日本には、富裕層と呼ばれる人がたくさんいます。2020年12月に株式会社野村総合研究所が公表した「News Release」によると2019年における日本の富裕層(1億円以上)は約133万世帯でした。富裕層の純金融資産のトータルは約333兆円と推計されています。2019年時点で日本の富裕層の世帯数は、2005年以降最多となりました。

そんな富裕層の中でも消費活動に積極的とされている「保有資産5,000万円以上5億円未満の人たち」に各界から注目が集まっています。

マス富裕層とは?富裕層にも段階がある

富裕層女性,タイプ
(画像=Pixel-Shot/stock.adobe.com)

一般的に富裕層として想像されるのは、数億円以上の資産を持つ「大金持ち」でしょう。純金融資産が5億円以上の富裕層は「超富裕層」と呼ばれ国内で約8万7,000世帯います。(2019年時点)このように多額の資産を保有するごく一部の超富裕層よりも注目を集めているのが富裕層・準富裕層と呼ばれる人たちです。

富裕層とは、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満、準富裕層とは5,000万円以上1億円未満の世帯のことです。純金融資産保有額で分類した富裕層の名称と世帯数を見てみましょう。

分類(世帯の純金融資産保有額)世帯数純金融資産保有額の総額全体の割合
超富裕層(5億円以上)8万7,000世帯97兆円約0.16%
富裕層(1億円以上5億円未満)124万世帯236兆円約2.30%
準富裕層(5,000万円以上1億円未満)341万8,000世帯255兆円約6.33%

参照:野村総合研究所、日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計:株式会社野村総合研究所

超富裕層は、全体の0.16%とごく一部の人たちですが富裕層・準富裕層と分類される人たちは、合計約8.63%です。富裕層・準富裕層は、消費活動に積極的で市場に大きな影響を与えています。ビジネスの成功のカギを握るのは、特に消費意欲が高い「富裕層の女性」でしょう。次項から富裕層における女性の5つのタイプを紹介します。

富裕層女性の5つのタイプと購買意欲のツボ

2015年2月に株式会社電通と株式会社ハースト婦人画報社が共同で行った「日本の富裕層世帯を対象にした女性の意識・消費行動調査」によると富裕層の約3割の女性が1ヵ月あたり20万円以上を自由に使っていることが分かりました。さらに富裕層の女性を5つのタイプに分類しその特徴を記載しています。

タイプ名特徴
しっとり・大和撫子タイプ・50歳以上に多いタイプ
・年金受給者が多く消費意欲や情報感度は低いが幸福度は高い
・長期的な利益を重視し貯蓄型、安定志向
全力投球・人生謳歌タイプ・35~49歳が比較的多い
・有職者が多く積極的で地球環境や社会貢献への関心が高い
ふんわり・守られタイプ・35~49歳の主婦に多く男性に守られたい意識がある
・夫は管理職や医師のケースが多い
ミーハー・キラキラタイプ・20~34歳が多い
・有識者でブランドやステータスにこだわり好む傾向にある
無自覚・隠れタイプ・20~34歳の未婚者に多い
・親が経営者で世帯純資産が親の資産であるため、自身が世帯の純資産額を把握していない人が多い

参照:日本の富裕層世帯を対象にした女性の意識・消費行動調査|株式会社電通

タイプ別の価値観と消費意識

ここからは、富裕層女性のタイプ別に「各タイプを消費に向かわせるツボ」を紹介します。

タイプ名価値観・消費意識
しっとり・大和撫子タイプ・自慢できる高額なものには興味がない
・教育には投資する
・日本文化が好き
・信頼できる人だと思われたい
全力投球・人生謳歌タイプ・効率重視なので家事代行サービスも活用したい
・地球環境や社会貢献に興味があり、寄付にも関心がある
・王道ブランドのバッグが好き
・資産運用と同時に教育への投資も積極的
・知的で上品と思われたい
ふんわり・守られタイプ・お金はあるが将来への不安が尽きない
・デパートと高級品が好き
・基本的に受け身
・上品で女性らしいと思われたい
ミーハー・キラキラタイプ・おしゃれが大好き、生活を楽しむためにお金を使う
・デパートが好き
・国内ブランドより海外ブランドが好きで、流行にも敏感
・上品だと思われたい
無自覚・隠れタイプ・一般女性よりも堅実派
・自分や親の将来・老後についての不安が大きい
・ブランドには特にこだわらない

上述した5つのタイプ別の価値観や消費意識にマッチする商品やサービスを展開することで富裕層女性の心をつかむことが期待できるでしょう。例えば消費活動に積極的ではない「しっとり・大和撫子タイプ」であっても「教育」「信頼度の向上」にスポットを当てた商品やサービスを展開し訴えかけていくことができれば他社が引き出せなかった消費に向かわせることができるかもしれません。

「無自覚・隠れタイプ」の場合は、将来の不安を取り除く商品やサービスに価値を見出してくれる可能性があります。また5つのどのタイプであっても資産として不動産を保有している割合が高いことも注視したいポイントです。5つのタイプ別の価値観の違いは「投資用不動産」を選定する際のヒントにもなるでしょう。

富裕層女性が心から求めているものへの理解が大切

富裕層だからといって「資産を持っているから何でもほしい」というわけではありません。富裕層をターゲットにしたいのなら「何がほしいのか」「どうしてほしいのか」「富裕層女性が心から求めている商品やサービスは何か」についてよく考えることが大切です。

(提供:YANUSY

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