結果の概要:着工件数、許可件数ともに前月、市場予想を上回る

米住宅着工・許可件数
(画像=PIXTA)

12月16日、米国センサス局は11月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は167.9万件(前月改定値:150.2万件)と21年3月(172.5万件)以来の水準となり、152.0万件から下方修正された前月、市場予想の156.7万件(Bloomberg集計の中央値)を大幅に上回った(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は171.2万件(前月改定値:165.3万件)と、165.0万件から小幅上方修正された前月、市場予想の166.1万件を上回った(図表2、図表5)。

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(画像=ニッセイ基礎研究所)

結果の評価:住宅市場の供給制約にも関わらず、着工件数は21年3月以来の水準に回復

住宅着工件数の伸びは前月比+11.8%(前月:▲3.1%)と3ヵ月ぶりにプラスに転じた(図表3)。内訳をみると、戸建てが+11.3%(前月:▲3.2%)、集合住宅が+12.9%(前月:▲2.8%)といずれも前月から2桁のプラスに転じた(図表4)。

前年同月比では+8.3%(前月:▲0.8%)と前月からプラスに転じた。戸建てが▲0.8%(前月:▲9.3%)と3ヵ月連続でマイナスとなった一方、集合住宅が+37.1%(前月:+27.3%)とプラス幅が拡大して全体を押し上げた。

地域別寄与度(前月比)は、中西部が▲1.1%ポイント(前月:+1.1%ポイント)と前月からマイナスに転じたものの、北東部が+1.9%(前月:▲1.6%ポイント)、南部が+9.7%ポイント(前月:▲1.0%ポイント)、西部が+1.3%ポイント(前月:▲1.5%ポイント)と中西部以外の地域ではいずれも前月からプラスに転じた。

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(画像=ニッセイ基礎研究所)

先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+3.6%(前月:+4.2%)と2ヵ月連続のプラスとなった(図表5)。戸建てが+2.7%(前月:+3.2%)、集合住宅が+5.2%(前月:+6.2%)といずれも2ヵ月連続でプラスとなり、回復が続いていることを示した(図表6)。

前年同月比は+0.9%(前月:+3.6%)と2ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが▲4.5%(前月:▲5.9%)と4ヵ月連続でマイナスとなったものの、集合住宅が+12.6%(前月:+27.5%)と2桁の伸びを維持して全体を押し上げた。

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(画像=ニッセイ基礎研究所)

一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、12月が前月比+1ポイントの84(前月:83)と、4ヵ月連続の上昇となったほか、21年2月以来の水準に回復した(図表7)。

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(画像=ニッセイ基礎研究所)

内訳は販売見込みが84(前月:84)と横這いとなったものの、販売現況が90(前月:89)、客足が70(前月:69)と前月比+1ポイント上昇した。

NAHBチーフエコノミストのディーツ氏は住宅市場にとって最も差し迫った問題は在庫不足としたほか、建設は増加したものの、建材価格の上昇や労働力不足、住宅建設用地の不足などの供給制約に直面しているとしており、住宅市場の供給制約は厳しい状況が続いていることを指摘した。


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窪谷 浩 (くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

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