この記事は2022年9月7日に「ニッセイ基礎研究所」で公開された「外株アクティブはこれからどうなる?~2022年8月の投信動向~」を一部編集し、転載したものです。

投信動向,投資信託
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目次

  1. 資金流入は新設ファンドを除くと7月と同規模
  2. アクティブ型の外国株式ファンドへの資金流入がほぼ止まった
  3. 外国株式のアクティブ型は2、3年で売却が膨らむ傾向があったが今回は?
  4. インデックス型の外国株式、バランス型の資金流入は堅調
  5. トルコ、ブラジル関連ファンドが好調

資金流入は新設ファンドを除くと7月と同規模

2022年8月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、主として国内株式を投資対象とするファンドだけが流出し、それ以外は資金流入となった【図表1】。ファンド全体には5,300億円の資金流入があり、7月の4,500億円から約700億円増加した。ただ、8月は新設された限定追加型のCB(転換社債)ファンド(【図表2】赤太字)2本合計で800億円の資金流入があり、新設ファンドによって資金流入がやや膨らんでいた面がある。実際にこの新設CBファンド2本を除くとファンド全体で4,500億円の純流入となり、7月と同規模であった。

さらに8月は資産クラス別にみても、新設ファンドやSMA専用ファンド(紺棒)を除くと、7月とほぼ同規模の資金流出入であった。外国債券ファンドに1,300億円の資金流入があり7月の900億円から増加したが、外国債券ファンドとして取り扱った新設CBファンド2本とSMA専用ファンドを除外すると、外国債券ファンドへの資金流入は40億円程度と7月の80億円よりむしろ少なかった。

2022年8月の投信動向
(画像=ニッセイ基礎研究所)
2022年8月の投信動向
(画像=ニッセイ基礎研究所)

アクティブ型の外国株式ファンドへの資金流入がほぼ止まった

ただ、外国株式ファンドは全体で見ると8月は7月と大差なかったが、内情がやや異なっていた。外国株式ファンドへの資金流入は2,500億円と7月の2,700億円から200億円減少した。これは、あくまでもSMA専用ファンド(【図表2、3】紺棒)に300億円の資金流入と7月の500億円から200億円減少したためである。SMA専用ファンドを除外すると2,200億円の資金流入と7月と同規模であったが、8月はその資金流入のほぼすべてがインデックス型(【図表3】黄棒)への流入だった。

つまり、アクティブ型の外国株式ファンドは個別でみると売れたもの(【図表2】青太字)もあったが、全体(【図表3】緑棒)でみると2020年7月から続いていた資金流入が2022年7月に急減し、この8月にほぼ止まった。8月は中旬まで7月から引き続き米国株式を中心に世界的に株価が上昇し、さらに円安の進行も相まって外国株式ファンドは総じて好パフォーマンスであった。そのため利益確定売りに動く投資家や、高値警戒感から購入を見合わす投資家も多かったと思われる。

なお、8月にアクティブ型で資金流入が最も大きかった「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D毎月(ヘッジなし)予想分配金提示」は、流入金額248億円のうち50億円程度が分配金の再投資によるものであったと推測される。分配金の再投資を除いても200億円前後の純流入とよく売れたことには変わりないが、流入金額が分配金の再投資によって25%増しに膨らんでいたといえよう。

2022年8月の投信動向
(画像=ニッセイ基礎研究所)

外国株式のアクティブ型は2、3年で売却が膨らむ傾向があったが今回は?

アクティブ型の外国株式ファンド、特にテーマ型のものは投資家から人気を集め大規模な資金流入があってから2、3年後には資金流出に転じる、もしくは大規模な資金流出が起こるという傾向が、過去にみられてきた。つまり、アクティブ型の外国株式ファンドを購入してから2、3年で手放す投資家が多かったといえる。

この8月にアクティブ型の外国株式ファンドの資金流入が止まったのは、あくまでも先述した通り市場環境の影響が大きかったと思われる。ただ、アクティブ型の外国株式ファンドの大規模な資金流入が始まった2020年7月から足元、2年以上経過してきている。過去の傾向を踏まえると、2年前にアクティブ型の外国株式ファンドを購入した投資家の一部が、そろそろ売却を考える頃合いとみることもできる。アクティブ型の外国株式ファンドはこれまで売れに売れていただけに、これから予想外に売却が膨らむ可能性もあり、今後の動向が注目されよう。

これまでアクティブ型の外国株式ファンドを購入していた投資家の一部が足元、高配当や分配金に着目してか国内REITファンドを購入しているものと推測される。実際に国内REITファンドは毎月分配型(【図表2】緑太字)のものを中心に8月も400億円の資金流入があり、5月以降、400億円前後の資金流入が続いている。今後、アクティブ型の外国株式ファンドが大量に売却された場合にその売却資金がそのまま待機資金となるのか、それとも一部は他のアクティブ型、もしくは国内REITなど他の資産クラスのファンドや投信以外の金融商品に向かうのか、その動向も気になるところである。

インデックス型の外国株式、バランス型の資金流入は堅調

外国株式ファンドでも、インデックス型(黄棒)には8月に2,200億円の資金流入があり、7月の2,000億円から200億円増加した【図表3】。8月は7月と異なり下旬に下落したため、その分、資金流入が7月と比べて多少、膨らんだものと考えられる。あくまでも7月の資金流入が2022年に入って最小であったため、8月も特段、多かったわけではない。毎月、市場環境に左右されながらも積立投資などに下支えされ、2,000億円から3,000億円程度の安定した資金流入が続いている。

また、バランス型ファンドにも8月は900億円の資金流入があり、7月の800億円から小幅であるが増加した。さらにSMA専用ファンド全体にも1,400億円の資金流入があり、7月の1,500億円から比べるとやや減少したが、引き続き大規模な資金流入があったといえる。バランス型ファンドやラップ口座などの簡単に分散投資が実践できる金融商品の販売も、堅調であった様子である。

その一方で国内株式ファンドは、インデックス型(黄棒)を中心に8月に500億円の資金流出があり、2カ月連続の流出超過となった【図表4】。8月はインデックス型以外にもアクティブ型の国内中小型株ファンド(蛍光の緑棒)も、金額自体は60億円と少額であったが資金流出に転じた。国内中小型株ファンドは2022年に入って初めての純流出であった。8月は中旬に日経平均株価が1月上旬以来、7カ月ぶりに2万9,000円台をつけるなど、国内株式は外国株式と同様に中旬まで好調であったため、利益確定の売却が膨らんだ様子である。それでも下旬に株価下落に伴って買い直される動きもあったため、8月通してみると資金流出がやや抑えられた。

2022年8月の投信動向
(画像=ニッセイ基礎研究所)

トルコ、ブラジル関連ファンドが好調

8月に高パフォーマンスであったファンドをみると、景気回復が見られていることもありトルコ(赤太字)やブラジル(青太字)といった一部の新興国単一地域の株式、債券や通貨選択型といった関連ファンドが特に好調であった【図表5】。

2022年8月の投信動向
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(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。

前山裕亮(まえやま ゆうすけ)
ニッセイ基礎研究所 金融研究部 准主任研究員

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