世界的なブランドホテルに併設されたマンションに住める「ホテルブランデッドレジデンス」が注目を集めています。日本でも広がりを見せつつある、ホテルブランデッドレジデンスの概要と、代表的な物件を紹介します。
目次
ホテルブランデッドレジデンスとは何か
ホテルブランデッドレジデンスは日本ではまだそれほど浸透していない不動産物件形態です。はじめに物件の特徴と歴史、価格の一例を見てみましょう。
どんな住居を指すのか
ホテルブランデッドレジデンスとは、世界的なラグジュアリーホテルの名前を冠したレジデンス(邸宅)のことを指します。多くの場合当該ホテルに併設されています。レジデンス部分に居住しながら、ホテルの施設やサービスを利用できるのが魅力です。分譲マンションとして売り出されることがあるほか、賃貸で居住できる物件もあります。東京など都市部に住居として住むほか、リゾート地にある物件を別荘として利用する購入方法も考えられます。
ホテルブランデッドレジデンスの隆盛はいつから?
専門サイト「Branded Residences」によると、世界で初めてホテルブランデッドレジデンスが登場したのは1927年にマンハッタンのシェリーネザーランドホテルがオープンしたときといわれています。その後1980年代までは一般的に知られていませんでしたが、1980年代半ばにフォーシーズンズホテル、1988年にアマンホテルグループが進出したことで注目が高まりました。2000年以降の世界的な富の成長とともにホテルブランデッドレジデンスも隆盛が始まったと見られます。
日本経済新聞の報道によると、日本での分譲住戸を設けたホテルブランデッドレジデンス第1号は、2016年に三井不動産がアマンと共同で三重県伊勢志摩国立公園内に開業した「アマネム」といわれますので、海外に比べ遅れているといえるでしょう。その後、2020年に北海道・ニセコに「パークハイアットニセコ花園レジデンス」が売り出され、完売しました。同紙はホテルブランデッドレジデンスには国内大手不動産も関心を示しており、これまで観光地を中心とした別荘としての需要から、今後は都市部での供給が増えるとみています。
どれくらいの価格で住めるのか
富裕層向けのホテルブランデッドレジデンスですが、どれくらいの価格で住めるのでしょうか。後述で新築、中古、賃貸のそれぞれの物件を紹介しますが、分譲で3~4億円から、賃貸で88万円という価格です。最高価格の間取りでは12億円近いので、超富裕層といわれるクラスでないと手を出しづらい印象があります。ホテルブランデッドレジデンスを擬似体験したい場合は、帝国ホテルの「サービスアパートメント」のようにサブスクリプションで1ヵ月程度住んでみるのも1つの方法です。同ホテルの料金は30泊の場合で36万円(税・サービス料込)。2021年3月15日~7月15日まで実施の予定でしたが、すでに完売しています。次回の予約は決まり次第発表される予定です。
国内不動産プレイヤーはどう取り組んでいるか
ホテルブランデッドレジデンスに関する国内不動産プレイヤーの動きはどうなっているでしょうか。森ビルは2023年に開業を予定している「虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業(虎ノ門・麻布台プロジェクト)」のなかで、ラグジュアリーホテルチェーン「アマン」と組んで「アマンレジデンス東京」を開業させる予定です。入居するのは超高層ビル最上階部分の54~64階で、住宅部分は全91戸になる計画。居住者専用の「アマン・スパ」を備えるなど、ホテルブランデッドレジデンスならではの非日常的な居住空間が開業時に話題を呼びそうです。
東京建物はカナダ資本の高級ホテル「フォーシーズンズホテル」と組んで、2024年に大阪市北区堂島にホテルブランデッドレジデンスのオープンを計画しています。約4,800平方メートルの敷地にホテルと分譲マンションが一体となった49階建ての高層ビルを建設します。このうちマンション部分は466戸の大型物件になる見込みです。東京建物は2025年に行われる大阪万博やIR(カジノを含む統合型リゾート)を見据え、大阪は観光都市としてのポテンシャルが高いと見ています。
すでに展開中のプレイヤーでは三井不動産がホテルを活用した事業に積極的に取り組んでいます。前述したアマネムのほか、東京ミッドタウン内の「ザ・パーク・レジデンシィズ・アット・ザ・リッツ・カールトン東京」で高級賃貸マンションを展開しています。また、サブスクリプションという手法を採用し、「サブ住む」と題したサービスは、全国12都道府県に38ヵ所ある「ザ セレスティンホテルズ」「三井ガーデンホテルズ」「sequence」のなかから好きなホテルの好きな部屋を定額で利用することができます。ただし、対象期間が2021年3月1日から2021年6月30日までとなっていますので、延長されるかどうかは流動的です。
国内のホテルブランデッドレジデンス3選
国内にあるホテルブランデッドレジデンスのなかから3つの物件を紹介します。
フォーシーズンズホテルレジデンス京都
京都市東山区にある「フォーシーズンズホテル京都」に併設するレジデンスです。建物は地上4階、地下3階で、ホテル客室が123室、レジデンスが57室という構成になっています。都心の高層ホテルとは対照的に地上4階の低層ホテルであることが特色です。ミシュランガイドで高評価を獲得した寿司の名店や、スパトリートメント、吹き抜けの解放感あるラグジュアリープールなどが利用できることをセールスポイントにしています。住戸専有面積は83.33㎡~190.95㎡で、分譲価格は4億6,379万1,000円~11億9,492万2,000円(税込)と超高価格帯です。
パークハイアットニセコ花園レジデンス
北海道虻田郡倶知安町にある「パークハイアットニセコ花園」に併設するレジデンスです。JR函館本線「倶知安」駅から5.9㎞の位置にあり、リゾート立地といえる物件です。鉄骨8階地下2階一部RCで全113戸という構成です。パークハイアット内のレストランを利用する場合に、レジデンスまで高級車で送迎するなどのラグジュアリーなサービスを受けることができます。また、リゾート地らしくスキーやゴルフに関するサービスも充実しています。人気が高く、新規分譲はすでに終了しています。現在は中古市場に出る物件を購入するしかありません。SUUMOで売り出された中古価格は3億6,000万円です。
ザ・パーク・レジデンシィズ・アット・ザ・リッツ・カールトン東京
東京都港区赤坂にある「ザ・リッツ・カールトン東京」が運営する高級賃貸タワーマンションです。専有面積97.82㎡で賃料は88万円と高額ですが、管理費・礼金・敷金は0円となっています。都営大江戸線「六本木」駅から歩4分の好立地にあります。設備やサービスも充実しており、コンシェルジュサービス、ラウンジ、フィットネスなどを利用することができます。室内設備も食器洗浄乾燥機、床暖房(ガス温水式)、ディスポーザー(生ゴミ粉砕機)などを備えています。15階のルーフテラスでは「ザ・リッツ・カールトン東京」のシェフによる出張料理を楽しむこともできるなど、利便性とラグジュアリー感を兼ね備えた物件といえるでしょう。
新型コロナウィルスの影響で日本経済が停滞するなか、富裕層を対象にしたビジネスに活路を見出そうとする企業は今後も出てくるでしょう。そのなかでも、富裕層の新たな住まいの選択肢としてホテルブランデッドレジデンスが日本でも隆盛を迎える可能性はありそうです。
さらなる開拓が予想されるホテルブランデッドレジデンス
住居でありながら、ラグジュアリーホテルのサービスを受けられるホテルブランデッドレジデンスは、富裕層の新たなライフスタイルの楽しみをもたらしてくれるのではないでしょうか。世界的に日本は遅れている分野なので、今後開拓されそうな雰囲気です。今からリサーチして、より優雅なラグジュアリーな生活を目指してください。
※本記事は2021年4月21日現在の情報を基に構成しています。各レジデンスに関する情報は今後変更になる場合があります。参考程度にお考えください。
(提供:JPRIME)
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