レバレッジ投資信託が広く知られるようになったのは、SNSなどで話題となった「レバナス」投資の影響が大きいだろう。参照指標に対し2倍、3倍と、レバレッジ倍の運用を目指すこのレバレッジ投資信託。本記事ではその仕組とメリット・デメリットを合わせて詳しく解説する。戦略的に使えば大きなリターンも得られるレバレッジ投資信託について、詳しく見ていこう。

目次

  1. レバレッジ投資信託(レバレッジファンド)とは?
  2. レバレッジ投資信託(レバレッジファンド)の値動きの特徴
  3. レバレッジ型投資信託(レバレッジファンド)は一方向の相場局面に強い、短期投資を狙った商品
  4. レバレッジ投資信託に投資をするメリット、デメリット
  5. レバレッジ投資信託(レバレッジファンド)に投資をするデメリット
  6. ネットで話題の「レバナス」もレバレッジ投資信託(レバレッジファンド)
  7. レバレッジ投資信託(レバレッジファンド)が活きる相場局面とは
  8. レバレッジ投資信託(レバレッジファンド)は長期投資には不向き。戦略的に利用したい

レバレッジ投資信託(レバレッジファンド)とは?

レバレッジ投資信託とは? 順調だった「レバナス投資」の落とし穴
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レバレッジ投資信託とは、インデックス型投資信託のように参照指数に対して連動を目指すパッシブ型投資信託(ファンド)の一種だ。ただし、対象とする参照指数の1日の変動率に一定のレバレッジ(倍率)を掛けた比率で動くことを目指して設定されているところが、通常のインデックス型投資信託と大きく異なる。

日本株の代表的な指数には日経平均株価、東証株価指数(TOPIX)などがあるが、今回は日経平均株価を参照指数とする投信について考える。通常のインデックス型投資信託の場合は、日経平均の騰落率と同じ比率で動く。それは、ファンドの残高に応じて、日経平均採用されている225銘柄を構成比率どおりに保有しているか、日経平均先物を同額保有しているからだ。日経平均が3%上がれば投信も3%上がるし、日経平均が3%下がれば投信も3%下がる仕組みだ。

一方、レバレッジが2倍のレバレッジ投資信託の場合、日経平均株価が翌日に3%上がると、ファンドは6%上がる運用を目指している。そのため、レバレッジ投資信託は指数先物をファンドの純資産の倍、買い建てる仕組みである。そのため指数とファンドの価格が連動しないこともあり得るのだがこれについては後章で詳しく説明する。

ちなみに、日経平均を参照指数とする投資信託としては、東京証券取引所に上場している「日経平均レバレッジ<1570>」が有名だ。売買代金も常に市場の上位にランクされている。

米主要株価指数である、NYダウ、S&P500、ナスダック指数などを参照する商品もある。特にナスダック100指数にレバレッジを掛けた投資信託(レバナス)は人気で、「iFreeレバレッジNASDAQ100」「楽天レバレッジ NASDAQ-100」などがそれにあたる。「iFreeレバレッジNASDAQ100」の仕組みを以下で紹介しよう。

▽「iFreeレバレッジ NASDAQ100」目論見書記載のファンドの仕組み

レバレッジ投資信託(レバレッジファンド)の特徴

参照指数の2倍、3倍と、設定されているレバレッジ倍の運用を目指すレバレッジ投資信託。じつは短期のトレーディングに適した投資信託であり、長期においてはメリットが薄れることが特徴だ。

ニッセイ基礎研究所のレバレッジ型ETF の概念図(図1)を参考に説明しよう。ETFは投資信託の一種であり、レバレッジ型の運用説明として参考にできる。

たとえば、純資産100億円のファンドなら、レバレッジ2倍の場合、200億円の先物を保有する。

指数が10%値上がりすると先物も10%値上がりする。先物で20億円の利益が出て、ファンドの純資産は120億円になる。その時点での先物の保有額は220億円だ。翌日の変動率を2倍にするためには240億円の先物を保有しなくてはならない。そのため20億円の先物を買い増す必要がある。

逆に、純資産100億円のファンドが10%下がった場合、先物200億円の10%が下がるので、純資産は80億円となる。先物の保有額は180億円なので2倍の160億円にするために20億円の先物を売らなくてはならない。

▽図1:レバレッジ型ETFで見るレバレッジ型商品の運用イメージ

このように、常に上値では先物の買い増し、下値では先物の売りを繰り返すことで、長期ではコストがかかり指数とパフォーマンスが一致しなくなる。

ニッセイ基礎研究所が、日経平均のアベノミクス後の上げ相場、15年の下げ相場とその反騰局面で日経平均株価と日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(日経レバ)を検証したのが図2だ。

日経平均が上げ基調だった期間Aでは日経レバは日経平均に対し2.07倍となり2倍を超えた。期間Bの下げ相場からの反騰局面では日経レバの下げ幅が2.14倍となり下げ幅が2倍を超えた。全期間を持ち続けた場合は、日経のパフォーマンスの1.85倍で2倍を下回る。

レバレッジ投信は、短期の値幅とりや継続的な上げ相場には強いが、下げ相場や相場がボックス圏にあるときではパフォーマンスが悪くなることが多い。

▽図2:ニッセイ基礎研究所で紹介された2015年の日経平均株価の推移と日経レバのパフォーマンス

レバレッジ型、インバース型の違いとは?

レバレッジ投資信託には、動きが反対となる「インバース型」がある。インバース型は通称「ベア型」とも言い、対象となる指数の動きに対し反対の変動率になることを目指したファンドだ。対象となる指数の先物について、売りを保有することで逆の値動きを実現している。仮に日経平均が3%上昇すると、レバレッジのかかっていないインバース型ファンドは3%下落し、レバレッジ2倍のインバース型なら6%下落するように設計されている。インバース型もうまく活用できれば有効なので後章で詳しく説明する。

ちなみに、インバース型ファンドをベア型と呼ぶのに対して、先に紹介したように対象指数と同方向の値動きをするレバレッジファンドは「ブル型」と呼ぶ。ブルは強気、ベアは弱気をそれぞれ意味している。

▽インバース型とは

日経平均株価やTOPIXなどの指数(原指数)の日々の変動率が一定のマイナスの倍率になるように設計されたもの。ベア型とも呼ばれる。

例えば、インバース型ETF(倍率2倍)であれば、日経平均株価が5%下落すると10%上昇するように設計されます。インバース型は指数が下落すると収益が出て、上昇すると損失が出ます。

引用:日本証券業協会 | 投資の時間 | インバース型とは

レバレッジ投資信託(レバレッジファンド)の値動きの特徴

レバレッジ投資信託は、対象とする参照指数の日々の騰落率に対してレバレッジを掛けることを目指している。毎日の連動を目指す仕組みなので、2日以上保有した場合は設定したレバレッジ倍にはならない特徴を持つ。この特徴は十分注意して理解をする必要がある。以下、「金融庁」の資料から、2日間の大きな値動きを例にして、具体的に検証してみたい。

レバレッジ投資信託(レバレッジファンド)の値動き例(1):基準指数が上昇または下落し、元の価格に戻る場合

対象となる指数が上昇、あるいは下落してから元の水準に戻ったケースを見てみる。いわゆる、「往って来い」になった場合だ。指数は元に戻って、変わらずだが、レバレッジ投信は上げたケースでも下げたケースでも基準価格は投資額を割り込む。

▽例1-1:参照指数が1日目「下落」、2日目「上昇」の場合のレバレッジ型の指数の動き

上図の例1-1は、元の指数を100として、翌1日目に80になり、その2日目に100に戻ったケースだ。初日の下落率は20%、2日目の上昇率は25%である。レバレッジ投資信託は、参照指数の倍動くので、初日に20%下げ、翌日は50%上げることになる。したがって、レバレッジ投資信託の基準価格は初日に60、2日目には90となり最初の100を割り込む。

▽例1-2:参照指数が1日目「上昇」、2日目「下落」の場合のレバレッジ型の指数の動き

続いては、元の指数を100として、1日目に125になり、その2日目に100に戻ったケース(例1-2)だ。例1-1の逆の動きを見てみよう。

参照指数の騰落率は、1日目が25%上昇、2日目に20%下落した。この場合のレバレッジ投資信託は、1日目に50%上げ、2日目には40%下げる。そうするとレバレッジ投資信託の基準価格は1日目に150となるが2日目には90と最初の値段を割り込む。

いずれにしても、いわゆるレンジ相場の市場では、どちらの場合も基準価格は下がってしまうことがわかるだろう。

レバレッジ投資信託(レバレッジファンド)の値動き例(2):連続して上昇、連続して下落の場合

対象指数が連続して上昇、または下落するケースでは、レバレッジ投資信託のパフォーマンスはどうなるのだろう。指数の100が、1日目に120に上がり、2日目に150になったケースだ(例2-1)。

▽例2-1:参照指数が1日目「上昇」、2日目「上昇」の場合のレバレッジ型の指数の動き

上記の例2-1は、初日の参照指数の上昇率は20%、翌日の上昇率は25%となった場合だ。このときレバレッジ投資信託は、初日に40%上げ、翌日50%上がることになる。したがって基準価格は1日目140、2日目に210となる。参照指数が50%上げたのに対し、レバレッジ投信は2日間で110%上昇となり、連続高だと参照指数の上昇率50%の2倍を上回る。

では、参照指数が連続して下げる場合はどうだろう。以下の例2-2を見てみよう。参照指数100が1日目に80、2日目に60となったケースだ。1日目の下落率は20%、2日目の下落率は25%である。

▽例2-2:参照指数が1日目「下落」、2日目「下落」の場合のレバレッジ型の指数の動き

この場合、レバレッジ投資信託は初日に40%下げ、翌日50%下落する。基準価格は1日目に60に下がり、2日目には30まで下がる。2日間の下落率は70%で、指数の下落率の2倍以下となる。

レバレッジ型投資信託(レバレッジファンド)は一方向の相場局面に強い、短期投資を狙った商品

2日間の値動きの具体例でわかるように、レバレッジ投資信託は、短期や一方通行での相場にリターンが大きくなるという特徴をもった金融商品である。揉み合いの相場ではレバレッジを掛ける特性が薄れ、逆に行った場合のロスも大きくなる可能性がある。

またレバレッジ投資信託は、レバレッジをかけるため常に先物の建玉を調整する。この先物取引には限月があり、そのロールオーバーのコストもかかるため、通常の投資信託より手数料(信託報酬)が高めの設定であることも多い。コストが高いことは長期投資や長期の積み立て投資に向いた商品特性ではないことにも注意しておこう。

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レバレッジ投資信託に投資をするメリット、デメリット

ここまでレバレッジ投資信託について、その仕組みと特徴を説明してきた。もう一度、レバレッジ投資信託に投資をする際のメリット、デメリットを整理しておきたい。

レバレッジ投資信託に投資をするメリット(1):相場が強いときに短期で利益を狙える

レバレッジ投資信託は、基本的にはハイリスク・ハイリターンの金融商品である。対象指数が強いときには、レバレッジをかけたリターンが期待できる。短期での完全な上昇相場には理想的な商品である。

レバレッジ投資信託に投資をするメリット(2):インバース型では指数の下落時にも短期的な利益を狙える

レバレッジ投資信託にはインバース型があるので、対象となる指数の下落時にも対応できる。株式の空売りのように相場の下落で収益を狙えるのだ。これも基本は短期的な投資に適した投資方法である。通常、空売りは信用取引や先物取引など、新たに専用口座を開設し投資する必要があるが、レバレッジ投資信託であれば、通常の投資信託の取引として投資が行える。

レバレッジ投資信託に投資をするメリット(3):リスクヘッジとしても活用可能

対象となる参照指数のポジションをすでに多く持っている場合には、レバレッジ投資信託をリスクヘッジとして利用することも可能だ。

たとえば、ナスダック100連動のインデックス型投資信託に長期投資している場合や、GAFAMTのような主力IT系銘柄をたくさん保有している場合など、ナスダック・インバースを買うことでポジションのヘッジが可能だ。日本株をたくさん保有している場合は、日経ダブルインバースを買うことで、短期的なテールリスクのような大きな下げへのポジションヘッジができる。

レバレッジ投資信託(レバレッジファンド)に投資をするデメリット

もちろん、レバレッジ投資信託への投資はメリットばかりではない。デメリットも確認しよう。

レバレッジ投資信託に投資をするデメリット(1):相場が逆に行ったときの損失リスクが大きい

レバレッジ投資信託は、ポジションを倍にした先物を持っていることになる。狙いが当たったときの利益は大きいが、反対に動いたときの損失は大きい。リスクポジションを持っていることを自覚し、市場が反対に動いたときは戦略的なロスカットを行うなど、トレーディングのスキルも必要だろう。

レバレッジ投資信託に投資をするデメリット(2):長期投資では効率が落ちる

短期では倍のリターンが期待できるが、説明してきたように、長期投資や特にボックス相場ではレバレッジが効かないケースが多い。ボックス相場は小さな上昇や下落を繰り返す。レバレッジ型・インバース型投資信託は「往って来い」相場が続くと価値が減る。長期のボックス相場では投資効率が落ちやすいのだ。

レバレッジ投資信託に投資するデメリット(3):コストが高い

同じ指数を対象としたインデックス型投資信託やETFに比べると、レバレッジ投資信託は信託報酬などのコストが高い傾向にある。先物を倍保有し、常に高値で買い、安値で売る仕組みはコスト要因となる。さらに、先物には限月交代のロールオーバーコストなどもかかるため、一般的な指数連動型のファンドよりコストが高くなるのが一般的だ。長期投資においては、コスト高は運用の敵であり、その点からもレバレッジ投資信託は長期運用に向かない商品といえる。

レバレッジ投資信託に投資するデメリット(4):強制償還のリスクがある

投資信託には、レバレッジ型に限らず強制償還のリスクがある。特にレバレッジ投資信託は人気の波が激しいので注意しておく必要がある。

「レバナス」と呼ばれるナスダック100指数連動のレバレッジ投資信託を確認すると、基本的には運用期間は無期限となっている。ただし償還条項として「iFレバ100」では30億口、「レバナス」で10億口以下になった場合、運用会社が繰上償還できる条項がついている。いまのところまったく問題はないし、人気の投資信託を簡単に償還するとは思えないが、そういうリスクもあることは念頭にいれておくべきだろう。

▽繰上償還とは

信託約款に定められた信託期間(運用期間)の満了日前に投資信託が償還されること。繰上げ償還の条件は、あらかじめ信託約款に定められている。例えば、「当該投資信託の残存口数が一定の規模以下になった場合」、「基準価額が一定条件を満たした場合」等であるが、各ファンドによって条件が異なるので信託約款で確認する必要がある。また、約款上で「繰り上げ償還することができます」と記載されている場合には、事前に公告し、受益者への書面の交付を行い、受益者に賛否を問うことによって繰り上げ償還が決まる。

引用:一般社団法人 投資信託協会 | 用語集 繰上償還

▽「iFreeレバレッジ NASDAQ100」目論見書記載の繰上償還の条件

レバレッジ投資信託に投資するデメリット(5):塩漬けにするとリスクが高まる

投資信託では、含み損を塩漬けにするという考え方もある。長期の積み立てであれば、短期における多少の含み損も気にしないという考え方もある。しかし、レバレッジ投資信託はコストも高く、長期ではレバレッジの妙味も薄れる。さらに、投資信託では、ある程度の残高を下回ると強制的に繰上償還させられるリスクもある。長期保有したくても損失を確定せざるを得ないこともあり得るのだ。

ネットで話題の「レバナス」もレバレッジ投資信託(レバレッジファンド)

投資に興味があるのなら「レバナス」という言葉を聞いたことがあるだろう。2021年に強烈な値上がりで人気を博したこともり、最近のSNSでは「レバナス民、なぜ損切りしないんだ?」「ここは買い増し、ガチホだろ」のような書き込みも多い。いわゆる「レバナス」の仕組みや値動きついて解説していこう。

そもそも「レバナス」とは?

いわゆる「レバナス」とは、レバレッジ投資信託で、対象となる参照指数をナスダック100指数とした金融商品だ。ナスダック100指数(米ドルベース)の1日の変動率の2倍程度動くことを目指した投資信託である。

大和アセットマネジメントが設定する「iFreeレバレッジ NASDAQ100」と楽天投信投資顧問が設定する「楽天レバレッジNASDAQ-100」がその代表だ。

▽iFreeレバレッジ NASDAQ100(略称:iFレバ100)
・2018年10月19日設定
・基準価格:2万4,812円(22年6月3日時点)
・純資産総額:1,515億円(22年6月3日時点)
【参考】iFreeレバレッジ NASDAQ100

▽楽天レバレッジNASDAQ-100(略称:レバナス)
・2021年11月17日設定
・基準価格 5,889円(22年6月3日時点)
・純資産総額: 251億円(22年6月3日時点)
【参考】楽天レバレッジNASDAQ-100

米国の株式主要3指数はNYダウ、S&P500、ナスダック指数である。NYダウは米国に上場する世界的な企業30銘柄で構成されている。日本で言うと日経平均のイメージで一番ポピュラーな指数だ。S&P500は時価総額の大きな米国企業500社で構成されている。日本で言うと東証株価指数(TOPIX)のイメージで、機関投資家が運用のベンチマークとするのはこの指数が多い。

ナスダック指数には、全銘柄で構成される総合指数と、時価総額が大きく金融銘柄を除いた100銘柄で構成されるナスダック100指数がある。ナスダック市場は新興市場的な位置づけであり、米国外の企業も上場出来る。テクノロジー系の企業やバイオなどヘルスケアの企業の比率が高い。

「レバナス」はナスダック総合指数ではなく、ナスダック100指数にレバレッジを掛けて連動するように設計されているレバレッジ投資信託である。

米国の世界的IT企業群で構成されるナスダック100指数の継続した成長が背景に

「レバナス」が人気化した背景は、2021年11月までは圧倒的なパフォーマンスを示していたからだ。ようするに「驚異的に儲かった」からである。

下のチャート(チャート1)はナスダック100指数の週足チャートである。スタート時点を「iFレバ100」が設定された2018年10月にした。

▽チャート1:ナスダック100指数週足

ナスダック100_週足
画像引用:investing.com

ナスダック100は2018年12月に5895.12の安値を付けた後、コロナショックで2020年3月にやや大きめの調整をしたが、ほぼ一貫して上昇してきた。2021年11月には16,764.85の過去最高値をつける。その間の上昇率は2.84倍だった。

ナスダック100は、ナスダックで金融銘柄を除く時価総額の大きな100銘柄で構成される指数だ。時価総額ベースの指数なので、時価総額の大きい銘柄の指数ウエイトが高い。

直近(2022年11月1日)ではアップル14.1%、マイクロソフト9.9%、アルファベット(グーグル)6.4%、アマゾン5.7%、テスラ4.1%が上位5社。上位5社で40.2%を占めている。つまり、主力IT株の上昇に先導されてナスダック100指数が素晴らしいパフォーマンスを示していた。

ナスダック100指数の上昇でレバナスも急騰した。「iFレバ100」も「レバナス」もほぼ同じような動きなので、トラックできる期間が長い「iFレバ100」の動きを代表に見てみる。週次では2021年11月につけた42,670円が高値となった。投資信託は1万円の基準値からスタートしているので、ピーク時には4.26倍に上昇した。2020年末は2万6,921円だから、2021年だけでもピーク時には1.59倍になったということになる。

2022年、ナスダック100指数に大きな下落が発生

2021年に大きく成長したナスダック100指数だが、2021年11月をピークに下げに転じた。インフレや金利の上昇のなか、GAFAMTの株価の上昇が頭打ちとなったためだ。2021年11月に記録した過去最高値16,764.85から、直近安値では2022年10月の10,440.64となる。11カ月で38%の下落だった。

「iFレバ100」は、週次では2021年11月につけた高値4万2,670円から2022年10月には1万7,143円まで60%下落した。

レバレッジ投資信託は「戦略的損切り」も重要

ナスダック100指数はナスダックでも上位100銘柄で構成され、新しい成長企業も時価総額が大きくなれば採用される。米国外の成長企業も指数に入ることができるなど、成長株投資や長期の積み立て投資には向いている投資商品ではある。

ただ、今回説明してきたように、レバレッジ投資信託は、長期投資向きの商品ではない。コストも高めだ。そのリスク性からつみたてNISAの対象銘柄にも採用されていない。大きなリスクを取って投資していることから、ときには「戦略的損切り」も必要な商品である。ITバブル崩壊時には主力銘柄が前値戻しするのに数年間かかったことを念頭にいれておくべきだろう。

ナスダック100指数の人気を受けて、金融庁は2021年6月と11月に「レバレッジ型・インバース型 ETF 等への投資にあたってご注意ください」という書類を公布し、レバレッジ投資信託が長期向きの商品ではないことを注意喚起している。

【参考】金融庁 | レバレッジ型・インバース型 ETF 等への投資にあたってご注意ください(PDF)

【備考】SOXLとは?

レバナスとともに個人投資家に人気があったのが、半導体指数のSOX指数にレバレッジを掛けたETFだ。SOX指数は正式名称をフィラデルフィア半導体株指数といい、米国の証券取引所に上場している企業のうち、半導体に関連する銘柄30社で構成される指数だ。

そしてSOXLは、SOX指数に3倍のレバレッジを掛けたETFであり、正式名称は「Direxion デイリー 半導体株ブル3倍ETF」という。米国で上場しているETFだが、国内証券でも取引できるところが多い。

SOX指数は、コロナ後の安値2020年4月の安値1,455.0から2022年1月高値の過去最高値4,068.1まで2.8倍となり、ナスダックを上回る上昇だった。その間、SOXLは20.8倍になったのでレバレッジが好きな投資家に話題となった。

ちなみに、半導体指数のSOXのベア型であるSOXSという商品もある。正式名称は「Direxion デイリー 半導体株ベア3倍ETF」だ。

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レバレッジ投資信託(レバレッジファンド)が活きる相場局面とは

レバレッジ投資信託は、うまく活用できれば大きいリターンを生み出すことが可能な商品である。「iFレバ100」も設定当時に買っていれば4倍になっていた。ウェブで話題になったのも、この強烈な値上がりが投資家を引きつけたからだろう。

このレバレッジ投資信託は、その特徴を理解するとき、どんな相場局面で利用すべきなのだろうか。ここでは2つの相場局面をとりあげて解説する。

レバレッジ投資信託が活きる相場局面(1):相場が一方的な右肩上がり、右肩下がり

相場が一方通行になるときが、レバレッジ投資信託の投資タイミングだ。基本的には、株式相場は金利低下局面、金融緩和局面、景気上昇局面などで大きく上昇する。そのタイミングをとらえて活用したい。

たとえば、リーマンショック後、コロナショック後、世界主要国の中央銀行は世界景気後退を防ぐため、過去最大級の金融緩和、過去最大級の景気対策などの財政出動を行った。このような政策時には、株価が上昇を続けることも多い。

このケースが当てはまった例を見てみると、1980年代の平成バブル時は日本株で、2000年前後のITバブル時は米国ネット企業であった。リーマンショック前の資源バブルのころは中国株だった。

このような一方的に上昇する相場の流れがでてきたときに有効なのがレバレッジ投資信託だ。ただし、次に上昇する指数がナスダック100とは限らない。レバレッジ投資信託に投資するときこそ、冷静な経済、市場分析が必要となる。

レバレッジ投資信託が活きる相場局面(2):紛争や戦争等で一時的に相場が下がりそうなタイミング

レバレッジ投資信託は、インバース型をうまく活用することで収益機会が増える。株式市場は、上げる時はジックリ上げ、下げる時はトランプショック、コロナショック、ウクライナショックのようなテールリスク(まれにしか起こらないはずの想定外の暴騰・暴落が実際に発生するリスクのこと)で急落するパターンが多い。

インバース型であれば、この急落局面でも収益を上げることができる。さらにレバレッジ投資信託であれば、その倍数分の収益が見込める。レバレッジ型投資信託は、テールリスクで下げた時の短期投資や買いポジションのヘッジにこそ有効な商品である。

レバレッジ投資信託(レバレッジファンド)は長期投資には不向き。戦略的に利用したい

レバレッジ投資信託は短期投資向きで、一方向の値動きの局面に強い金融商品だ。したがって、じっくり資産形成をする長期投資には向いていない。レバレッジ投資信託はハイリスク・ハイリターンの商品であり、長期投資とは別建ての投資戦略として、投資検討したい商品といえる。人気の「レバナス」に限らず、レバレッジ投資信託への投資時には、ネットの情報だけに頼るのではなく、商品特性を確認し、リスクを理解した上での投資を心がけるべきだろう。

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