南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「3月月間MVPから一転4月第1週は最弱通貨。原油高とロシア問題」南アランド見通し

「通貨最下位、株価8位」
「予想レンジ 南アランド7.0-7.5」

(ポイント)
*3月月間MVPから一転4月第1週は最弱通貨
*原油高とロシア問題が南アを不利にさせている
*3月の2つのPMIは悪化
*予想外の利上げがあった
*南ア中銀は予想の0.25%利上げに比し0.5%の利上げ
*8月の南アでのBRICS首脳会議ではプーチンを逮捕しないようだ
*2月貿易収支は黒字へ
*IMFは成長見通し引き下げ
*2月消費者物価は7%へ上昇
*停電は軽減
*電力大臣ポストを新設
*南アの最大貿易相手国は輸出入ともに中国
*インフレ率は23年は5.4%、24年は4.8%と予想(中銀)

(3月月間MVPから一転4月第1週は最弱通貨)
 3月は予想を上回る政策金利の0.5%の引き上げもあり月間最強通貨となったが、4月第1週は最弱通貨となり、年初来でも最弱通貨を続けている。先週はOPECプラスの予想外の協調減産があり原油急騰となったが、南アは原油輸入国であり、ネガティブな要因となった。

(停電で弱くなった経済指標)
 経済指標は弱く、アブサ3月製造業PMIは48.1で前月の48.8を下回り、S&PのPMIは49.7で、これも前月の50.5を下回った。今週は2月企業信頼感や製造業生産の発表があるが、停電の影響が出るか。

(プーチンを逮捕しない)
 南アのアジア担当兼BRICS特使のスクラル氏は、「すべての首脳が南アでのBRICS首脳会議に出席することを確認した」と述べた。今年8月22日から24日まで、ヨハネスブルグでBRICSサミットが開催される。国際刑事裁判所 (ICC) は、ウクライナへの侵略と1年以上続き、多くの人権侵害につながった戦争を引き起こしたとして、プーチン大統領の逮捕状を発行している。ローマ規程の署名国として、プーチン大統領が入国した場合、南アは逮捕を実行する義務があるが、破棄するようだ。

(プーチンを逮捕しない代償)
 この代償は南アにとって大きいとされている。ロシアは南アとほとんど経済関係を持っていない。米国への輸出量は、ロシアへの輸出量の50倍。欧州への輸出は、ロシアへの輸出の150倍。相対的な輸入は同程度の大きさだ。また南アへの5つの最大の直接投資家はオランダ、英国、ベルギー、米国、ドイツであり、約1360億ドル。IMFは、南アへのロシアの投資はわずか500万ドルとしている。

南アは、東西間の分断の拡大に存在するリスクを非常に過小評価しているようだ。南アのすべての企業が危機に直面するか、中国は支援できるか。

(何故、プーチンを守るのか)
 南アで政権を握る「アフリカ民族会議(ANC)」とロシア政府の絆は深く、そう簡単に破ることはできない。アパルトヘイト時代の1970年代に警察の弾圧を逃れて南アから亡命した南アの若者の多くが、亡命中にANCや「汎アフリカ会議」といった解放運動の軍事部門に加わった。他のアフリカ諸国に設置された訓練所には、しばしばソ連の顧問の姿があった。
 ANC関係者によれば「旧ソ連圏のように、我々に必要なもの全てを与えようとする国があることを知った。食べ物や制服を与え、訓練と武器を供与してくれた。自分たちを同等に扱ってくれる白人に出会ったのは初めてだった」と語った。
ロシアによるウクライナ侵攻とウクライナ領土の併合を非難する国連決議の採決が行われた際、南アは他の複数のアフリカ諸国と並んで棄権した。