南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「難題続きランドが急落。南アはどこへ行くのか」南アランド見通し

「通貨最下位、株価9位」
「予想レンジ 南アランド6.7-7.2」

(ポイント)
*停電の拡大観測でランドは売られた
*さらに南アのロシアへの武器供与が指摘され急落
*グレイリスト入りで資金流出
*8月の南アでBRICS会議にプーチン拘束は?
*対中貿易深耕
*BRICS共通通貨は?
*3月消費者物価は前年比7.1%上昇
*5月は0.25%利上げか
*3月貿易黒字は縮小
*海外からの投資を呼び込む
*停電改善は民間部門の支援から
*アマゾンが南アに投資
*IMFは成長見通し引き下げ
*南アの最大貿易相手国は輸出入ともに中国
*インフレ率は23年は5.4%、24年は4.8%と予想(中銀)

(難題続き、ランド急落)
先行きが見えない停電問題、マネーロンダリングでグレーリスト入りで資金流失、中国ロシアへの接近で対米関係悪化など、南アランドにとって悪い材料が続く。ランド安はインフレにとって悪材料であり利上げ継続の要因となっている。

(停電継続)
 5月9日に国営電力会社エスコムは、1発電ユニットの再稼働に45日間の遅れが生じると議会に報告。国内の大部分ですでに1日10時間以上の計画停電が行われている中、冬季の送電網にさらなる圧力となる。

(グレイリスト入りで資金流出)
 南アがマネーロンダリングによりグレイリスト入りとなったことで、2023年は外国人投資家からの資本流出が加速、1700 億ランドを超える南アの株式と債券が国際投資家によって売却されている。IMFの調査によると、2000 年から2017年の間に新興国と発展途上国がグレーリストに登録されたとき、9か月間でGDP の7.6%に相当する資本フローが減少したことが示された。

(ロシアへ武器供与? AGOA破棄か)
 米国のブリゲティ駐南アフリカ大使は5月11日、ロシアの船舶が昨年12月に南アのサイモンズタウンの海軍基地で武器を載せたと確信していると述べ、南ア政府が公言するウクライナ紛争での中立性に合致しないことを示唆した。米国がロシアに武器を供与したとされる報復として南アのアフリカ成長機会法(AGOA)へのアクセスを破棄すれば、自動車、宝飾品、柑橘類、ワインの生産者が最も大きな打撃を受けることになる。

(プーチン拘束は?)
5月12日には、ロシア大統領府は、プーチン大統領が、南アのラマポーザ大統領と電話で会談し、8月にヨハネスブルクで開かれるBRICS首脳会議に向けて調整を続けることで一致した。プーチン氏はウクライナ侵攻に絡んで国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状を出されており、ICC加盟国の南アを訪れるかが焦点となっている。

(対中貿易深耕)
 貿易については、現在も中国が輸出入ともに最大貿易相手国であるが、さらに5月には南ア産のトウモロコシが中国へ輸出されたことは朗報だ。米中関係の悪化もあり、中国は米国が独占していたトウモロコシ輸入をブラジルと南アにも開放したようだ。BRICS内の貿易振興だ。欧米から離れてBRICSへ傾いている南アだ。

(ランド安で金融引き締め継続か)
 ランド安が続けば、高止まりしている消費者物価上昇を加速させ、.タカ派の中銀の金融引き締めが続き経済にも打撃となる。昨年4Qは前期比マイナス成長であったが、1Qもマイナス成長、リセッションが予想されている。

テクニカル分析(ランド/円)

雲の上から一気に3σ下限を下抜く急落

 日足、雲の上から一気に3σ下限を下抜く急落。現在も2σ下限以下。5月11日-12日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
 週足、一時3σ下限まで急落。4月24日週-5月1日週の上昇ラインを下抜く。5月1日週-8日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。 
 月足、雲上限越えきれずボリバン2σ下限へ下落。20年5月-23年5月の上昇ラインがサポート。23年1月-5月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線は下向き。
 年足、21年、22年は短い陽線。23年は陰転。20年-22年の上昇ラインを下抜く。08年-22年の下降ラインが上値抵抗。

南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

喜望峰

BRICSが共通通貨を検討

 パンドール国際関係・協力大臣によると、BRICS諸国は共通通貨導入の実現可能性について話し合う予定だという。ドルを世界貿易通貨として使用することに代わる手段を求める声が新たに高まっている。
南ア中銀のクガニャゴ総裁は、BRICS単一通貨は 単一中央銀行の創設とその設置場所についての新たな議論を引き起こすだろうと述べた。
米国の利上げと地政学的な紛争により、米国通貨とそれに価格が設定されているすべての商品の価値が上昇し、ほとんどの新興国市場に損害を与えている。このため、世界の取引通貨としてドルを使用することに代わる代替手段を求める声が高まっている。
選択肢の1 つは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アで構成される BRICS 圏が独自の通貨を採用することだ。この問題は、8月22日にヨハネスブルグで開催される各国首脳会議の議題となる可能性が高い。BRICS は世界人口の 40% 以上を占め、世界の経済生産高のほぼ3分の1を占めており、世界で最も重要な経済圏の 1 つとなっている。サウジアラビアやイランを含む他のいくつかの国も、その仲間入りに関心を表明している。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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