないようにすることです。私の場合は『今日やる』と決めたことは、可能な限り、その日のうちに決着をつけるようにしています。すると、スッキリとした状態でその日を終え、次の日を迎えることができます。

また、悩みごとは一人で抱え込まないようにもしています。当社の社長に就任して1年半が経過しましたが、その間にも『これは大変だ。どうしよう』と思うことが何度かありました。そんなときは、前社長の松本(松本大氏。編集部注)氏に『今回はヤバいかもしれません』と相談しました。

松本は私なんかよりもずっと経営者としての経験が豊富で、半端ではない修羅場を何度もくぐり抜けています。だから、松本から『まあ、何とかなるんじゃない』と言われると、具体的な解決案は提示されなくても、それだけで肩の荷が下りたような気持ちになります。

仕事以外の活動を充実させたければ、『時間がないこと』をできない理由にしないことも大事ですね。時間がないからやらないのではなく、『限られた時間の中でできる最善は何か』を考えて、取り組むようにします。

そのことに達成感を感じたら、きっと他のことももっとやりたくなってきて、さらに限られた時間の中でやり繰りすることを考えるようになるはず。そうやって、プライベートの時間の使い方も上手になっていくものだと思います」

清明祐子(マネックス証券社長)
(『THE21オンライン』2020年12月11日 公開)

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