「僕の本職はユーチューバーなんだよ」宅配業者の青年がそう言った。新型コロナ禍で宅配便の利用が増える中、いつも荷物を届けてくれる彼と顔見知りになって1年ほどになる。いまでは玄関先で世間話をすることも珍しくなくなった。彼はトップクラスのユーチューバーを目指して日々修行中とのことだ。目下のところ所得の98%を宅配便の仕事から得ているというが、それはあくまで仮の姿ということらしい。「(ユーチューブで)いまは全然稼げてないけどね。良かったら見に来てよ」屈託の無い笑みを浮かべて手渡されたURL入りの名刺の肩書きは、しっかり「YouTuber(ユーチューバー)」と記されていた。

インターネットによる動画などのコンテンツ配信サービス「OTT(オーバー・ザ・トップ)」は、いまや広告収益化を狙うクリエイターと企業が入り乱れての激戦地だ。スウェーデンのコメディアンで、ユーチューブチャンネルで世界一の登録者数を有する「PewDiePie(ピューディパイ)」や、米国の5人組ユーチューバー「Dude Perfect(デュード・パーフェクト)」のような超売れっ子になれば年収数十億円も夢ではないが、誰もがそう簡単に実現できるものでもない。そもそもライバルは同業のユーチューバーに限らない。ネットフリックスやアマゾンプライム、アップル ミュージック、ディズニープラスなど、巨額の予算を投じて高品質なコンテンツと国際的なブランド力で消費者にアピールするOTTの存在も無視できない。

ビジネス向け動画配信システムを提供するブライトコーブの『Global Video Index』によると2020年の動画視聴は北米地域だけで前年比78%も増加したという。いつでもどこでも好きなデバイスで視聴できるOTTは、新型コロナ禍にあって急成長を遂げているが、一方で飽和状態のコンテンツに食傷気味の人もいるのではなかろうか。今回はそんなOTTに新風を吹き込むと期待されている「PPV(ペイ・パー・ビュー)型OTTプラットフォーム」についてリポートしたい。

「PPV型OTTプラットフォーム」ってなんだ? ユーチューブとの違いは?

ユーチューバー,収入
(画像=metamorworks / pixta, ZUU online)