本記事は、カレー沢 薫の著書『反応したら負け 仕事のストレスを受け流す33のヒント』(PHP研究所)の中から一部を抜粋・編集しています
仕事や誘いの「上手な断り方」
自分の評価を下げないために仕事を断る
正直、自分が聞きたい。仕事を安請け合いした自分を受精卵の段階から抹殺したいと思うのは日常茶飯事だし、会社員時代、行きたくもない飯を断れず、シャリというより砂利を使っているとしか思えない寿司を食ったことも一度や二度ではない。毎日3食、100年生きたとしても、食事の回数は10万回しかないのだ、その貴重な1回を石や砂を食うのに使うなんて、もったいないとしか言いようがない。
仕事もフリーランスならやっただけ収入になるからまだいいが、固定給の場合、自分の仕事以外のことをやらされるのは損なだけである。
あのキティちゃんに、あらゆるコラボ企画の話がくるのも彼女に「仕事を断らない女」というイメージがついてしまっているからだ。キティさんはバリキャリウーマンなので、どんな仕事でも難なくこなすが、常人に「仕事や誘いを断らない奴」というイメージがつくのは大変危険である。どんどんやらなくていい仕事が舞い込み、プライベートの時間が削られ、飯が砂になる。
断れない人間がなぜ断れないか、というと、まず断ることにより相手の不興を買うのが怖いというのがある。しかし安請け合いし、キャパオーバーになって迷惑をかけたら結局評価が下がってしまう。
よってまず、評価を下げないために断らない、ではなく「下げないために断る」と考えるようにしよう。
相手に悪印象を与えない断り方
そして重要なのが断り方だ。容姿が優れないことを「ブス」と言うのと「上級者向けの顔」と言うのとでは相手に与える印象がまるで違う。断るにしても相手に悪印象を与えない言い方をしなければならない。
ここで手本にしたいのが、『ジョジョの奇妙な冒険』に出てくる、岸辺露伴(きしべろはん)先生だ。彼の有名なセリフに「だが断る」というのがある。一見、不遜極まりないセリフだが、注目してもらいたいのは「だが」の部分である。
これは相手の提案やお願いが魅力的であることは理解しているが、あえて断るという意味での「だが」だ。つまり「大変もったいないお話ですが、辞退させていただきます」という意味である。
このように、お願いを断る時は「残念だけど断らざるを得ない」という態度で断わった方がいい。決して「何で」「嫌だ」など、相手の申し出が不愉快であるような断り方をしてはいけない。
だが「残念ながら」だけだと「残念ならやれよ」という話になってしまう場合がある。なぜできないか「理由」も言い添えた方がいい。
何かから逃れる常套句(じょうとうく)と言えば「親族の葬式」だが、あまり多用して親族が増えすぎると、お前の一族はLDHファミリーか、という風になってしまうし、そのような嘘はバレた時のリスクが高い。よって、「家庭の事情」など、嘘をつくにもぼんやりさせておいた方がバレにくい。
また、断るだけでなく「来世ではぜひ」など、次を匂わすことにより、今回はたまたまダメだったことをアピールしよう。
しかし、中には、上司からのしつこい食事の誘いなど、二度と誘われたくない誘いもあるだろう。「次はぜひ」などとワンチャンを与えていたら永遠に誘われ続けてしまう。はっきり断ればいいとは言うが、相手が目上だと、なかなかそうはいかない。
そこで使いたいのが「えっ!?」である。イエス、ノーすら言わずに「マジで言っているのか、お前?」という驚きのリアクションをとることにより、相手が自ずと「まずいことを言った」と思う場合がある。また「プライベートで食事を? 二人きりで?」と相手の誘いをそのまま復唱するのもいい。
ただ、それでも果敢(かかん)に誘ってくる者はいる。そんな時は、飯の回数は10万回しかないことを思い出して、はっきり断ることも必要だ。
まとめ:相手の誘いを復唱し、驚きのリアクションを!
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