この記事は2022年12月8日に「月刊暗号資産」で公開された「三井住友、ハッシュポートとソウルバウンドトークンに関する実験実施へ」を一部編集し、転載したものです。
三井住友フィナンシャルグループが、譲渡不可能なNFT(非代替性トークン)であるSBT(ソウルバウンドトークン)を活用した取り組みについて、2022年度中に実験を始めることが明らかになった。7日、日本経済新聞が報じた。
報道によると、三井住友はブロックチェーン事業を手掛けているハッシュポート(HashPort)と協業し、SBTを活用した本人確認や活動実績などを証明する実験を開始するという。将来的には、音楽などのファン活動の実績に基づいたサービスや交流への活用も見込む。
また、2023年度中には顧客の獲得を想定した外部企業との実験に移るようだ。商用化を想定したSBTの発行は、国内銀行として初の事例となる。
SBTはイーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が提起した技術だ。一度受信すると他のウォレットへ移すことができないという特徴があり、特に資格や職歴、ローンや個人の信用情報などの記録をする際に活用されることが見込まれている。今年8月には、千葉工業大学とPitPaがSBTに通じる仕組みを取り入れた修歴証明書NFTを発行する取り組みについて発表している。
今後、三井住友とハッシュポートは外部企業と連携し、ファンビジネスへの活用も模索する。歌手のファン履歴やライブへの参加回数といった証明を、SBTを使ってレコード会社が個人に付与し、一定回数以上ライブに参加した人に対して特別なチケットを贈ることなどを想定しているようだ。
ハッシュポートのCEOである吉田世博氏はTwitterで、「三井住友銀行様とSBTを活用したWeb3インフラの実証実験を2022年度中に実施します。2023年度には商用利用を想定した運用検証を進めてまいります」とツイートした。
ハッシュポートと三井住友は今年7月にNFTビジネスに関する協議を開始することを目的として基本合意書を締結した。その際、両グループの知見を融合した「トークンビジネスラボ」を設置し、トークンビジネスの推進に係る調査・研究および実証実験に取り組むと述べている。(提供:月刊暗号資産)