ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が16日、今年2月17日にウクライナ議会で採択されていた「暗号資産に関する法律(On Virtual Assets)」に署名した。これにより、ウクライナで暗号資産取引を含む関連サービスを行うことが合法となった。
この法律は、ウクライナにおいて暗号資産(仮想通貨)を合法とし、市場を形成するための条件整備を目的としている。
「暗号資産に関する法律」はデジタルトランスフォーメーション省が1年の策定期間を費やし、2020年6月にウクライナ議会に提出されていた。その後も修正を加え、昨年9月に法案が可決。しかし、ゼレンスキー大統領は規制監督体制が不十分であると指摘し、承認しなかった。
今年2月に承認された法案は、ゼレンスキー大統領自身が提案した同国の既存機関である国家証券・株式市場委員会が暗号資産に関する監督を行う案で、これを承認した格好だ。
「暗号資産に関する法律」の具体的な内容としては、暗号資産の法的地位、分類、資産の保有権を認めるものとなる。
また、暗号資産市場に関する規制策定のほか、金融監視措置の実施について国家証券・株式市場委員会が行うと明記。同機関は暗号資産関連サービスを提供する企業に対し、ライセンスを付与する発行する権限も持つ。
ウクライナの銀行においても今回の合法化に伴い、暗号資産関連サービス事業者に対して口座開設をはじめとする銀行サービスを提供することが可能となった。
これまで暗号資産に関する枠組みを整備してきたデジタルトランスフォーメーション省は今後、税法と民法の改正に取り組んでいく。
現在、ウクライナではロシアによる軍事侵攻を受け、暗号資産による寄付を受け付けている。すでに政府およびNGO(非政府組織)団体のもとに集まった暗号資産は1億ドル(約118億円)相当にのぼると推定されており、世界各国から支援の輪が広がっている。(提供:月刊暗号資産](https://digitalassets-online.jp)