2019年、大手ネット証券で初めての女性社長に就任した清明祐子氏。仕事が多忙な中、趣味も多く持ち、プライベートも重視しているという。仕事もプライベートも両立させる仕事術とは?(取材・構成:長谷川敦)

※本稿は『THE21』2020年12月号より一部抜粋・編集したものです。

自分がラクになるには部下を育てるしかない

リーダー論,清明祐子
(画像=THE21オンライン)

――マネジメント職の場合は、自分一人が頑張っても、メンバーが動かない限り、仕事が進まない。清明氏は、チームマネジメントにおいては何を心がけてきたのだろうか。

「マネージャーの中でも、プレイングマネージャーとして働くことを求められている人たちは、一番忙しくて大変だと思います。私の場合は、『自分がラクになるためには、部下を育てるしかない』と考えてきました。

部下が育てば、自分がやっている仕事を部下に渡して、自分は身軽になることができるからです。そのために私は、部下から報告や相談事があったときには、自分がどんなに忙しくて、どのような仕事を抱えていたとしても、できるだけ優先的に話を聞くようにしてきました。

また、メンバーの仕事ぶりを見ながら、自分からも積極的に声をかけるようにしてきました。ですから、社長になった今でも、『これ、ちょっといいですか』といった相談が、普通に私のところに来ます。

当社はチャット文化なので、チャットでのやり取りも多いですね。これは、部下を育てるためだけでなく、部下から情報が上がって来やすい組織にするためにも、とても重要なことです」

同僚との信頼関係が仕事を円滑に進めるカギ

――仕事は一人ではなくチームでするもの。だから清明氏は、仕事を生産的、効率的に進める一番のカギは、人間関係を良好に保つことだと言う。

「同僚から何か聞かれたり、頼まれごとをされたりしたときに、快く応えてあげたくなる人と、そうでない人がいるものですよね。同僚との関係が思わしくないと、進む仕事も進まなくなってしまいます。

『この人から聞かれたときには、ちゃんと教えてあげよう』と同僚から思ってもらうには、こちらも普段から『同僚が困っているときには、手助けしてあげよう』という気持ちを持って、実際に取り組むことです。こちらが相手を助ければ、相手もこちらを助けてくれます。

また、私は若手の頃から締め切りを厳守することを心がけてきました。締め切りを破ると、同僚や先輩からの信頼を失います。すると、提出した書類や報告書の信頼性も下がって、厳しい目でチェックされるようになり、信頼関係さえあれば出なかったような修正指示が出されたりもします。

無用な仕事を増やさないためにも、締め切りをちゃんと守り、周りとの信頼関係を築いておくことが大事です」