主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年3月9日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼8日(水)の為替相場
(1):本邦経常収支、1985年以降最大の赤字
(2):欧州経済指標、結果はまちまち
(3):米ADP雇用統計上振れ
(4):パウエルFRB議長、下院証言
▼8日(水)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:重要イベントを前にもみ合う展開/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
8日(水)の為替相場
期間:8日(水)午前7時10分~9日(木)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):本邦経常収支、1985年以降最大の赤字
日本1月経常収支は1兆9766億円の赤字と予想(7850億円の赤字)を下回り、赤字額は1985年以降最大となった。中国の旧正月などで貿易赤字が3兆1818億円に膨らんだことが押し下げ要因になった。
(2):欧州経済指標、結果はまちまち
独1月鉱工業生産は前月比+3.5%と予想(+1.4%)を上回った。一方、同時に発表された独1月小売売上高は前月比-0.3%と予想(+2.3%)を下回った。その後に発表されたユーロ圏10-12月国内総生産(GDP)・確定値は前期比±0.0%と予想通りに改定値の+0.1%から下方修正された。
(3):米ADP雇用統計上振れ
米2月ADP全国雇用者数は24.2万人増と予想(20.0万人増)を上回った。前月分は10.6万人増から11.9万人増へと上方修正された。その後に発表された米1月貿易収支は683億ドルの赤字となり、赤字額は予想(687億ドル)よりやや小さかった。
(4):パウエルFRB議長、下院証言
米1月JOLT求人件数が1082.4万件と予想(1054.6万件)を上回ったことで一時ドルが買われたが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が下院金融委員会で「3月の会合についてまだ何も決まっていない、データ次第だ」と発言するとドル売りに傾いた。前日の上院銀行委員会での証言(データが正当化するなら利上げを加速させる用意がある)をややトーンダウンさせたと受け止められた。ただ、その点以外に前日の証言との違いはなく、議長は「ターミナルレート(政策金利の最高到達点)は従来の予想より上振れする可能性が高い」「3月会合の前に重要なデータがいくつか発表される」などと続けた。また、10日に発表される米2月雇用統計と来週のインフレ指標が大きな材料になるとの見解をあらためて示した。ドルは売りが一巡すると持ち直しの動きが強まった。