新富裕層のグローバル投資という選択

投資,世界
(画像=gopixa/stock.adobe.com)

ここで簡単に自己紹介させてください。

私は1997年から金融業界に身を置いています。最初は大手機関投資家として、市場取引のオペレーション、市場システム設計を担当。その後、大手資産運用会社で、国内外の年金・投資信託向けのグローバル株、為替トレーディングを担当。東京とロンドンで、ファンドマネジャーとして、グローバル株ファンドのアクティブ運用をしてきました。

おわかりのように、国際分散投資のグローバル株取引を長く手がけてきたのです。

その後、2013年に独立起業。富裕層を含む個人投資家のグローバル投資、企業のIR支援のための活動を展開しています。一方、Oxford Club Japan のチーフ・ストラテジストとしても活動しています。

こうした経緯から、私は伸び盛りの富裕層のグローバル投資をお手伝いする機会が多くあります。その経験を踏まえて、富裕層が実践しているグローバル投資の手法を広く一般向けに解説したいというのが、執筆の動機となっています。

私はマレーシアで会社を設立しており、現在は日本とマレーシアを行き来する2拠点生活を送っています。マレーシアに会社を設立したのは、規制が多い日本よりもビジネスと投資の環境がよいと判断したからです。

日本の伸び盛りの富裕層にも、「日本は食べ物が美味しいし、安全で清潔で暮らしやすい」と思っている一方、窮屈な思いをしている人が少なくありません。

日本は村社会かつ保守的な面が残っており、他人と合わせることを強いる同調圧力があるため、「出る杭は打たれる」という傾向も否めません。

起業などで富を築いた伸び盛りの富裕層は、こうしたなかで煮え湯を飲まされた苦い経験がある人も少なくないようです。

そうした伸び盛りの富裕層たちは、資産運用でも日本に見切りをつけて、その舞台を海外に移すグローバル投資の必要性を強く感じているのでしょう。

2010年代の初め頃には、日本の教育システムや税制などに疑問を持った富裕層が、シンガポールなど海外への移住を急ぐ動きが顕在化。日本のメディアでも、「富裕層が日本脱出を考えている」と騒がれるようになりました。

その後、世界的に富裕層を自国内に囲い込もうという動きが強まりました。税収を確保するのが、おもな狙いでしょう。

日本でも2014年から、「国外財産調書制度」が始まり、5,000万円を超える国外財産を有する個人に対して、その内容の提出が義務化されました。2019年のデータでは、提出件数は1万652件(総財産額4兆2,554億円)に達しています。

加えて2017年からは、富裕層による投資活動などの情報を把握するための「重点管理富裕層プロジェクトチーム」が国税局に置かれました。

その結果、大多数の富裕層は、意に反して日本に留まらざるを得なくなっています。彼らの多くは物理的には日本に留まり続けるとしても、お金の運用ではグローバル投資を今後ますます進めるのではないかと考えています。

富裕層以外の個人投資家も、日本に住み、美味しい日本食を堪能しながらも、お金の運用ではグローバル化を進めていけば、効率的に資産が増やせると信じています。

世界標準のグローバル投資を解説した本書が、インフレにも円安にも負けない資産形成の一助となれば、著者としては嬉しい限りです。

世界の富裕層がお金を増やしている方法
志村暢彦
1974年神奈川県生まれ。信金中央金庫、ニッセイアセットマネジメント、ニッセイ・シュローダーズ・アセットマネジメント(ロンドン)などを経て、2013年スカイキャピタルグループ設立。ファンドマネジャーやトレーダーとして大手機関投資家・投資信託等の資産運用に携わり、現在は富裕層を含む個人投資家や企業経営者の資産形成を支援。国内外の運用機関をはじめ、投資銀行やヘッジファンド、公的機関等と幅広く連携。グローバル株のアクティブ運用が専門。『Newsモーニングサテライト』(テレビ東京系)、『おはようマーケット』(ラジオNIKKEI)、『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)などマスコミ出演多数。Oxford Club Japanチーフ・ストラテジスト。

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