この記事は2022年10月18日に「月刊暗号資産」で公開された「マスターカード、銀行の暗号資産取引サービス提供を支援するプログラムを発表」を一部編集し、転載したものです。


マスターカード,Mastercard
(画像=PixieMe/stock.adobe.com)

米大手決済企業マスターカード(MasterCard)は17日、金融機関が暗号資産(仮想通貨)取引を顧客に提供することができることを支援するプログラム「Crypto Source」を発表した。

このプログラムにより、マスターカードの金融機関パートナーはセキュリティ、アドバイザリーサービス等を強化した包括的な暗号資産の購入、保有、売却サービスを利用できるようになるとしている。

Crypto Sourceを通じて、暗号資産エコシステムへさらなるセキュリティを提供し、複雑な規制へのコンプライアンスをサポートしていくと説明した。

なお、このプログラムは暗号資産関連企業パクソス(Paxos)と提携して提供される。パクソスが銀行に代わって暗号資産の取引および保管を行い、マスターカードがそれらの機能を銀行のインターフェースに統合することで、シームレスなサービスを提供するという。

銀行は規制やセキュリティの観点から暗号資産の取扱いを躊躇うこともあるが、マスターカードとPaxosはこの2点をカバーするポジションに立つ。

マスターカードのチーフ・デジタル責任者のジョーン・ランバート(Jorn Lambert)氏はCNBCに対して「世論を見れば暗号資産に興味があり、あるいは興味をそそられている消費者は多い。銀行から暗号資産サービスが提供されたら、彼らも安心できるだろう」とコメント。

また、「ゴールドマン・サックスやモルガンスタンレー、JPモルガンなどの大手投資銀行には暗号資産専門のチームがあるが、消費者にサービスを提供することはほとんど避けている。先週JPモルガンのジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)CEOは国際金融研究所のイベントで暗号資産を分散型ポンジスキームと呼んでいたほどだ。しかし、もし銀行がマスターカードの提携プログラムを採用すれば、コインベース(Coinbase)など米国の大手暗号資産取引所にとって最大のライバルとなる可能性がある。競争が激化することになるかもしれない」と語った。

マスターカードの調査によると、回答者の29%が暗号資産を投資的観点から保有しているという。さらに、回答者の65%が信頼している金融機関が提供する暗号資産関連サービスを利用したいと考えているようだ。

現在、マスターカードはCrypto Sourceのパイロットプログラムの準備を進めているとし、詳細は後日発表するとしている。

なお、マスターカードがCNBCに語ったところによると、パイロットプログラムは2023年第1四半期に導入を開始する予定だという。すでに契約に至った銀行については言及を避けた。(提供:月刊暗号資産