総括
FX「3月月間MVP。予想外の大幅利上げと停電緩和で一矢報いる」南アランド見通し
「通貨最下位、株価9位」
「予想レンジ 南アランド7.2-7.7」
(ポイント)
*南アランドは3月の月間MVP、年初来ではまだ最弱
*予想外の利上げと電力状況の改善でランド上昇
*南ア中銀は予想の0.25%利上げに比し0.5%の利上げ
*2月貿易収支は黒字へ
*IMFは成長見通し引き下げ
*富士フィルムは南アビジネス拡大
*2月消費者物価は7%へ上昇
*プーチン氏、南アでのBRICS首脳会議への出席は未定
*週末の停電は軽減
*1月の小売売上が予想を上回った
*電力大臣ポストを新設
*南アの最大貿易相手国は輸出入ともに中国
*インフレ率は23年は5.4%、24年は4.8%と予想(中銀)
(南アランドは3月の月間MVP、年初来ではまだ最弱)
南アランドは年初来最下位なるも、先週は12通貨中2位、3月は月間最強と健闘した。中銀が予想の0.25%を上回る0.5%の利上げを行ったことと、停電状況の改善が上昇の要因だ。
(予想外の0.5%利上げ、南ア中銀)
中銀は、政策金利を0.5%引き上げ7.75%とした。なお高水準にあるインフレへの対応を継続する。利上げは9回連続となり、2021年11月に金融引き締めを開始して以来、利上げ幅は計5.25%となった。
金融政策委員5人の委員の判断は分かれ、3人が0.5%利上げ、2人が0.25%利上げを主張した。2月の消費者物価が前年同月比7.0%上昇と、伸び率が1月の6.9%拡大したことが背景にある。
(電力改善)
停電状況の改善とエスコム社の財務改善も南アランドを押し上げたと言える。
最近は停電の頻度が減少している。また電力大臣は、年末までに クシル発電所で4つのユニットが稼働し、2024年2月に追加のユニットが稼働する予定であると述べている。
またエスコム社の財政状態改善のために、特別歳出法案が緊急に提出され、さらに2,300億ランドの支援が割り当てられた。
(IMFは成長見通し引き下げ)
IMFは成長見通しを引き下げている。南アは、民間部門の投資を促進し、優れたガバナンスを促進し、公的支出の効率を改善して、計画停電によって停滞している経済を強化するための改革を実施する必要があるとした。2023 年におそらく0.1%しか成長しないという予測を打ち出した。これは、1月の1.2%、および政府の予測である0.9%を大きく下回っている。
(経済指標、2月貿易収支は黒字へ)
2月貿易収支は161.3億ランドの黒字に転じた。1月は227.1億ランドの赤字。予想は143億ランドの赤字だった。輸出が前月比10.7%増加、輸入が14.8%減少した。
2月生産者物価は前年比12.2%の上昇、1月の12.7%上昇から低下した。
今週は3月ABSA製造業PMIやS&PのPMIの発表がある。
テクニカル分析(ランド/円)
5日線が20日線上抜く。一時ボリバン2σ上限を上抜く
日足、ボリバン3σ下限から2σ上限へ反発。3月30日-31日の上昇ラインがサポート。3月2日-31日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き20日線を上抜く。
週足、2σ下限から反発もまだ下位。雲の下。3月20日週-27日週の上昇ラインがサポート。1月9日週-3月27日週の下降ラインが上値抵抗。5週線上向く、20週線下向き。
月足、3月は5か月ぶり陽線。雲の上に少し出る。20年5月-23年3月の上昇ラインがサポート。23年1月-3月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線は下向き
年足、21年、22年は短い陽線。23年は陰転。20年-22年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
富士フイルム、ヨハネスブルクにテクノロジーセンターを開設
富士フイルムの南ア現地法人フジフイルムサウスアフリカは、ヨハネスブルク市内にテクノロジーセンターを開設した。アフリカでは、プリントがすぐにできるインスタントカメラや、高性能デジタルカメラが人気で、南アにおいては高所得層をターゲットに販促を展開している。
現在、売り上げの約3割を占める医療関連分野に注力しており、政府機関や病院に売り込んでいる。南ア含め南部アフリカ諸国は、結核高負担国リスト入り、結核患者の数が多く、人口比の罹患率が高いという課題があり、また、HIVとの併発で年間多くの方が亡くなっている。日本製品の品質と実績が評価される医療分野に今後も積極的に取り組んでいく。