メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「最強メキシコ、敢えて4つの懸念を上げる」メキシコペソ見通し

予想レンジ 7.1-7.6

 (ポイント)
*通貨は年初来最強、株価指数も強い
*メキシコのファンダメンタルズは強い
*郷里送金とニアショア投資がペソを支える
*中銀は利上げ減速、消費者物価は低下
*今夜は中銀議事録公表
*政府の成長見通しは3%と高い。民間予想の約倍
*政府のインフレ率見通しはを2023年は3.2%から5.0%へ引き上げ
*電力国有化拡大には米加が問題視
*政策金利は予想通り0.25%引き上げて11.25%へ
*株式市場改革法案が第2四半期に提出される
*2024年に大統領選挙がある
*4Qの経常収支は赤字から黒字へ転換

(依然、堅調)
 依然、堅調で年初来ペソ円は9.38%高、ボルサ株価指数も12.86%高と強い。経済指標は強い。1月経済活動指数、3月企業信頼感指数に続き、I2月鉱工業生産は前年比3.5%増で前月の2.8%増を上回り、2月自動車生産は同13.1%増で前月の9.9%を上回った。

(今夜は3月中銀議事録の公表)
 メキシコ中銀は、3月予想通り政策金利を0.25%引き上げて11.25%とした。声明文で、明確に追加利上げの可能性に言及した文言を削除した。次回5月の会合については「政策委員会は物価見通しを踏まえ、既に達成している金融引き締め政策のスタンスの是非を検討する」と説明した。前回まで2会合連続で0.5%の利上げを実施していた。

 足元のインフレ率の低下を受け、利上げ幅を縮小した。利上げ自体はこれで15回連続。2021年に始まった現在の引き締めサイクルで、政策金利は計7.25%引き上げられた。
 今夜はその詳細をチェックする。

(G7声明では中国回避を示唆、メキシコに追い風、サプライチェーンの多様化)
 4月12日のG7財務相・中銀総裁会議ではサプライチェーンの多様化を通じて低・中所得国の役割を拡大し、供給網をより強靭にすることで合意した。
中国を名指ししてはいなかったが、サプライチェーンへ改革への言及は中国への依存度引き下げに向けた各国の協調的行動に合致するとした。サプライチェーンの変革はメキシコへの工場誘致となる。 

(メキシコの弱点は4つ、まだ現実化はしていないが想定しておきたい)
 懸念一のつ目は米国経済の減速であるが、これもイエレン財務長官は米国経済が6カ月前に比べて改善し、並外れて良好だとの見解を示しリスクが存続するものの景気低迷を予想していないとが発言し自信を示している。IMFも昨日2023年の米国成長見通しを1月の1.4%から1.6%へ上方修正した。油断はしてはいけないが、引き続き米経済動向を注視したい。米国3月の消費者・生産者物価は大きく低下している。メキシコ中銀は米国との金利差を維持しつつ利上げ減速に向かっていくだろう。

 二つ目の懸念は、メキシコ政府のエネルギー関連産業の国有化である。自国産業を保護するためだが、過度になるとUSMCA協定の違反ともなり、米加が自由に経済活動を行えなくなり、経済紛争となる。

三つ目は円高だ。貿易赤字が縮小したり、YCCの転換で円が買われればペソ円は下落する。ただまだこれも起こっていない。

四つ目はポジションの偏り。日本でも世界でもペソの人気は高い。現在の外為どっとコムの注文状況でも売りが多い。調整の売りは上述3つの要因がクローズアップされれば出ることがある。

テクニカル分析

ボリバン中位から上昇、5日線、20日線上向く

 ボリバン2σ上限近くから反落も中位から上昇、一時雲の上に出る。4月10日-13日の上昇ラインがサポート。4月3日-12日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向く。
週足、ボリバン上位で推移。雲の上。5週線、20週線上向く。3月27日週-4月3日週の上昇ラインがサポート。3月6日週-4月3日週の下降ラインをが上値抵抗。
 月足、ボリバン上位で推移も横ばい。1月、2月は陽線。3月は下へ突っ込むも、
後半反転。4月は陰線スタート。1月-3月の上昇ラインがサポート。5か月線上向く、20か月線は上向き。
 年足、一時22年の長い上ヒゲを上抜くも、その後23年も長い上ヒゲに転じる。21年-22年の上昇ラインがサポート。

メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

VAMOS MEXICO

ニアショアの原点

 ニアショアとは既存の事業拠点から地理的に近い近隣国に事業を移転することだ。
2022年12月にメキシコのブエンロストロ経済相と米国ライモンドと商務長官の会談で具体的となった。メキシコと米国が協力してより回復力のあるサプライチェーンを開発する方法について話し合った。

 現在進行中の米中貿易戦争、米国への近さ、USMCA 自由貿易協定に関連するメリット、手頃な人件費が、多くの企業がメキシコへの事業移転を検討している理由だ。400社以上の北米企業がすでに「アジアからメキシコへの移転プロセスを実行する意向を持っている。海外企業も追随している。
 エネルギー安全保障、食料安全保障、国家安全保障が「この地域の経済発展の主要な柱」であることに米墨は同意した。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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