官僚は国の政策決定にも大きな影響力を持つが、官僚には「高給取り」というイメージがあるのではないだろうか。この記事では官僚の年収に焦点を当て、役職別の年収についても紹介していく。

そもそも「官僚」とは?中央省庁に勤める国家公務員のこと

官僚,年収
(画像=tapis volant/stock.adobe.com)

「官僚」とは一般的に中央省庁に勤める国家公務員を指すが、中央省庁に勤める国家公務員は「国家総合職」と「国家一般職」に分かれており、官僚と呼ばれるのは「国家総合職」の人たちだ。

ちなみに、国家総合職は「政策の企画立案等の高度の知識、技術または経験等を必要とする業務に従事する職員」と定義されており、「キャリア官僚」「キャリア公務員」と呼ばれることもある。

官僚の平均年収(俸給)は?1,500万円超えも

国家公務員の給与体系において、国家総合職で行政事務を行う人は「行政職」、各省庁の審議官や公正取引委員会の事務総長、警視総監などになった最高幹部クラスの人は「指定職」に分類される。

このような職に就く人の給料は、国家公務員の給与を示す「俸給表」から調べることができる。行政職の人には「行政職俸給表(一)」が適用され、指定職の人には「指定職俸給表」が適用される。

人事院が発表した「平成30年(2018年)国家公務員給与等実態調査」の結果によれば、「行政職俸給表(一)」の適用者と「指定職俸給表」の適用者の平均月収は以下のとおりだ。

<「行政職俸給表(一)」と「指定職俸給表」における平均月収>

対象となる俸給表 平均月収 対象人数
行政職俸給表(一) 41万940円 14万93人
指定職俸給表 102万6,485円 915人
出典:平成30年(2018年)国家公務員給与等実態調査

上記の表からは平均月収がわかり、これに民間企業の賞与に当たる「期末・勤勉手当」を加算すると、官僚の年収を計算できる。

2018年度は6月期と12月期の支給を合わせると、行政職俸給表(一)が適用される本府省課長などには月収の4.4ヵ月分、指定職には月収の3.3ヵ月分が支給されている。

上記を考慮して算出した平均年収は、以下のとおり。最高幹部クラスに相当する指定職俸給表の適用者の平均年収は、1,500万円を超えている。

<「行政職俸給表(一)」と「指定職俸給表」の適用者の平均年収>

対象者 平均月収×12ヵ月 期末・勤勉手当 平均年収
行政職俸給表(一)
の適用者
493万1,280円 180万8,136円 673万9,416円
指定職俸給表
の適用者
1,231万7,820円 338万7,400円 1,570万5,220円

指定職でも役職によって月給に大きな差がある

世間でいうところの「官僚」は指定職俸給表が適用されるため、その平均年収が1,570万5,220円であることは計算によって明らかになったが、指定職でも役職によって給与にはかなり差がある。

内閣官房が公表している「国家公務員の給与(2018年版)」に記載された金額を、月給ベースで見ていこう。

役職 月給
本府省の局次長、部長、審議官、外局の次長 70万6,000〜81万8,000円
本府省の局長 89万5,000〜96万5,000円
外局の長官 103万5,000円
内閣府審議官など 110万7,000円
事務次官 117万5,000円
出典:「国家公務員の給与(2018年版)」

国家公務員の給与(2018年版)では、係員、係長、地方機関課長、本府省課長補佐、本府省課長、本府省局長、事務次官の年収モデルも紹介されている。

役職 年齢 月額 年収
係員 25歳 18万9,400円 309万5,000円
係長 35歳 27万600円 448万円
地方機関課長 50歳 41万1,800円 668万6,000円
本府省課長補佐 35歳 43万7,120円 723万1,000円
本府省課長 50歳 74万5,680円 1,255万円
本府省局長 - 107万4,600円 1,772万8,000円
事務次官 - 141万0,000円 2,327万4,000円
出典:国家公務員の給与(2018年版)

「本府省課長」になると平均年収は一気に跳ね上がり、1,255万円になる。各省庁の「事務方のトップ」などと呼ばれる「事務次官」は、2,327万4,000円だ。

過重労働も問題に……

この記事では、官僚の平均年収について紹介した。最高幹部クラスに上り詰めた官僚の平均年収は、1,000万円をゆうに超える。

ただし、最高幹部クラスになれるのはほんの一握りだ。また、昨今は官僚の長時間労働も問題なっていることを考えると、必ずしも「官僚は高給取り」とはいえないのではないだろうか。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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