南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「予想を上回る0.5%利上げでもランドは下落。中銀がランド安懸念」南アランド見通し

「通貨最下位、株価9位」
「予想レンジ 南アランド6.8-7.3」

(ポイント)
*予想を上回る0.5%利上げ。インフレ懸念は強い
*4月の消費者物価は前年同月比6.8%上昇と、3月の7.1%上昇から伸びが鈍化
*中銀がランド安懸念
*ドイツ銀行が南ア国債の購入を推奨
*難題あり(停電、グレーリスト入り、中国・ロシアへの接近で対米関係悪化)
*今冬は前例のないレベルの計画停電か
*今年はここまで最弱通貨
*失業率、小売売上が悪化
*AGOAの更新が不透明(対米関係悪化で)
*8月の南アでBRICS会議にプーチン拘束は?
*対中貿易深耕
*3月貿易黒字は縮小
*IMFは成長見通し引き下げ
*南アの最大貿易相手国は輸出入ともに中国
*インフレ率は23年は5.4%、24年は4.8%と予想(中銀)

(予想を上回る0.5%利上げ。インフレ懸念は強い)
 年初来では依然、最弱通貨。南ア中銀は政策金利を市場予想の0.25%引き上げを上回る0.5%引き上げ8.25%とした。今年と来年のインフレ見通しを引き上げ、リスクは上向きに傾いているとの見方を示した。
全会一致で決定。 利上げは10会合連続。2021年11月の金融引き締め開始からの合計の利上げ幅は4.75%に達した。

4月の消費者物価は前年同月比6.8%上昇と、3月の7.1%上昇から伸びが鈍化した。ただ中銀が目標とする3-6%はなお大きく上回っている。
中銀は経済見通しで、2023年のインフレ率は平均6.2%で推移すると予想。従来の6.0%から引き上げた。
声明で「コアの財・食品価格の短期的な上昇が予想されるため、23年のインフレ率見通しを上方修正した。

(中銀がランド安懸念)
インフレの上方リスク、国内外での資金需要の拡大、電力不足を受けた給電停止などを踏まえると、通貨安が一段と進む可能性があるとした。金利上昇は経済を弱体化させるほか、電力と水の削減能力が大幅に低下し、鉄道と港湾の能力が非常に弱くなる。これらすべてがランドにとってマイナスとなる。

 クガニャゴ総裁は、「金利面で我々が講じる措置は外国為替市場に影響を与える可能性があるが、我々は為替レートに対処するために政策スタンスを調整するつもりはない」と述べた。我々は為替レートがインフレに与える影響に対処するために政策スタンスを調整している。つまり為替レートではなくインフレに対応しているのだ。

総裁は、会合では金利据え置きと同様に0.75%の引き上げも議論されたと述べた。ランドはしばらくの間、売り圧力にさらされている。ここ数週間、蔓延する電力危機と送電網崩壊に対する不安の高まりや、南アがロシアに武器を供給した疑惑から生じる重大な地政学的緊張を受けて通貨と株価は新安値を更新し続けた。