「星を見なさい、星を」というのが筆者の父親の口癖だった。共に視力1.5の両親から生まれたにもかかわらず、小学校に入学した頃から筆者の視力はどんどん悪くなった。どこまで科学的根拠があるのかは定かではないが、「裸眼で星や遠くのものを見ると近視が改善することがある」と父は信じていたようだ。

残念ながら近視が改善することはなかったが、筆者は大人になった現在も星を眺める習慣を続けている。夜空は真っ暗なようでいて星の位置や月の輝き方で毎日違う顔を見せてくれる。「自分が今眺めている星は、もしかすると何億年前の星なのかもしれない」そう考えると、その神秘性に魅了されずにはいられない。そして、個人資産10億ドル以上の「ビリオネア」の中にも、同じように宇宙の神秘に魅了され、その財力で夢の実現を目指す人々がいる。

ジェフ・ベゾス氏、イーロン・マスク氏、リチャード・ブランソン氏ーー今回は深淵なる宇宙に魅了され「宇宙ベンチャー(Space Venture)」に情熱を注ぐ三大ビリオネアの話題をお届けしよう。

三大ビリオネアの「宇宙ベンチャー」

宇宙ベンチャー,アメリカ
(画像=VSOP / pixta, ZUU online)※画像はイメージです。

ジェフ・ベゾス氏は2000年にブルーオリジン、イーロン・マスク氏は2002年にスペースX、リチャード・ブランソン氏は2004年にヴァージン・ギャラクティックを設立、宇宙というロマンに約20年もの年月と資金を投じてきた。当初は「所詮はお金持ちの道楽」などと否定的な見方もあったようだが、いずれの宇宙ベンチャーも数々の失敗を糧に着実に成果を上げてきている。

たとえば、スペースXは2008年に民間として初めて軌道に達した液体推進ロケット「ファルコン1」のほか、2021年5月にも高高度の打ち上げと着陸に成功した「スターシップ」など、宇宙船の設計・製造・販売の実現に向けて着々と計画を進めている。今年5月6日付のビジネスインサイダーによると「スターシップ」の最終バージョンは次回のNASA(米航空宇宙局)の月面着陸船に採用される予定で、成功すれば1972年以来49年ぶりに月面へ人間を運ぶ乗り物となる。

レディ・ガガやトム・ハンクス、レオナルド・ディカプリオも