「知らないこと」は必ずしも恥ではなくなりました。知らなければ、あとでこっそり検索すれば何の問題もないからです。

ある実験によると、被験者たちに「あとで検索できます」と示したデータは、明らかに記憶量が少ないことがわかったそうです。

「あとで検索すればいいや」と思った瞬間、脳は「記憶」の能力をあっけなく手放してしまうのです。

しかし、「知識」とは単なるデータの羅列ではありません。「知ること」と「味わうこと・体験すること」は似て非なるものです。

最近は「海外に行かずとも、海外事情はネット検索で知ることができるから渡航する必要ない」という若者も増えていると聞きます。

確かにその国の国土や人口、社会情勢、気候やファッション、職や文化の特徴は、検索すれば出てくるかもしれません。

しかし、実際に行ってみて感じる湿度・匂い・騒々しさ・静寂さ・植物の匂い・人々の会話のトーンなどは、現地でなければ得られないかけがえのない「体験」です。そうした味わい深さも含めて、どうかいろいろ経験してほしいのです。

単なる事実情報なら、最悪、検索でもいいかもしれません。しかし、検索不可能な情報、体験は世の中に溢れています。

そうした単なる情報ではない経験・知識を学んでいってほしいのです。