前編では、チェンジの福留社長に上場の経緯や起業にかけた思い、具体的な事業についてうかがいいました。中期経営計画を策定した際は、あまりの強気な内容に投資家からホラ吹き呼ばわりされたそうですが、そうした周囲の疑問の目に対して、きっちりと目標を達成した福留社長。後編でも引き続き、福留社長に事業展開や業績、今後の見通しなどについて金融アナリストの三井智映子さんが切り込んでいきます。(※インタビューでは、撮影時以外のマスク装着やソーシャルディスタンスの確保など、新型コロナウイルスの感染防止に対する十分な配慮を行っています)
識者プロフィール
1976年生まれ。中央大学法学部卒業後の1998年にアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。政府官公庁グループに所属し、人や組織の変革、IT戦略立案などに従事する。2001年の独立後、2003年に創業メンバーとしてチェンジを設立し、代表取締役に就任。各種事業の立ち上げから2016年9月の東証マザーズ上場、2018年9月の東証1部上場に至るまで、数々のプロジェクトを経験。手掛けたプロジェクトは情報通信、ハイテク製造、システムインテグレータ、インフラ、中央省庁、地方自治体、電力、旅行、病院、公団、運輸、学校法人等で、eビジネス戦略立案、経営計画立案、海外法人設立など多岐に渡る。2018年12月より現職。
北海道小樽市出身。NHK教育「イタリア語会話」でデビュー。2011年東京にはモーターショーにてMCデビューを果たす。2014年1月に「五木ひろし特別公演」で八重次役を務めたほか、数々の番組に出演。2012年10月からフィスコリサーチレポーターとしてYahoo!ファイナンスで株価予想などを行うほか、テレビ、雑誌、Webなど活動の場を広げた。2013年に『最強アナリスト軍団に学ぶ ゼロからはじめる株式投資入門 』(講談社)を出版。2020年に独立し、解説投資の記事執筆やセミナー講師、動画配信などに従事。わかりやすい初心者向けの投資解説が武器。ツイッター@chiekomitsui、ブログ https://ameblo.jp/mitsui-chieko/
自治体とITベンダーの関係を変える!
三井 前編では上場の経緯や狙い、「LoGo(ロゴ)チャット」などについて話をうかがいました。引き続きよろしくお願いします。ロゴチャットに続き、今年の夏には「GAIA(ガイア、Government AI Assistant)」をリリースされました。こちらも、やはり地方自治体向けのサービスですね。
福留 ガイアは、自然言語処理のAIを活用した、地方自治体の業務標準化や課題解決のためのツールです。自治体の職員が負荷が高いと感じている業務や、改善したい業務の内容を文章で入力すると、事前学習済みのAIが数千もの業務を参照し、他の自治体がどう課題に取り組んでいるのかといった具体的な事例や、その業務の標準化に向けたフローなどが出てきます。
たとえば、「給付金申請書のチェック」と入力すると、給付金申請書の確認業務の自動化に向けた取り組み事例や、自動化・デジタル化するために必要なツールがすぐにわかるようになっています。
三井 業務の自動化やデジタル化について知識や経験がある自治体の職員は少なそうですし、それを行おうとすると、結局はIT企業に丸投げするしかないイメージです。
福留 これまで自治体職員とITベンダーは距離が遠く、職員側からするとITベンダーに自動化のシステムを発注すると膨大なコストがかかる印象があり、なかなか依頼しづらかったという歴史があります。その一方で、ITベンダー側からしても、1つの地方自治体の案件では規模はさほど大きくないのに手間はかかるという認識があります。ロゴチャットやガイアというツールを通して両サイドの距離を縮めることで、従来の地方自治体とITベンダーのあり方、構図を変えていきたいんです。
ITベンダー側も従来の認識を改め、自治体とITベンダーが同じ方向を見ることができれば、地方自治体の生産性、引いては地域社会の環境改善につながると考えています。
三井 すでにトラストバンクの顧客基盤を通じて多くの地方自治体とのパイプができているので、ガイアのような地方自治体向けのサービスもスムーズに展開できそうですね。
福留 地方自治体の顧客化というのは、本来ものすごく大変なことなんです。