この記事は2022年9月6日に「CAR and DRIVER」で公開された「【最新SUV研究】もはや BMWを超えた!? マツダCX-60のドライビング・エンターテインメント性能を実感」を一部編集し、転載したものです。
マツダCX-60 価格:299万2,000~626万4,500円 試乗記
2つの武器を持つプレミアム、それがCX-60
CX-5での成功体験を踏まえ、マツダは本格的にプレミアムという新領域(ラージ商品群)にチャレンジする。その武器として、縦置き後輪駆動ベースのアーキテクチャーと直列6気筒エンジンを新開発した。
第1弾のCX-60の開発コンセプトは「ドライビング・エンターテインメント」。運転するほど元気になり、行動範囲を広げ、家族や仲間との新しい楽しさを味わわせてくれるクルマとして開発したという。「走る歓び」を追求してきたマツダらしいアプローチである。
パワートレーンは、4気筒ガソリンのPHEV、6気筒ディーゼルおよび同MHEV、4気筒ガソリンの計4種類が用意される。ディーゼルのMHEVとガソリンのPHEVのプロトタイプにテストコースで試乗した印象は、どちらも上々だった。
直6ディーゼルは3.3リッターという排気量から受けるイメージに対しては控えめな気もしたが、発進直後に効果を発揮するMHEVが、出足を軽やかにしてくれていて、低~中速域ではディーゼルらしい豊かなトルクを味わえた。迫力ある効果音でエンジンの鼓動と音が楽しめるのもうれしい。
PHEVは大きなモーターと十分なバッテリー容量により、60km以上の距離をEV走行できるのがポイント。走りは瞬発力があり、エンジンが加わったときの加速はかなり力強い。電動車らしく静粛性もハイレベルに仕上げられ上質感も十分。走りはPHEVとしての新鮮味があった。ノーズが軽くハンドリングがスポーティな点も好印象だ。
マツダにはロードスターで培ってきたFRのノウハウがある。CX-60はその経験が存分に生かされている。FFではピッチ挙動が出がちで前後に揺さぶられがちなところ、バウンス挙動で凹凸をいなす乗り心地を実現できるのは、FR化の大きなメリットのひとつだ。
内外装は上質。定評あるマツダの新世代商品群の流れを継承しながら、これまでにない表現にも挑戦した。西陣織から着想を得たというプレミアムモダンの室内装飾は極めて斬新で興味深い。一方のプレミアムスポーツのタン内装も鮮烈で目を引く。
視界も良好である。クルマ自体の死角が少なくなるよう配慮されているほか、360度モニターに新たにシースルービューを加えるなど進化している。さらに安全機能も万全。マツダ独自のドライバー・パーソナライゼーションシステムやドライバー異常時対応システムのメリットを感じるシチュエーションもあるだろう。
CX-60のドライビングパフォーマンスは魅力的。本当に楽しみだ。
マツダCX-60主要諸元
グレード=XDハイブリッド・プレミアムモダン
価格=8SAT 547万2,500円
全長×全幅×全高=4,740×1,890×1,685mm
ホイールベース=2,870mm
トレッド=フロント:1,640/リア:1,645mm
最低地上高=180mm
車重=1,940kg
エンジン=3,287cc直6DOHC24Vディーゼルターボ(軽油仕様)
最高出力=187kW(254ps)/3,750rpm
最大トルク=550Nm(56.1kgm)/1,500~2,400rpm
モーター最高出力=12kW(16.3ps)/900rpm
モーター最大トルク=153Nm(15.6kgm)/200rpm
WLTCモード燃費=21.0km/リッター(燃料タンク容量75リッター)
(市街地/郊外/高速道路:18.0/21.2/22.4km/リッター)
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=235/50R20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.4m
(提供:CAR and DRIVER)