本記事は、カレー沢 薫の著書『反応したら負け 仕事のストレスを受け流す33のヒント』(PHP研究所)の中から一部を抜粋・編集しています
「責任丸投げオジサン」から身を守れ!
「君ならできる!」という最高に甘い罠
今回のテーマは「責任丸投げオジサン」の対処法だ。
たとえば「『改革が必要だ!』と息巻いておきながら、修羅場になると颯爽(さっそう)と逃げるだけでなく、逃げてからその場に火を放つ鬼畜」がいたらどうするか、という相談である。
この話、たとえの割には随分具体的だが、よもや『THE21』の編集部にそんな人間がいるわけがない。PHP研究所の人間は全員ジョブズの生まれ変わりだと聞いている。それはそれでハゲそうな職場だが、少なくともジョブズは部下に丸投げなどしないはずである。無理難題を投げつけてくるだけだ。
その手のオジサンの性質(たち)が悪いところは、調子と威勢がいいところである。覇気(はき)のないオッサンがハナクソのように仕事を投げつけてきたら、こちらだってハナクソのついた企画書を提出するしかない。
それはそれで怒られるが、そんなハナクソと涎(よだれ)で湿った仕事は、そこまで大火事になることもないのだ。
しかし、一見やる気がみなぎっている上司が壇上で「ダー!」みたいなことを言っていたら、少なからずその気になってしまうものである。
特に自分に自信がなく、逐一「ダメ元で」とか「効果を保証するものではありませんが」や「個人の感想です」などと予防線を張りたがる人間は、臆面もなくでかい事を言い切る人間に弱い(※個人の感想です)。
そういう人間の話を聞いているとテンションが上がってしまうし、「君ならできる」「君を見込んで」と言われると、その気になってしまうのだ。
その気になってしまうとどうなるか、というと「無駄にはりきってしまう」のだ。
料理の腕がない人間がはりきって、難易度の高い料理を作ろうとすると、大体手の込んだ生ゴミができる。
しかし、冷蔵庫の腐った食材を適当に料理してゴミができたというなら被害は少ないが、はりきっていると高価な食材や時間をドブに捨てがちなのだ。
つまり、仕事もはりきるほど、失敗したとき大ごとになるし、損害も大きい。
上司への報告を、形にして残そう
また「君に任せた」を真に受けて、本当に自分が取り仕切り、上司への報告もあまりしていなかったりする。
そうなったらもはや上司の責任とは言えなくなってしまい、上司は「何か大変なことになってオラわくわくしてきたぞ!」と対岸から火炎瓶を投げつけてくるのだ。
よって、まずそういうオジサンが「君を見込んで!」と威勢のいいことを言って来たら、「俺を見込んでいる時点で見る目がない」とまず警戒しよう。
そして仕事を任されてしまったら、その仕事に「上司を丁寧に巻き込む」ことが大事である。具体的には何をするにも上司の許可と確認をとってからやるべきだ。一つでも独断でやるとそれは自分の責任になってしまう。
また、それらの報告はメールなど形に残る方法でやった方がいい。
メールやLINEでの業務連絡が当たり前になり、業務連絡のために交換した女子社員のアドレスに私的なメールを送る新しいセクハラが登場したのは不幸だが、逆に「セクハラの動かぬ証拠を押さえやすくなった」とも言える。
また、メールでのやりとりも一対一ではやらない方がいい。
上司だけではなく「会社ではタイマンを張らない」は鉄則である。二人だけの話になると、言った、聞いてないの泥仕合となり、そうなると調子のいい人間の方が勝つ。
調子が悪い人間が勝つには、物的証拠、そして証人が必要なため、後に重要な証拠になりそうなメールは誤爆を装ってでも、他の人間にも送っておいた方がいい。
火事になったらすぐ逃げ、油を注ごうとする人間には、報告や確認というガソリンをかけて「今火がついたら俺も燃えるな」と思わせることが大事である。
まとめ:責任から逃れようとする上司を「丁寧に巻き込もう」
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