年間を通じて厳しい相場環境が続いた2022年が終わり、2023年を迎えた。新年を占ううえで注目したいのは、近年低調な中国株だ。中国本土株は2022年、外国人による年間買越額が過去最低の見込みで、株価指数は世界の主要株価指数として最大級の値下がりだった。ただ、足元ではコロナ対策も緩和され、反動から急上昇する可能性もある。
本稿では、中国経済の現状やコロナ後の成長について解説していく。
中国の2022年Q4、GDPは?
中国の国家統計局は2023年1月17日、2022年第4四半期の国内総生産(GDP)を発表し、これにより2022年の通年の実質経済成長率が確定した。実質経済成長率は3.0%となり、国家として目標としていた「5.5%前後」を大きく下回る結果となった。
ゼロコロナ政策が経済成長にも大きく響いた格好だ。しかし言い換えれば、コロナ対策が緩和されたいま、中国の今後の経済復活は時間の問題ととらえることもできるのではないか。
「アフターコロナ入り」が相場に追い風か
中国は、2020~2022年12月上旬まで「ゼロコロナ政策」を掲げてきた。ゼロコロナ政策とは、都市封鎖(ロックダウン)などを活用してコロナ感染者がゼロになるよう徹底的に封じ込める政策のことだ。中国の報道では、2020年半ばに中国国内の新規感染者数がほとんどいなくなったとされる。ところが、2022年に入って新規感染者数が拡大し、国民の間で不満が高まった。
そこで中国政府は、2022年12月上旬、突如として政策の転換を表明。感染症としての警戒レベルを引き下げるとともに入国者に対するPCR検査と隔離を行わないようにした。新規パスポートの申請も再開し、中国人の観光目的の海外旅行も徐々に開放。中国国内の政策転換に加え、世界的には経済社会活動が正常化してきた地域も増えて「アフターコロナ」が現実味を帯びてきた。
これまで「世界の工場」として全世界から投資を呼び込んできた中国だが、コロナ禍で「脱チャイナ」が加速した。逆にいえばアフターコロナ入りで再び中国に目が向けられても不思議ではない。
デジタル人民元で「中国経済圏」が拡大?
2022年2月、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は、北京五輪で外国人向けに初めて「デジタル人民元(e-CNY)」を提供した。デジタル人民元は「法定デジタル通貨」でスマートフォンに専用アプリをインストールすることで店舗にある読み取り機での支払いやタッチ決済などが利用できる。同年同月の実証実験では、街中の買い物だけでなく中国政府から個人へ支払う補助金などにも利用された。
今後は、中国人だけではなく、短期で訪れた外国人も利用できるようになっていくだろう。中国がデジタル人民元の整備を進める背景には、人民元の国際的な地位を向上させたい狙いがある。ちなみに2023年時点で国際的な基軸通貨となっている米ドルはデジタル化されていない。中国政府は、世界第2位の経済大国として「中国経済圏」を押し広げる手段としてデジタル人民元に力を入れているのだ。
中国テック企業の「再評価」が相場押し上げ?
2021年に中国政府は、テック企業に対する規制を導入した。監視の目が厳しくなった結果、株式市場での評価が下がり、2022年時点で株価に深刻な打撃を受けている企業もある。
例えば、香港市場において、アリババの株価は2022年10月24日終値で約75%減少(2021年1月25日対比)した。一方オンライン検索と人工知能(AI)企業のバイドゥの株価は、2022年10月31日時点で約61%減少(2021年3月23日対比)。デジタル大手のテンセントの株価は2022年10月24日終値で約71%の減少(2021年1月25日対比)となった。オンラインショッピングのプラットフォームを運営するピンドゥオドゥオ(拼多多)のNASDAQにおける株価は、2022年3月22日終値で約74%減少(2021年1月25日対比)。
ただ、2022年11月、中国の国家市場監督管理総局が不正競争防止法の改正案を公表したことで転機も垣間見える。競争のルールが明確化されたことで、それまでのグレーな環境が終わると好感する声が上がった。これまで締め付けが厳しかったテック企業の株価は、数年前と比べ、かなりの低水準に位置している。これらのテック企業は、もともと時価総額が大きく市場内で再評価されれば中国市場全体の押し上げ効果も期待できるだろう。
実際、2023年1月時点の各企業の株価は、回復基調にあり2022年10月以降は右肩上がりとなっている。
不景気の株高につながるか注目
2022年の世界的な株価の下落は1月5日の米連邦公開市場委員会(FOMC)における議事要旨公表とともに始まった。それから1年経過しても状況はあまり変わっていない。2023年1月4日に公表されたFOMC議事要旨は、米国の求人数は高止まりを続け、インフレの懸念が継続しているため1年前と同じく「利下げ局面に入る時期はまだ遠い」とするものだった。
しかし株式市場の反応は、1年前とは異なり上昇に転じている。なぜならすでに景気後退(リセッション)を示す兆候が出始めており、インフレが収まって利下げも遠からず始まるという見方が強まったからだ。「不景気の株高」という言葉がある。これは「景気が悪くなれば金利の引き下げや量的緩和が実行され、株価が上昇しやすい環境になる」という理屈だ。
これらの流れは、この言葉が当てはまる局面が近いことを示唆しているともいえるだろう。そうなると2022年にひときわ苦汁をなめてきた中国株が今後より注目を集める可能性が高いといえる。
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