マンション経営において、資料上は利回りが高く、シミュレーション上でもキャッシュフローが出ていたとしても、物件の賃貸需要と家賃相場を見誤ると、その収益は「絵に描いた餅」ということになりかねません。そのような状況に陥らないために、賃貸需要と家賃相場を正しく見極めるポイントを解説します。
マンション経営の際に必要なレントロールの見方
物件を購入する際には物件概要書と、その中に含まれているレントロールの内容をチェックすることが重要です。レントロールとは、部屋ごとの「家賃の金額」「共益費の金額」「駐車場の金額」などがまとめて記載された一覧表ことをいいます。
レントロールに記載されている家賃は、その物件の収益に直結する非常に重要な項目ですが、売主が高く売却したいがために、空室の家賃を高めに設定することもあることから、慎重にチェックする必要があります。
また、共有部の電気代や清掃費などの支出項目についても記載されている場合があるので、その内容に関してもきちんとチェックしておく必要があります。
レントロールを確認する際のチェック項目は以下のとおりです。
チェック項目1:空室の家賃設定
物件に空室がある場合、空室の想定家賃が適切かどうかを確認しましょう。想定家賃が高ければ、物件の利回りも上がることから、見た目上では非常に利回りのいい物件に見えてしまいます。
しかし、物件を購入し、いざ入居者を募集してみると、想定家賃が相場よりも割高であったため家賃を下げないと入居者が決まらないという事態に陥ってしまうこともあるので、慎重に確認する必要があります。
チェック項目2:家賃のばらつきの有無
レントロールで部屋ごとの家賃を確認した際、同じ間取りであるにもかかわらず家賃が異なるというケースがあります。数千円の差であればそこまで問題視することはありませんが、1万円以上違うということになると、その理由をきちんと確認する必要があります。
そのため、割高な家賃で入居している人がいる場合は、その人が退去したときのことを考慮し、相場の家賃に置き直して利回りを計算する必要があります。
チェック項目3:入居時期と入居者の属性
物件の中には、売主が高く売却するために、親戚や知り合いに入居してもらい、稼働率を上げているケースがあります。または、売却時期が近いことから、家賃保証会社の審査を通過できないような入居者を受け入れているケースもあります。
そのような入居者については、大家が変わることで退去したり、家賃滞納のトラブルにつながることもあるため、事前にどのような入居者がいるのか、その属性を確認しておくことが大切です。
チェック項目4:掛かっている経費の種類
レントロールをチェックする際には収入だけではなく、どのような支出が発生するのかを確認しておく必要があります。特にケーブルテレビの費用をオーナーが負担するとなっていたり、水道代についてはオーナーが一括で支払い、入居者から別途回収するという物件は意外と多く存在します。
そのような物件については、回収した費用についても利回りに含まれていることがあることから、その分は差し引いて正確な利回りを計算することを忘れないようにしましょう。
賃貸需要はどう見極める?
マンション経営では、賃貸需要のある地域の物件を購入することが基本です。それを判断するためには、具体的にどのような点を見ていけばいいのでしょうか。
周辺に生活基盤があるか
生活基盤を支える施設としては、「スーパー」「コンビニ」などの商業施設、「郵便局」「市役所」「銀行」「病院」などの公共機関や金融機関が挙げられます。生活者にとって利便性を左右するため、このような施設や機関が周辺に存在するかどうかが重要な判断要素となります。
近くに賃貸物件があるか
物件の近くにアパートや賃貸マンションが存在していれば、ある程度の需要があるエリアだと判断することができます。さらに、それらの入居率を確認することも忘れてはいけません。近隣に賃貸物件が存在していたとしても、その入居率が半分を下回っている状況であれば、賃貸需要が低いエリアかもしれません。
駅からの距離は徒歩10分以内
賃貸需要を見極めるうえで最も重要なポイントは「駅からの距離」です。理想を言えば、駅から徒歩10分圏内を目安として考えます。
徒歩10分以上離れてしまうと、駅までの交通手段が別途必要になるケースがあるなど、物件の魅力が下がってしまいます。
災害リスクは高いか
物件のあるエリアが災害危険エリアに指定されている場合は賃貸需要にも影響してくる可能性があります。したがって、その物件が災害危険エリアに指定されていないかどうかを事前に確認しておくことも忘れないようにしましょう。
災害危険エリアについては、各自治体が公表しているハザードマップによって、「洪水(浸水)」「土砂災害」「津波」などの災害リスクを調べることができます。
人口の推移予想はどうか
マンション経営に限らず、不動産投資においてエリアの人口がその後どのように推移していくのかを把握しておくことは非常に大切です。国立社会保障・人口問題研究所が発表している「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」などを確認し、今後2040年までのエリアの人口がどのように推移していくのか、また平均世帯人数や単身世帯の推移なども確認しておくとよいでしょう。
(参考:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)(2019年推計)」
家賃相場を調べる2つの方法
では家賃相場についてはどのように見ていけばいいのでしょうか。2つの方法を紹介します。
1.複数のサイトで比較する
現在インターネット上では複数の不動産会社の情報がアップされています。そのようなサイトで、同条件の部屋がどのくらいの家賃で入居募集されているのかを調査することで、家賃相場を確認することができます。
その際には必ず複数のサイトで比較することが大切です。複数のサイト上において、家賃が同じくらいであれば、妥当な家賃設定ということができます。
2.物件近くの不動産業者にヒアリングする
インターネット上の情報だけを頼りにするのではなく、実際に物件近くの不動産業者を訪問し、現地の声を聴くことも大切です。そのエリアで購入を検討している物件のおおよその情報(築年数や間取り、広さ)を掲示することで、家賃相場を探ることができます。
その際に、入居者に人気のある設備(オートロック、宅配ポスト、ホームセキュリティなど)も合わせて聞き取っておくと、自分が購入する物件の参考にもなるので非常に効果的です。
適切な物件選択で収益を上げる
マンション経営は、入居者が途絶えないようなエリアに物件を購入し、適切な家賃設定を行うことが大切です。レントロールにしっかり目を通して、載っていない情報はしっかりヒアリングするなど、マンション経営を成功させるために賃貸需要と家賃相場をしっかりと見極めましょう。
(提供:Dear Reicious Online)
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