ビットコイン(BTC)は底堅い動きが続いている。米司法省が、2016年に香港の大手暗号資産(仮想通貨)取引所Bitfinexで起きたハッキング流出事件のビットコイン約36億ドル(約4,150億円)相当を押収したとのニュースをはじめ、インド政府が中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行を計画していることや、ロシアが新たな規制法案で暗号資産を「デジタル金融資産」ではなく、「通貨」として認定する方針であるなどといったポジティブな報道が市場を下支えしている。
これらの要因もあり、ビットコインは一時4万5000ドル(約520万円)まで上昇した。しかし米株式市場の終盤でデイリー米サンフランシスコ地区連銀総裁が利上げの指示と早期のバランスシートの縮小に着手することを表明すると、発言後から売り圧力が強まり、4万3000ドル(約497万円)まで下落。現在も同水準での推移が続いている。市場は相変わらず利上げの動向には敏感であると言えるだろう。
アルトコインもビットコイン価格の底堅さに連動し好調を維持している。イーサリアム(ETH)は日本時間6時頃、3250ドル(約36万6,000円)を超え、1月27日以降上昇トレンドを描いている。またこの1週間は、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)、リップル(XRP)など、長くから暗号資産市場で取引されてきた銘柄が勢いよく価格を戻している。特にリップルはこの1週間で45%近い上昇となっており、引き続き市場を牽引している模様だ。
現状の暗号資産市場は、1月最初に起きた「極度の恐怖」の状態からは脱していると見ることができる。Fear&Greed Indexではセンチメントが改善されたことを伺うことができる。現在は恐怖(Fear)と強欲(Greed)の間のニュートラルな状態だ。
現状、順調な推移をたどっている暗号資産市場であるが、懸念すべき事項もある。日本時間10日夜に発表の米CPI(消費者物価指数)が予想を上回る伸びとなった場合、米金融当局は2000年以来となる、1度で0.5ポイントの大幅利上げを検討する状況になる。0.5ポイントの利上げが証券市場と暗号資産市場に与えるインパクトは非常に大きなものとなるため、今後も急激な値動きに注意が必要だ。(提供:月刊暗号資産)