積立NISAを始めるなら、開始月を1月とするのが分散効果も高く非課税のメリットも受けられ、一番よい選択と言われることがあります。しかし、証券会社が提供しているボーナス月設定をうまく使えば、年の途中から積立NISAを始めても1年分の非課税投資枠が使えます。

ただし、一番大切なのは1年、1ヶ月でも早く始めることです。つまり、まだ2022年である今のうちに始めるべきです。

ここでは、NISAの開始月をいつとするべきなのかを具体例も交えて解説していきます。

目次

  1. 積立NISAの非課税枠を最大限活用できる開始月
    1. 満額を投資しないなら何月でもいいので今年から始めることが大事
    2. 1月から始めて非課税枠を使い切る
    3. ボーナス設定や増額設定を活用して今すぐ始める
  2. 12月から始めると損なのか?開始月についての誤解
  3. 積立NISAを開始月についての注意点
    1. 始める金融機関を変更したい場合は9月中に手続きを済ます
    2. 12月以降に始めたらその年に間に合わない可能性がある
    3. ボーナス月設定での増額投資を使いすぎない
  4. 開始月よりも大切な積立NISAの知っておくべきこと
    1. 長期投資が前提の制度であることを理解しておく
    2. 積立NISAは元本割れするリスクがある
    3. 余剰資金で投資することが最も重要
  5. FAQ
    1. 積み立て設定するのに最適な日にちはありますか?
    2. 積立NISAは円安時に開始しても大丈夫?円高時の方がいい?
    3. 積立NISAは12月から始めても40万積み立てられる?

積立NISAの非課税枠を最大限活用できる開始月

積立NISAの開始月はいつからがおすすめ?12月から始めると損って本当?
(画像=thanksforbuying/stock.adobe.com)

積立NISAを始めたいと思ったら、思い立った今月を開始月にするのがいいでしょう。しかし、もし非課税投資枠すべてをどうしても使いたいなら、どうすればいいのでしょうか。うまく制度を利用すれば、開始月が年の途中でも非課税投資枠を使い切ることは可能かもしれません。

満額を投資しないなら何月でもいいので今年から始めることが大事

積立NISAの非課税投資枠を使い切ることにこだわらないのであれば、 少しでも早く積立NISAを始めた方がよいでしょう。

積立NISAの非課税投資枠は一人年間40万円と決められています。この枠は毎年1月から12月までの間で使えます。この期間に使い切れない場合でも翌年に繰り越すことは認められていません。

せっかく割り振られた非課税の枠ですから、できるだけこの枠を使い切りたくなるかもしれません。

しかし、積立NISAの購入方法は積み立て投資に限られていて、好きなタイミングで好きなだけ投資信託を購入できるわけではありません。例えば、一度に 40万円分をまとめて購入して、非課税投資枠を使い切ることはできないのです。このような条件下で、年間40万円の非課税投資枠をきれいに使い切るのは簡単ではありません。非課税枠を過度に意識するよりも、思い立ったときに積立NISAを始める方がいいでしょう。

積立NISAはわたしたちが積み立て投資によって資産形成することを支援するための制度です。毎年設定される40万円の非課税投資枠を使い切ることよりも、 財産形成の一歩として長期の積み立て投資を少しでも早く始めることの方が重要でしょう。

40万円の枠を気にしないのであれば、積立NISAを始めようと思ったその月があなたに合った開始月かもしれません。今すぐ積立NISAを申し込んで今年から積み立て投資を始めましょう。

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1月から始めて非課税枠を使い切る

40万円の非課税投資枠を上限いっぱいまで使い切りたいなら、投資開始月を1月にできます。1月から毎月一定額を購入していくようにすれば、非課税投資枠のほとんどを使い切ることができます。

具体的な数字で見ていきましょう。毎月1回一定額を積み立てていく場合、毎月の積立金額の上限は3万3,333円になります。これを1月から12月まで12ヵ月間毎月積み立てると以下の式の通りです。

3万3,333円(毎月の積立金額) × 12 = 39万9,996円(積立NISAにおける1年の投資金額)

年間の投資金額は39万9,996円となります。これでも限度枠40万円には4円ほど不足しますが、非課税投資枠のほとんどを使うことができます。

毎月決めた額を積み立てる仕組みは、積立NISAを提供する金融機関はどこでも扱っています。毎月の設定額を上限いっぱいの3万3,333円にすることで、非課税投資枠40万円のほとんどを使うことができます。

ただし、これは1円単位で毎月の積立金額を設定できる証券会社の場合です。1,000円単位でしか設定できない証券会社もあります。その場合、毎月の積立金額の上限は3万3,000円となり、年間で39万6,000円の非課税投資枠を使うことができます。

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ボーナス設定や増額設定を活用して今すぐ始める

40万円の非課税投資枠をすべて使い切りたいなら、各証券会社が用意しているボーナス月設定(増額月設定)を活用する方法もあります。

ボーナス月設定とは、通常の積み立ての設定に加えて、積み立てる金額を増額できる月を年2回まで指定できるものです。例えば、8月と12月をボーナス月に指定しておいて、毎月の積立金額に加えてその月は金額を上乗せして積み立てをするといった設定ができるのです。

このボーナス月設定をうまく使えば、今すぐ積立NISAを始めたとしても、非課税投資枠40万円を使い切ることが可能になります。

例えば、7月から積立NISAを始めて毎月3万円積み立てることにしたとします。これだと、年内に積み立てられるのは合計18万円です。そこで、ボーナス月を8月と12月を指定して、それぞれ11万円を増額するように設定しておきます。こうするとボーナス月の増額分は合計で22万円となり、年内に非課税投資枠の40万円をちょうど使い切ることができます。

SBI証券で口座開設する 月に毎月3万円の積み立てを開始し、8月と12月に11万円増額する場合
7月 8月 9月 10月 11月 12月 年内合計
毎月の積立金額 30,000 30,000 30,000 30,000 30,000 30,000 180,000
ボーナス月増額指定 110,000 110,000 220,000
※2022年12月19日現在

ただし、すべての証券会社が積立NISAでボーナス月が指定できるわけではありません。ボーナス月を活用したいなら証券会社をよく選びましょう。(表を参照)また、楽天証券とSBI証券では、非課税投資枠を使い切るための独自支援も用意されています。40万円上限いっぱいまで確実に使いたい場合は、この2社から選ぶといいかもしれません。

証券会社 楽天証券 SBI証券 マネックス証券 auカブコム証券 松井証券 野村證券 SMBC日興証券 大和証券
買付手数料 無料 無料 無料 無料 無料 無料 無料 無料
取扱銘柄数 183本 185本 157本 180本 178本 7本 158本 22本
NISA枠使い切り支援 増額設定※1 NISA枠ぎりぎり注文
※2
なし なし なし なし なし なし
ボーナス月設定 × × ×
公式
サイト
口座開設をする 口座開設をする 口座開設をする 口座開設をする 口座開設をする 口座開設をする 口座開設をする 口座開設をする
※2022年12月19日現在
※1 増額設定とは、つみたてNISA口座で年の途中から積立を開始した際に、投資枠を使い切るための機能です。その年に限り、毎月もしくは毎日の積立金額を増額することができます - 楽天証券公式サイトより引用
※2 NISA投資可能枠が積立設定金額以下の場合、積立注文金額を引き下げて積立買付を行い、可能な限りNISA枠を使い切る注文- SBI証券公式サイトより引用

12月から始めると損なのか?開始月についての誤解

12月から積立NISAを開始すると40万円を使い切るのは確かに難しくなってきます。しかし、だからといって12月を開始月にすると損かというと、それは誤解です。

確かに12月を開始月にするとその年は40万円の非課税投資枠の一部しか使えないかもしれません。しかし、翌年1月を開始月にすれば、今年使えたかもしれない非課税投資枠がまったく使えません。毎月3万円を積み立てていく予定なら、今年12月を開始月にして3万円多く積み立てた方が枠を多く使えます。

2年分の非課税投資枠は、来年1月から始めると40万円ですが、今年12月から始めれば43万円です。ですから、たとえ12月になっていたとしても、非課税のメリットを受けられないという損をしたくないなら、積立NISAを始めた方がいいのです。

積立NISAの開始月で迷っているなら、 今すぐ始めることが非課税投資枠を使うという意味では一番お得なのです。来年1月を待つ必要はありません。

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積立NISAを開始月についての注意点

少しでも早く積立NISAを始めることが非課税のメリットを最大限利用できる方法だということが分りました。しかし、いざ積立NISAを始めようと思っても、積立NISAがすぐに利用できないケースもあります。積立NISAの開始月に関わる注意点をまとめました。

始める金融機関を変更したい場合は9月中に手続きを済ます

すでに他の金融機関でNISA(通常のNISAまたは積立NISA)の口座を持っていて、新しい金融機関で積立NISAを始めることを計画している場合は注意が必要です。

今年から 別の金融機関で積立NISAを使いたいなら、その手続きをその年の9月30日までに終える必要があります。

NISAの金融機関の変更手続きは少し複雑です。NISAがある金融機関から「勘定廃止通知書」という書類を受け取って、それを積立NISAの申込書類等とともに新しい金融機関に送る手続きが必要です。

なお、NISAの金融機関変更の期限は制度上の9月30日までとなっていますが、証券会社によって締め切りを早めているケースもあります。例えば、SBI証券では9月中旬までに手続きをするように求めています。NISAの金融機関変更が必要な場合は、余裕を持って早めに手続きしましょう。

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12月以降に始めたらその年に間に合わない可能性がある

はじめてNISAを申し込む場合でも、証券会社によっては12月の早い段階でその年のNISAの開設を締め切っている場合があります。

そのため、12月になってから積立NISAを申し込むと、NISAを利用できるのが翌年になってしまう可能性があるので注意してください。

制度上は、金融機関がNISAの申し込みを受け付けた日からNISA口座の開設がされることも可能です。しかし、実際は証券会社の事務手続きが様々で、NISAを申し込んでから、 どの程度の日数でNISA口座が開設されるかは証券会社ごとに異なります。特に年末は事務手続きが集中するため、証券会社独自に締め切り期限を設けているケースもあります。

年末に積立NISAを始めようと思ったら、すぐに証券会社に申し込みを始めましょう。

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ボーナス月設定での増額投資を使いすぎない

証券会社によっては、ボーナス月を指定して積立金額を増やせます。この機能は便利ですが注意も必要です。

そもそも、 積立NISAはドル・コスト平均法に特化した制度として創設されました。ドル・コスト平均法とは、毎回一定金額ずつ買い付ける方法のことです。この方法だと、基準価額が安いときは多く、基準価額が高いときは少なく購入することになり、結果として平均購入価額を安くすることができます。

一方、ボーナス月に設定する金額が大きすぎると、このドル・コスト平均法の効果が薄れてしまいます。

例えば、積立NISAで毎月1万円を積み立て投資をするのに加えて、12月をボーナス月として28万円増額するよう設定しましょう。こうすると40万円の非課税投資枠を毎年使い切ることができます。

しかしながら、このような買い方では積み立て投資をしているのは間違いありませんが、毎年12月に28万円を一括投資しているというのも事実です。これでは、ドル・コスト平均法による分散投資の効果は期待できません。

本来の積み立て投資のメリットを生かすためにも、 ボーナス月の過度な利用には注意が必要です。

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開始月よりも大切な積立NISAの知っておくべきこと

積立NISAを使って投資を始めようとしている人も多いでしょう。そして、資産を増やしたいと思って投資を始めようとしているのではないのでしょうか。しかし、積立NISAを始めたからといって自動的に資産が増えるわけではありません。積立NISAで投資を始めるなら、制度特性をよく理解して投資と正しく向き合う必要があります。

長期投資が前提の制度であることを理解しておく

投資を始めたからには大きな利益を期待する気持ちも分りますが、積立NISAを利用して短期間で大きな利益を狙うことは難しいでしょう。

金融庁の「 つみたてNISAの概要」でも説明されていますが、積立NISAは「 特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度」です。つまり、少額をコツコツ投資していく「長期投資」が大前提であることを忘れてはいけません。また、積立NISAの投資対象商品は、長期の投資に適した商品のみに限定されています。

投資期間が長期になれば、元本割れのリスクを軽減することができます。また、長期であるからこそ、ドル・コスト平均法を実践することができます。さらに長期投資を実践することで、 運用で得られた利益がさらに運用されて増えていく「複利」の効果も期待できます。これらは、短期投資では得られない特徴です。

積立NISAは長期投資に特化した制度であることを理解してよく活用し、非課税のメリットを十分に享受していきましょう。

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積立NISAは元本割れするリスクがある

長期投資を実践することで様々なメリットがあり、元本割れのリスクを抑えることができると説明しましたが、積立NISAで投資すれば絶対に安全というわけではありません。もちろん、 元本割れのリスクも十分にあります

積立NISAの投資対象商品は長期投資に適しているといえ、元本割れのリスクのある投資信託です。預貯金のように元本保証のある金融商品は含まれていません。

過去のデータからみると、一般的に長期投資は短期投資よりも価格変動の影響を受けにくく、利益が得られる可能性も高くなります。しかし、これはあくまで過去の実績に基づいたもので将来を保証するものではありません。

また、長期間投資をしていれば、大暴落に直面することもあります。過去にリーマンショックや新型コロナウイルスによる株式市場の大暴落がありました。このようなときには、 大幅な含み損が出る可能性もあります

長期投資はメリットが多く、投資初心者にも実践しやすい投資方法ではありますが、やはり 投資にはリスクがあります。そして、そこから被った損失はやはり 自己責任ということになります。

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余剰資金で投資することが最も重要

長期投資は短期投資とは違って、すぐに結果が出るものでありません。投資の成果が見られるようになるには何年も必要となるかもしれません。その間に起きる価格変動に一喜一憂しないためにも、 気持ちに余裕を持って投資していく必要があるでしょう。

また、資金的に余裕があることも大切です。生活費や数年後に使う予定がある資金などを投資に回してはいけません。 余剰資金(当面使うことがないお金)を使って投資をするようにしましょう。そうすれば、万が一、投資が思うようにいかなくても、目の前の生活が影響を受けることはありませんし、挽回のチャンスを待つこともできます。

証券会社によっては、わずかな金額で積み立て投資を始められます。例えば、楽天証券では100円以上1円単位で月々積み立てる金額を決めることができます。

自分の状況に合った積立金額を設定して積立NISAを始めましょう。まずは、長期投資を実感することが大切です。その後、徐々に投資金額を増やしていくこともできるでしょう。

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FAQ

積み立て設定するのに最適な日にちはありますか?

いつが最も適した日にちであるかを断言することはできません

可能であれば、毎月、投資信託を購入する日の基準価額が下がってくれればいいと思うでしょう。

特定の日だけ株価が下がりやすいというような事象は確かに存在します。このような事象は「アノマリー」と呼ばれ、様々な研究が行われています。例えば、「月曜日は下落しやすい」「1月の株価は上昇する可能性が高い」といったものです。実際にそういった傾向が学術的に証明されているケースもあります。

しかしながら、これらの研究は過去のデータを分析したに過ぎず、将来も同じような傾向が続くことを証明するものではありません。また、過去には見られたそのような現象で、月日が経過するにつれて見られなくなったものもあります。

毎月何日に積み立てをするのかを指定できる証券会社もありますが、下がりやすい日を予測して指定したとしても、その通りになるとは限らないのです。

こうした情報に振り回されるよりも、給料日の後で余裕がある日など、 自分の都合に合わせて積み立ての日にちを設定する方がいいのではないでしょうか。

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積立NISAは円安時に開始しても大丈夫?円高時の方がいい?

基本的に為替相場を気にすることなく積立NISAを始めて問題ないでしょう。為替の変動 を完全に予測することはできませんし、積み立てを続ければ分散投資の効果も効いてくるからです。

そもそも積立NISAは長期投資を前提とした制度です。 円安、円高のタイミングを狙うような短期的な視点で投資をするのには適していません

とはいえ、投資する投資信託の選び方を少し調整することはできるかもしれません。例えば、今後円安が進むと予想しているとします。積立NISAで海外資産(外国株式など)に多く投資する投資信託を選んでおけば、円安になったときに運用成績にプラスに働くことでしょう。

しかしながら、積立NISAの大前提は長期投資であることを忘れてはいけません。短期的な為替相場を意識するよりも、長期での積み立て投資を少しでも早く始めて、複利効果や非課税のメリットを得ることの方が重要でしょう。

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積立NISAは12月から始めても40万積み立てられる?

ボーナス月の設定ができる証券会社であれば、積立NISAを12月から始めても非課税投資枠の40万円を使い切ることができます。

例えば、毎月の積み立て投資を3万円にして、ボーナス月を12月に設定し37万円を増額して買い付けするようにします。そうすると、40万円(3万円+37万円)を年内に使い切ることができます。

楽天証券やSBI証券は、非課税投資枠を使い切るための独自の設定があるので、その機能も活用できるでしょう。

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