トルコリラ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「政策金利は。大統領・中銀総裁・財務相は一つになれるか」トルコリラ見通し

(通貨最下位、株価20位)   

予想レンジ トルコリラ/円5.0-7.0

(ポイント)
*今週、政策金利決定。大統領・中銀総裁・財務相は一つになれるか
*政策金利は14%から40%の引き上げと様々
*大幅利上げは短期的にリラを引き上げるが、長期的には需給次第
*新財務大臣は合理的な政策に変わると主張、経常収支改善も目標
*ただ最新のエルドアン大統領発言は低金利政策維持
*選挙後の金融市場は大変動
*選挙後は大幅リラ安、金利急上昇、株急騰
*経常赤字続く=リラ安の要因
*4月雇用統計 10%超が続く
*4月小売売上はまずまず
*政策金利は年末に40%まで上昇する予想も
*ゴールドマン・サックスは、リラが1年後に1ドル=28リラまで下落と予想
*スウェーデンのNATO加盟を認めるか?
*地震でも世銀が成長率見通しを上方修正
*今年は建国100周年

(選挙後の金融市場大変動)
選挙後の大変動は続いている。ただ22日の政策金利決定を前に金利、株価も上昇一服、リラは急落後下げ止まっている。
 選挙後はリラが対円で14.49%、対ドルで18.07%下落、イスタンブール100株価指数は15.03%高、10年国債利回りは96.29%高(9.04%から17.75%へ上昇)となっている。

トルコリラ見通し
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(政策金利は)
早速今週6月22日には政策金利決定会合がある。JPモルガンチェースは25%への引き下げを予想している。中銀の調査では18%、市場のコンセンサスは20%への利上げ。10年国債利回りは呼応して上昇している。
 大幅利上げは短期的にリラを引き上げるが、長期的には需給次第だ。

(自由市場の規則に従う)
 トルコの政府経済チームを率いるユルマズ副大統領は6月15日、政府はインフレを抑制するための措置を講じ、競争力と生産性を高める上で自由市場の規則に従うと述べた。副大統領は「主要な問題だとみなしているインフレとの闘いにおいて、効果的かつ断固とした措置をとる」と表明。政府は財政規律を維持し、一貫性のある政策を実行すると強調した。

(エルドアン大統領は)
エルドアン大統領は先週、「低インフレ・低金利」政策の下でインフレを一桁台に押し下げる決意だと述べた。「財務相・中銀とともに迅速かつ容易に講じる措置を我々は合意した」と述べ、シムシェク氏への支持を表明した。
 しかしエルドアン大統領は、人々は彼が金利に関する見方に「重大な変更」を加えたと考えるべきではないと付け加えた。

(預金保護システムは維持)
副大統領は、またトルコリラ預金を外貨下落から守る政府支援の制度(KKM)を直ちに放棄することはできないと述べ、段階的な離脱に取り組むと付け加えた。

(リラ安の根本要因は)
 リラ安の根本的な要因は恒常的な経常赤字がだが4月も54.04億ドルの赤字に急拡大し、前年同月の25億4000万ドルから2倍以上に増加した。貿易赤字(70億2000万ドル)の悪化により予想の45億ドルを上回った。

(他の経済指標)
 4月失業率は前月比0.1%ポイント上昇、10.2%となった。15歳以上の失業者数は4月に前月比7万4000人増の358万人となった。4月の失業率は男性8.1%、女性14.3%。雇用者数は同期間に52万1,000人増加して3,160万人になった。 15~24歳の若年層の失業率は19.1%で、前月比1.2ポイント減少した(男性で15.7%、女性で25.4%)
 4月小売売上は前年同月比27.5%増、前月は28.8%増

テクニカル分析(トルコリラ/円)

「急落後、下げ止まったが戻りも遅々、5日線は上向く。週足も反転か」

 日足、 急落後、下げ止まったが戻りも遅々。弱いことには違いがない。6月16日-19日の上昇ラインがサポート。6月6日-19日、5月26日-29日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く、20日線下向く。雲のはるか下。

 週足、3σ下限から小反発。6月5日週-12日週の上昇ラインがサポート。5月29日週-6月5日週の下降ラインを上抜くか?5週線下向き、20週線上向き。
 月足、21年12月-23年5月の上昇ラインを下抜く。23年3月-5月の下降ラインが上値抵抗。ボリバン2σ下限。
年足、8年連続陰線。その間52円から5円台へ沈む。今年は僅かに陽転していたが3月から陰転。5月一時円を上回ったが、5月末は円に4%以上引き離された。

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メルハバ

「トルコ金融経済安定の起死回生策は」

 多くの貿易・経常赤字国、また高インフレ国が弱い自国相場の回復に挑戦したが、かなわなかった。アルゼンチン、ジンバブエしかり。ギリシャなど南欧の国もかつてそうだった。ただギリシャなどは利上げ、介入を繰り返しても改善しなかったが、ユーロ通貨統合に加盟することによって、通貨の安定、金利低下を勝ち取った(貿易赤字はそのままだ)。

 トルコも1987年以来のEU加盟申請の歴史があるが、様座な問題で暗礁に乗り上げたままだ。しかし、 エルドアン大統領は先週、フォンディアライエン欧州委員長と電話で会談し、EU加盟に関し、適切かつ誠実なアプローチをとるよう求めた。EU加盟、通貨統合への参加は起死回生策だ。ギリシャという成功例がある。
 EU加盟が直ぐに出来なくとも、加盟3条件(インフレ、財政、金利の安定)へ向けた姿勢を示すことも次善の策だ。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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