iDeCoで老後資金の準備を始める人が年々増えています。2021年6月現在、累計加入者数は198万人を超え、間もなく200万人に到達します。
制度上、iDeCoは自分でポートフォリオを組む必要がありますが、投資初心者はどのようなことに注意しながらポートフォリオを組めばよいかわからないことも多いでしょう。
今回は、iDeCoの概要やiDeCoでポートフォリオを組むときに気をつけたい3つのポイントと、iDeCoの年代別ポートフォリオの例などを紹介します。
iDeCoでポートフォリオを組むときに気をつけたい3つのポイント
まずは、iDeCoの概要から見ていきましょう。iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金制度です。自分で申し込み、掛金を拠出し、自分で運用方法を選んで資金を運用し、将来掛金とその運用益を受け取ることができます。
最大の魅力は、「掛金」「運用益」「給付を受け取るとき」のそれぞれに、税制上の優遇措置があることです。原則として60歳になるまで資金を引き出すことができませんが、老後資金を準備するための有用な手段であるため、年々利用する人が増えています。
ここからは、iDeCoでポートフォリオを組むときに気をつけたい3つのポイントについて解説します。「ポートフォリオ」の本来の意味は「具体的な商品の詳細な組み合わせ」ですが、本稿では「大まかな資産配分」を指すものとして進めていきます。
1. 複数の商品にバランスよく投資することが大切
iDeCoでポートフォリオを組むときは、株式と債券など投資対象とする資産のバランスを考慮するとよいでしょう。株式や債券などは、それぞれ狙えるリターンもリスクも違うので、分類を行うことが大切です。
前述のとおり、iDeCoは原則として60歳になるまで資金を引き出すことができません(60歳以降、そのまま運用を継続することもできます)。したがって加入者の年齢にもよりますが、半強制的に長期投資をすることになります。一般的に、資金が必要な時期まで長く運用できる人は、損失が出たとしても、資金が必要な時期までに損失をカバーする時間があるので、リスク許容度は大きい傾向にあります。また、債券よりも株式のほうがリターンは大きくなる傾向にあります。
長期投資であるiDeCoは、後述する年代別ポートフォリオの例でも、年齢が若いほど(=損失をカバーする時間が残されているほど)株式型の比率が大きくなっています。
個人にとって理想的なポートフォリオは、それぞれの人のリスク許容度によって異なり、年齢やライフスタイルの変化に伴ってリスク許容度も変化します。一度選んだ商品や資産配分は年1回であれば変更することが可能なので、その時のライフスタイルに合わせてバランス配分を変えるのもよいでしょう。
2.日本以外の株式型も組み入れる
それでは、どのような株式型を組み入れればよいのでしょうか。選択できる商品はiDeCoを開設する金融機関によって若干異なりますが、ほとんどの金融機関では日本株式型と海外株式型の両方が用意されています。
「株式」と聞くと投資初心者は「日本株式を想像するかもしれませんが、株式市場は日本以外の国にもあります。日本株式の時価総額は、世界全体の株式の時価総額6%程度といわれています。日本株式は、世界株式のほんの一部に過ぎないのです。
日本だけでなく、世界にも優良企業はたくさんあります。ポートフォリオに株式型を組み入れる場合は日本株式だけでなく、海外株式も組み入れるようにしましょう。
3.iDeCo以外の資産とのバランスも考える
iDeCo以外にも資産がある場合、それらを踏まえずにiDeCoだけのポートフォリオを考えても、保有資産全体で見ると適切な資産配分にはなりません。
「iDeCoは長期投資なので、他の資産とは切り分けて考える」という考え方にも一理ありますが、保有資産全体の資産配分を最適化したい場合は、iDeCoだけのポートフォリオを考えるのでなく、他の保有資産も含めて考えるようにしましょう。
iDeCoの年代別ポートフォリオの例
ここからは、iDeCoの年代別ポートフォリオの例を紹介します。適正なポートフォリオは、収入やiDeCo以外の保有資産、金融知識、家族構成などによって変わります。
また、同じ40代でも40歳と49歳では、リスク許容度が異なりますので、下記はあくまで参考として捉えてください。
20代と30代
20代、30代は、資産を引き出すことができる60歳まで時間が十分あるので、すべて株式型で運用してもよいでしょう。ポートフォリオの例は、「国内株式50%、外国株式50%」などです。
40代
60歳という年齢が現実味を帯びてくる40代に入ったら、少しずつリスクを小さくしていくとよいでしょう。具体的には、株式型の比率を少し下げ、債券型の比率を少し上げます。ポートフォリオの例は、「国内株式40%、外国株式40%、国内債券10%、外国債券10%」などです。
50代
50代は、60歳以降の退職に備えて安定運用に移行するとよいでしょう。具体的には、株式型の比率を大きく下げて、債券型の比率を大きく上げます。ポートフォリオの例は、「国内株式10%、外国株式10%、国内債券60%、外国債券20%」などです。
60代以降
60代以降はiDeCo資産の取り崩しが始まるので、元本確保型を中心に運用するとよいでしょう。ポートフォリオの例は、「元本確保90%、国内株式5%、外国株式5%」などです。
iDeCoは老後資金づくりにもってこいの制度
今回は、iDeCoの概要やiDeCoでポートフォリオを組むときに気をつけたい3つのポイント、iDeCoの年代別ポートフォリオの例などを解説しました。
iDeCoは60歳まで資金を引き出すことはできませんが、かなり有利な税制優遇があるため、老後資金づくりにもってこいの制度です。自分で掛金を運用する必要があるので、今回の内容を参考にしながら、ポートフォリオを組んでみて下さい。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。
(提供:Wealth Road)