この記事は2022年9月9日に「月刊暗号資産」で公開された「ビットコインなど大幅上昇 来週は「マージ」とCPI発表で乱高下の可能性」を一部編集し、転載したものです。


【初心者向け】仮想通貨(暗号資産)とは?始め方やおすすめの取引所を紹介
(画像=sumire8/stock.adobe.com)

欧州中央銀行(ECB)は8日、0.75%の大幅利上げを決定した。この利上げ幅は1999年のユーロ誕生以降、最も大きなものとなる。

また、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長も同日、タカ派スタンスを改めて示した。ケイトー研究所が8日にワシントンで開いた金融政策関連会議において、パウエル議長は「我々はこれまでと同様、直ちに、真っ直ぐに、力強く行動する必要がある。同僚と私は、このプロジェクトに強くコミットしており、根気強く継続していく」と述べた。

インフレ抑制の「任務が完了するまで」金融当局は尻込みしないと明言。今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、3会合連続となる大幅利上げを決定するとの見方が広まった。

それでも、株式市場への影響は限定的であったと言える。パウエル議長のタカ派発言に新鮮味はなく、すでに市場では織り込んでいる動きが広がった。NYダウ平均は前日比193.24ドル(0.61%)高の31,774.52ドル、ナスダックは前日比70.23ポイント(0.60%)高の11,862.13ポイント、S&P500は前日比26.31ポイント(0.66%)高の4,006.18ポイントで終えた。

また、暗号資産市場においても影響は限定的で、アジア時間に入り価格を伸ばしている。記事執筆時点でビットコイン(BTC)は2万ドル(約284万円)を上抜け、前日比7.5%増となる2万600ドル(約293万円)ほどを推移。また、イーサリアム(ETH)も1,690ドル(約24万円)ほどまで上昇しており、高値圏での取引が続いている。

株式市場の動きを受けて安心感が広まったことに加え、イーサリアムの大型アップデート「マージ(The Merge)」を見据えた買いが集中したものとみられる。

イーサリアムではマージにおける最終段階「パリ(Paris)」が13日から15日にかけて実施される見込みとなっており、歴史的な瞬間が刻一刻と迫っている。アップデート完了前後では価格が乱高下する可能性も考えられるため、注意が必要だ。

暗号資産市場を動かすイベントしては、13日に発表される米消費者物価指数(CPI)が挙げられる。

CPIは今月開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)において、利上げ幅を決定する重要指標となる。そのため、13日の発表がインフレに向けば、市場に警戒感が漂い軟調な動きが続く可能性も考えられる。

暗号資産市場はCPIとイーサリアムのアップデートという大きな要因を意識するため、当面の間、不安定な動きを見せる可能性があるだろう。(提供:月刊暗号資産