GameWith(6552)は国内最大級ゲーム情報サイトを展開する企業だ。月間平均ページビュー数は5億回を超え、大手検索サイトを含めたすべての国内サイトの中でも35位と高い順位。所属ライターによるユーザー目線のゲーム攻略や紹介、ゲーム動画が人気を集める。ゲームによる競技「eスポーツ」にも積極的に進出する予定だ。
30~40のゲームタイトル掲載
「正直な記事」で支持を広げる
同社は情報サイト「GameWith」を運営している。モバイルゲームアプリの情報に強みを持ち、直近では、ニンテンドースイッチ、プレイステーションなどの家庭用ゲームにも注力。毎月約4000万人がアクセスしており、そのシェアは40%と業界首位に立っている。
サイトでは、訪れるユーザーの動向から割り出した人気が上位のタイトルに注力することで、全ゲーマーの約8割をカバーできるという。掲載タイトルは常に入れ替えられており、最新のゲーム情報を知ることができる。
サイトのコンテンツは大きく分けて3つ。ゲームを有利に進めるための情報を提供する「ゲーム攻略」、新作ゲームを紹介する「ゲーム紹介」、そして専属のゲームタレントやeスポーツ選手が実況する「ゲーム動画」だ。同社はこれらのコンテンツ中に広告を掲載することで収益を得ている。
中でもゲーム攻略コンテンツからの収益は売上の約6割を占めている。
ゲーム攻略では、社内でチームを編成し、実際のプレイ後に記事を掲載。攻略するタイトルはモバイルゲームアプリが多いが、近年では人気の高い家庭用ゲームも掲載している。
「ゲーム会社からは攻略情報を事前にもらうが、そのまま載せるのではなく実際にプレイした上で、たとえば“5人のキャラクターの中で一番強いのはこれ”といった、ユーザーが真に必要とする情報を正直に掲載します。ユーザーに寄り添うことで大きな支持を得られ、ゲーム会社にも納得してもらっています」(緒方仁暁取締役兼執行役員COO)
後発サイトながら急成長
記事制作の組織化でトップに
同社の創立は2013年。ゲーム攻略メディアとしては、ファミ通(創刊1986年)、AppBank(サイト開設は08年)に比べて後発だ。同社は「GameWith」サイト開設の4年後の17年にマザーズ上場、19年に東証一部に市場変更。急速な成長を支えてきたのは、ウェブメディアならではのアップデートの速さと、組織的なサイト記事制作だ。
創立当時は日本でもトップランクのゲーマーだけを集め、プレイとともに記事を書いてもらい掲載していた。現在では社内マニュアルに基づき、ゲームプレイとライティング、動画編集などの分業による記事制作を展開。約300人のライターと協力スタッフが制作に関わっており、正確な記事を高頻度で更新する仕組みを構築している。
「記事制作を組織的に始めたのは当社が最初です。ライターには研修とともに、ポイントを絞って書くためのツールを用意し、ライティングが苦手な人でも伝わりやすいコンテンツを作りやすい環境を準備。社内には動画撮影スタジオがあり、編集も自社で行っています」(伊藤修次郎取締役兼執行役員)
最近では、ゲームのプレイ情報を提供することで報酬が発生する「ゲームプレイワーカー」の募集もスタートした。全国どこでも、未経験でもゲーム関連の仕事ができることから応募倍率は高い。
「ゲームプレイワーカーの時給は、難易度にもよるが1000円~1500円。他の仕事を持ちながら兼業している人がほとんどですが、現在1000人が登録しています。当社の“ゲームを仕事にする人を増やしたい”という思想が徐々に形になりつつある」(緒方COO)
家庭用ゲームにも注力
eスポーツブランド化で飛躍狙う
同社の21年5月期第3四半期の業績は、前年同期比で3・4%増の売上高となった。ゲーム攻略の売上は下回ったものの、ゲーム紹介、動画配信の売上は伸長している。
今後はコロナ禍でのゲーム需要拡大を背景に、モバイルゲームアプリとともに家庭用ゲームにも注力していく。
「ゲームはコミュニケーションツール。ネットでつながるゲームが増え、子どもたちが公園に行く代わりにゲーム上で集まって遊んでいます。そして同じゲームをニンテンドースイッチ、PS4、PCといろいろなプラットフォームで遊ぶようになって、境が消えてきている。我々はその全般をやりつつ、常にユーザーに寄り添っていく」(伊藤取締役)
新事業として注力しているのがeスポーツだ。同社が開催するオンラインeスポーツ大会の観客は毎回6万人程度おり、アーカイブ動画の再生も100万回を超えるなど関心が集まっている。また同社所属のeスポーツ選手「ネフライト」氏は、動画配信などを通じ、特に小学生から高い知名度と圧倒的な支持を得ている。
「他のスポーツは強さを強調することでスポンサーがつくが、eスポーツはファンに支えられ収益をあげるビジネス。ゲームを良く理解し、わかりやすく説明できる我々が運営することで、選手やチーム、大会のブランドを構築していけます。日本でそのスキームができたら、それを海外に持っていくことができる。狙える市場は大きいと感じています」(緒方COO)
▼eスポーツで活躍するネフライト選手は、小学生からの人気も高い
(提供=青潮出版株式会社)