本記事は、志村暢彦氏の著書『世界の富裕層がお金を増やしている方法』(ダイヤモンド社)の中から一部を抜粋・編集しています。

長期目線を持つ

時間,投資
(画像=Kanjana/stock.adobe.com)

1つ目のルールとして取り上げたいのは、富裕層に限らず、あらゆる個人投資家にとっての大前提といえること。それは、株式投資において、つねに「長期目線を忘れない」ということです。

どのくらいの期間から、長期と呼べるのか。明確な定義があるわけではありませんが、国債は10年ものから長期の範ちゅうに入りますから、長期投資は10年以上としておきましょう。

「もう若くないから、10年以上の長期投資をするには遅すぎる」などと嘆かないでください。〝超〟大富豪である投資の神様ウォーレン・バフェットさんは、1930年生まれの92歳ですが、1,000億ドル(約13兆円以上)ともいわれる莫大な資産のうち、95%以上は65歳以降に増えたものだそうです。

投資は若いうちに始めるに越したことはありませんが、たとえ定年後に始めたとしても決して遅すぎるということはありません。

個人投資家の大きなメリットは、機関投資家とは違って自分が最終決定者であり、やりたい投資を思い通りに貫ける点です。広く大勢から資金を集めて資産運用する機関投資家は、クライアントのためにより短いスパンで決められた収益を上げることが求められます。

私自身、機関投資家としてグローバル株ファンドのアクティブ運用をしていましたが、それがクリアできないと、資金が流出してしまう恐れがあるのです。「いまは一時的にマイナスになっているけれど、5年後にはプラス20%になる期待もあるから、我慢してほしい」という主張は許されません。

自己資金を扱う個人投資家には、そんな制約はありませんから、自分次第で長期目線を貫いて利益を上げられるのです。

金銭的な余裕が少なく、投資リテラシーが低い人に限って、元手がすぐに2倍とか3倍になるとうたう投機色の強い投資を好む傾向があるようです。FX(外国為替証拠金取引)や暗号資産(仮想通貨)のように、短期でラクに儲かる方法はないかと考えがちなのでしょう。

ダイエットでも、太っている人ほど、「1か月で10㎏せる!」といった無茶な目標を掲げた挙げ句、失敗してリバウンドするケースが多いようです。短期的なダイエットが失敗に終わりやすいように、短期的な投資もなかなか成功するのは難しいと覚悟したほうがいいでしょう。

短期で儲かる金融商品があっても、それは間違いなくハイリスク・ハイリターン。 短期で儲かる金融商品があっても、それは間違いなくハイリスク・ハイリターン。

運よく儲かる可能性もありますが、貴重な資産を失うリスクも高く、投資というステージからの早期退場を強いられるリスクさえ抱えなければならないケースもあるでしょう。

ダイエットはお金がかかりませんから(お金のかかる方法もありますが)、リバウンドするたびに再挑戦すれば済みます。しかし、ハイリターンを狙った投資で一度に大金を失ってしまうと、再挑戦は難しくなりますし、精神的な痛手も大きいものです。

丁半博打ばくちのような為替のバイナリーオプション取引(決められた時点での騰落を予測して、ある値よりも高いか低いかを二者択一で選ぶ取引)を使って倍々ゲームで稼いで、「資産総額があっという間に10億円を超えた!」といった夢のような成功例がネットなどで紹介されることもあります。

たとえそれが事実だったとしても、そっくりそのままマネできるわけではありませんし、成功する確率は限りなく低く、再現性は担保されません。

安易なギャンブルに走らず、個人投資家のメリットを生かしながら、長期目線で投資を続けていくことが、基本中の基本となります。

100万円が2億4,000万円になるのも夢ではない

目標達成
(画像=tadamichi/stock.adobe.com)

長期投資がなぜ有利なのか。これも基本的なことですが、最大の理由は「複利が生かせるから」です。

「複利」とは投資で得られた利益を再投資し、お金がお金を生む仕組み。相対性理論で有名なアルバート・アインシュタインは、「複利は人類最大の発明だ。知っている人は複利で稼ぎ、知らない人は利息を払う」という言葉を残したそうです。アインシュタインがどういったシチュエーションで口にしたのかわかりませんが、投資を長く続けている人であれば、何度か聞いたことがあるエピソードではないでしょうか。

世界の富裕層がお金を増やしている方法
(画像=世界の富裕層がお金を増やしている方法)

たとえば、手元にある100万円を年率10%で複利成長させると、10年後には2.59倍で259万円になります(税引き前、以下同)。

20年後に6.73倍で673万円になり、30年後には17.45倍で1,745万円になります。

ちなみに、ここで使う〝年率〟とは、CAGR(Compound Annual Growth Rate) =年平均成長率のこと。CAGR(ケイガー)は、複数年にわたる成長率から、複利を踏まえて幾何平均を求めたものなので、年率10%とは、毎年10%のリターンがあるという意味ではありません。

日本の30代単身世帯が保有する平均貯蓄額は、247万円です(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査 単身世帯調査[令和2年]」より)

仮に30歳で、そのうち100万円を株式投資に回して、年率10%で複利運用できたら、追加資金を一切投入しなくても、30年後に60歳で定年退職する頃には、退職金に加えて約1,745万円が手元に入る計算になります。

もう少し余裕があり、200万円の余裕資金が用意できたら、同じく30年後には3,490万円となり、2019年に大きな話題となった老後の資金が年金だけでは2,000万円不足するという「老後2,000万円問題」も計算上では余裕で解決します。

ちなみに、もし年率20%で複利運用できたとしたら、100万円は30年後に一体いくらになっていると思いますか?

5,000万円? 1億円? いえいえ、なんと2億3,737万円にもなるのです。〝長期×複利運用のパワー〟は、これほど強力なのです。

日本では超低金利時代が長年続いており、メガバンクの定期預金の金利は、年率0.002%程度。100万円を1年定期に預けたとしても、利息はたった20円です。

株式投資によって年率10%で運用できたら1年後には110万円になりますから、定期預金の5,000倍のリターンが得られることになります。

「長期×複利運用のパワーはわかったけど、定期預金の5,000倍のリターンが得られる年率10%でコンスタントに長期運用するのは、現実的ではないのではないか?」と疑問を抱いたかもしれません。でも、それは杞憂きゆうにすぎないのです。

あくまで過去の実績とはいえ、たとえば2009年のリーマンショックの最中に、ナスダック総合指数に連動するETF(上場投資信託)に投資をしていたら、10年以上にわたり、年率20%の運用成績が上げられる計算になっています。

また、ナスダック総合指数、ニューヨーク・ダウといった代表的な株価指数に連動するインデックスファンドでも、平均して年率7.4%ほどの利回りが期待できます。そう考えれば、年率10%という数字が、現実的な数字だといえるでしょう。

事業家にとっても、投下した資本に対して、営業利益ベースで年率15〜20%の利益を継続的に叩き出すというのは、ごくごく当たり前の話です。

年率10%前後の長期×複利運用は、サステナブル(持続可能)であり、個人投資家の資産形成を強く後押しするのです。

世界の富裕層がお金を増やしている方法
志村暢彦
1974年神奈川県生まれ。信金中央金庫、ニッセイアセットマネジメント、ニッセイ・シュローダーズ・アセットマネジメント(ロンドン)などを経て、2013年スカイキャピタルグループ設立。ファンドマネジャーやトレーダーとして大手機関投資家・投資信託等の資産運用に携わり、現在は富裕層を含む個人投資家や企業経営者の資産形成を支援。国内外の運用機関をはじめ、投資銀行やヘッジファンド、公的機関等と幅広く連携。グローバル株のアクティブ運用が専門。『Newsモーニングサテライト』(テレビ東京系)、『おはようマーケット』(ラジオNIKKEI)、『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)などマスコミ出演多数。Oxford Club Japanチーフ・ストラテジスト。

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