本記事は、志村暢彦氏の著書『世界の富裕層がお金を増やしている方法』(ダイヤモンド社)の中から一部を抜粋・編集しています。
富裕層のグローバル投資をマネしよう
状況をいち早く捉えて、グローバル投資を加速させている人たちがいます。
それは、〝伸び盛りの富裕層〟です。
富裕層には、いろいろな定義がありますが、100万ドル(1ドル135円換算で1億3,500万円)以上の純金融資産を持つ人と定義しましょう。
クレディ・スイスの「グローバル・ウェルス・レポート2021」によると、2020年に100万ドル超の純金融資産を持つ人の数は、米国が世界一で2,200万人。全世界の39.1%を占めています。
2位は中国で世界の9.4%、3位は日本で6.6%となっています。日本は世界で3番目にお金持ちが多い国ということです。野村総合研究所の資料によると、純金融資産1億円以上の富裕層は、およそ133万世帯です。
なかでも、私が日頃お付き合いしている身近な日本の〝伸び盛りの富裕層〟は、20〜40代で事業を興すなどして成功し、資産を積み上げ、40代以降でのFIRE(Financial Independence, Retire Early =経済的な安定を確立して早期リタイアする生き方)を視野に入れているような人たちです。
彼ら彼女らの間でも、グローバル投資は常識となっています。
このように書くと、「グローバル投資は富裕層限定で、自分には関係ない」と思うかもしれません。
しかし、グローバル投資は、富裕層だけの特権ではないのです。会社員や公務員、個人事業主など、本業を持つ兼業の個人投資家も十分に実践できる投資です。
むしろ、「インフレ」と「円安」のダブルパンチから家計を守り、資産を増やしていくため、国際分散投資によるグローバル投資は、多くの日本人に必要な投資法だと思っています。
日本では近年、SBI証券や楽天証券などのネット証券で、米国株を運用する個人投資家が急増しています。じつは、米国以外の国に本拠を置くグローバル株の多くは、ADR(米国預託証券)市場に上場しており、米国株と同じ感覚で、ネット証券で気軽に取引できるのです。
ネット証券だけではなく、店頭で株式売買を行っている証券会社でも、グローバル株取引はできます。
ちなみにADRというのは、米国以外の国で設立された企業が発行した株式を裏づけとして、米国で発行される有価証券のことです。ADRは株式そのものではありませんが、投資家は株式を保有するのと同じ権利が得られます。
さらに、100株単位の売買が中心の日本株と違い、グローバル株は基本的に1株から買えます。その点は、米国株と同じです。
たとえば、私がすすめているオランダを拠点とするエアバス(EADSY)は1株22ドルほど、ドイツのミュンヘン再保険(MURGY)は1株24ドルほど(執筆時点)。1株4,000円未満ですから、人によっては1回の飲み代程度の金額から気軽に投資ができるのです。