この記事は2023年1月19日に「月刊暗号資産」で公開された「暗号資産市場、景気後退リスク巡る米国株の動向等を受け反落」を一部編集し、転載したものです。


ビットコイン
(画像=fotobieshutterbstock.adobe.com)

18日に発表された昨年12月の米生産者物価指数(PPI)は、新型コロナウイルスの感染拡大以来となる大幅な低下となった。中でも今回はエネルギーと食品の値下がりが大きかった。

食品とエネルギー、貿易サービスを除くPPIは前月比0.1%上昇し、市場予想を下回った。また、昨年12月の米小売売上高も予想以上に落ち込み、1年ぶりの大幅減となった。高インフレと利上げ高を受け、米国経済成長を支えてきた消費が力を落としていることが露呈した形だ。

また、米マイクロソフトは18日に従業員1万人を削減すると発表した。同社の従業員は昨年6月時点で22万1,000人となっており、全体の約5%を削減することとなる。利上げによる景気後退への懸念から、大手IT企業は大規模な人員削減が続いている。

米株式市場は景気減速を示す経済指標などを嫌気し、売り圧力に押された。NYダウ平均は前日比613.89ドル(1.81%)安の33,296.96ドル、ナスダックは前日比138.10(1.24%)安の10,957.01、S&P500は前日比62.11(1.56%)安の3928.86で終えている。

こうした動きを受け、暗号資産(仮想通貨)市場でも売りが加速した。

ビットコイン(BTC)は一時2万1800ドル(約279万円)ほどを推移していたものの、2万700ドル(約265万円)ほどまで下落。イーサリアム(ETH)も1620ドル(約20万8,000円)から1500ドル(約19万2,000円)ほどまで価格を落としている。

それでも暗号資産市場では底堅い動きが続いており、米時間に底固めができるかが焦点となる。

暗号資産関連では、暗号資産取引所FTXの破綻による余波で、デジタル・カレンシー・グループ(Digital Currency Group)傘下で暗号資産レンディング等を手がけるジェネシス(Genesis)が、米連邦破産法第11条(チャプター11)に向けて準備を進めているとBloombergが報じた。ジェネシスは債権者グループと協議を進めており、申請の前に大幅リストラについて合意したという。

また、デジタル・カレンシー・グループが流動性確保を目的として株主への配当を停止したことや、グループ傘下の暗号資産メディア・コインデスク(Coindesk)が事業売却を検討しているとの報道も投資家心理を悪化させた。(提供:月刊暗号資産