リバースモーゲージは家を担保に金融機関からお金を借り入れる方法のことで、住み慣れたご自宅を売却せずに資金を得ることができます。しかし、資金の使用目的が制限されているなど、特徴をよく知っておくことが不可欠です。また、よく似たやり方を持つリースバックが向いている方もいるため、それぞれの違いについても理解しておくことが重要です。本記事ではリバースモーゲージの特徴や注意点、リースバックとの違いについて解説します。老後の資金調達を検討する際の参考にしていただけると幸いです。

老後資金の調達法リバースモーゲージのメリット・デメリット。リースバックとの違いとは?
(画像=SydaProductions/stock.adobe.com)

リバースモーゲージとは

老後資金の調達法リバースモーゲージのメリット・デメリット。リースバックとの違いとは?
(出典:国土交通省住宅局 住替え、リバースモーゲージについて

リバースモーゲージとは、主に老後に必要となるお金(生活に関わる老後資金)を確保するために家を担保にして金融機関からお金を借り入れる方法のことをいいます。そして、借り入れた人が死亡後に担保にした家を売却し借り入れたお金を返すことになります。

ただし、年齢や資金用途の制限などの条件があり(金融機関によって条件は異なります)、誰でも利用できるわけではないので注意が必要です。

リバースモーゲージのメリット

リバースモーゲージのメリットは以下の3つがあげられます。それぞれについて説明していきますので見ていきましょう。

家を売却しなくても利用できる

リバースモーゲージは家を担保にして資金を借り入れますが、生前に家を明け渡す必要はありません。つまり、金融機関から資金を借り入れたあとも住み慣れた家に住み続けることができ、今までと変わらず生活することができます。所有権を移転しないので、バリアフリーに改築するといったリフォームも可能です。

生前に支払うのは利息分のみである

死亡後に担保にした物件を売却することで融資を一括で返済するため、生前に支払う必要があるものは借入金に対する利息分のみになります。また、利息は借入金の残高に含むタイプもあり、毎月の支払いが生じないものもあります。

こうしたことから、他のローンとは異なり1ヵ月ごとの返済額が少額なため、生活費が圧迫されることなく、わずかな負担で老後資金を得ることができます。

住宅ローンからの借り換えができる

リバースモーゲージは住宅ローンから借り換えして活用することが可能です。例えば、住宅ローンの残債がある場合、リバースモーゲージを使うことで住宅ローンを完済したのち、余った資金を融資してもらうことができます。

住宅ローンと違って返済額が利息分になるため、1ヵ月分の負担が軽くなるのは大きな利点だといえるでしょう。ただし、借り換えをしなかったときよりも返済期間が長くなり総支払額は多くなります。

リバースモーゲージのデメリット

続いてはリバースモーゲージの注意点を詳しく解説していきます。

資金の使いみちが制限されている

リバースモーゲージは主に生活費やリフォーム代などに資金の使用目的が制限されています。そのため、投資用物件の購入といった投資や事業の設備費用に充てるといった目的で使用することは基本的にできません。資金の使用目的については金融機関によって異なるので、あらかじめ確認するようにしてください。

団体信用生命保険の利用ができない

リバースモーゲージでは、住宅ローンと違って団体信用生命保険(団信)に加入することはできません。団信とは住宅ローンの契約者が病気や事故などの不測の事態によって障害をおった場合や死亡した場合に、保険会社が住宅ローンの金額の残額を代わりに返済してくれる保険のことです。

リバースモーゲージは借り入れた人が死亡後に家を売って返済する仕組みのため、団信の目的から外れてしまいます。したがって、仮に残された家族がいる場合、融資の返済は必要がありませんが、引っ越し先を見つけなければなりません。

金利が上昇する可能性がある

リバースモーゲージは変動金利を採用しているケースが多いことから、金利上昇のリスクがあります。金利が著しく上昇すると1ヵ月ごとの利息分の返済額が大きくなるため、負担が大きくなってしまうことは避けられません。

不動産評価額が下落する可能性がある

リバースモーゲージの借入金は契約時の家の評価額に応じて決まります。しかし、不動産の評価額が悪くなると家の売却金だけでは返済できない可能性があるため、契約後は定期的に家の評価額を見直すことが一般的です。

そのため評価額が悪化した場合は、融資限度額の引き下げや融資が止まるという事態になる可能性があります。このように不動産の評価額が悪化したことによって不利益を被る可能性があることを理解しておく必要があります。

物件のタイプなど利用できない不動産の制限が多い

リバースモーゲージは一戸建て住宅を対象にしていることが多いです。そのため、金融機関によってマンションは対象外となるケースがあります。マンションが融資の対象に含まれていたとしても、さまざまな条件が設けられていることがほとんどです。

マンションの場合、一戸建て住宅と違い土地の持分が少なく、土地分だけを売却することができないため、対象外にしている金融機関はあるのは仕方がありません。マンションでリバースモーゲージを利用したい場合は、金融機関にあらかじめ対象であるかを確認するようにしてください。

リバースモーゲージとリースバックの違い

リバースモーゲージと似たサービスとしてリースバックというものがあります。リースバックとは家などを不動産会社に売却し、売却後も賃貸契約を交わすことで、住み続ける資金調達の仕組みのことです。家を活用した資金調達としては同じですが、2つの方法には以下の違いがあります。

不動産を売却するとしないのと違い

最も大きな違いが不動産を売却するかしないかです。リースバックは前述したように不動産を売って資金を調達するため、不動産の所有権は売り先の不動産会社などに移ります。一方でリバースモーゲージは不動産を担保として融資を受けるため、生前の不動産の所有権は自身にある状態です。

サービス名不動産の所有権
リースバック不動産会社
リバースモーゲージ自身

毎月の支払いの種類が違う

毎月の支払いの種類が違うことも大きな違いです。リバースモーゲージは融資に応じた利息金額を支払います。一方でリースバックは賃貸借契約を交わして家に住むため、支払いは家賃です。したがって、リバースモーゲージのほうが1ヵ月ごとの支払いは安くなる傾向にあります。

リバースモーゲージに向いている人

それでは最後に、どのような人がリバースモーゲージに向いているのかを見ていきましょう。

自宅を残さず老後の人生を楽しみたい人

現在は核家族化が進み、子どもは自立し他の地域に家を構えており、実家で一緒に住むといったケースが少なくなってきています。そうなると、死後、その家は空き家になってしまうことが多く、そのままにしておくにしても、処分をするにしても残された家族に大きな負担をかけてしまいます。

子どもたちにかける負担を避け、老後の人生を楽しみたい方や、そうした思いがあるご夫婦に向いているといます。また、子どもが複数人いれば、遺産トラブルの原因にもなりかねません。そのようなトラブルを回避したい方にも向いているといえるでしょう。

住宅ローンの支払いが厳しい人

住宅ローンの支払いが厳しく、負担を減らしたい人にも向いています。リバースモーゲージで借り換えを行えば、毎月の返済は利息のみになるため、負担は大幅に軽減できます。借り換えを行うことで住宅ローンの負担を減らして、余裕のある生活をおくることが可能です。

老後資金が不足している人

老後資金の不足を懸念している人にもリバースモーゲージはぴったりです。生前は売るわけではないので、家の所有権を誰かに移すことがなく資金調達ができるためです。

まとめ

寿命が伸びたことにより、年金や貯蓄だけでは老後の生活資金をまかないきれなくなるともいわれています。自宅を担保に金融機関から融資を受けるリバースモーゲージは、老後の生活の資金調達の方法として非常に有効な手段だといえるでしょう。

ただし、金利上昇や資金の使用目的の制限などがあるため、利用するにはよく理解することが重要です。将来、子どもには面倒をかけたくないという方や住宅ローンの支払いが厳しいという方、そして老後資金に不安がある方はリバースモーゲージの利用を検討されてみてはいかがでしょう。

(提供:Dear Reicious Online



【オススメ記事 Dear Reicious Online】
40代からの将来設計。早いほどおトクなマンション経営
マンション経営の物件選び!初心者がまず知っておきたい必須のポイント
少子高齢化社会が不動産の可能性に与える影響
「働く」だけが収入源じゃない 欧米では当たり前の考え方とは
実は相性がいい!?不動産×ドローンの可能性