知識が求められるマンションの建物管理

不動産の購入以来、年に一度は建物管理に触れる機会があります。なぜならマンション管理組合の総会があるからです。

送られてくる資料には総会の開催日時と検討する内容(議案)が書かれていて、オーナーは議案に対して賛成か反対かを表明する必要があります。

ですがこの判断が、不動産初心者にとって難しいのです。建物管理に詳しくないと「何が問題になっているか」すらわからず、勢いで賛成か反対かのどちらかに○をつけることもありました。

忙しい日々を過ごすなかで、未知の領域の建物管理に時間を割けない・余裕がない、つまり興味が湧かないオーナーさんがいるというのも、納得できます。

増圧ポンプに出会った日

私が管理組合の活動を直視するようになった経緯は以前の記事を見ていただくとして、初めて「増圧ポンプ」の存在に触れたのは、ある年の総会に出席したときです。

その時のメモがこちらです↓

総会に出席したときのメモ
(画像=2019年、初めて接した増圧ポンプ(ついていくのに必死すぎて自分でも読めない文字…)、「RENOSY マガジン」より引用)

総会では、1年間の活動内容を振り返ります。管理業務を建物管理会社に委託しているので、どんな検査等をしたかの説明を管理会社の担当者から聞くことになります。専門的な話が続き、項目も多岐にわたるので、全部理解したいとなると、かなりの集中力がいります。メモは全部走り書きです。

その総会で、間もなく増圧ポンプの交換が必要と告げられました。このとき自分自身では、給水(きれいな水を取り込む)と排水(使用した水を排出する)の区別ができていません。聞いた瞬間はわかっていたかもしれませんが、すぐ忘れてしまいました。緊急度が高い案件ということだけ認識できました。

記憶に残ったこと

  • 2個あるポンプのうち1つが壊れた
  • もう1個壊れると入居者の命に関わるから、急いで取り替える必要がある
  • 安い金額ではない

写真も見せていただいたのですが、この時点では各パーツも全体の構造も理解できていないので、何が映っているのか脳が処理できませんでした。

1件目の増圧給水ポンプ
(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

今見ると、サイズ感としてそれほど大きくない設備にしか見えませんが、記憶に留まったイメージは、「大きい」「地下のどこかにある」設備でした。

ポンプの脳内イメージ
(画像=「地下にある大きな管と水を貯める入れ物」のぼんやりとした脳内イメージ(間違ってます)、「RENOSY マガジン」より引用)

記憶に残った理由としては、以前見学した六本木の大規模商業施設内の水に関する設備の記憶と、激しい台風でタワマンが浸水した出来事、洪水を防ぐための巨大な地下施設が話題になったなどから、「水が関連する施設イメージ」が適当に形作られたと思われます。

1つの物件で増圧ポンプの交換が発生した翌年、もう一つの物件の管理組合の理事長になりました。

理事長になって2度目の出会い

理事長になると、確認したり判断したりすることが発生します。

月に一度、日々の管理内容と結果などが書かれた管理業務報告書が届きます。月1という頻度は、「読んだ」と思ったらすぐ「あ、またきた」というスピード感です。余裕のあるときに「読まなきゃ」と報告書を開くのですが、文字は追いかけるものの、「問題がある/なし」「お金がいくらかかったのか/かかるのか」程度でしか読み解けないでいました。

増圧ポンプの定期点検

月次報告書のなかで、ポンプの定期点検をしたよという内容も届きます。2年分の結果報告に目を通しました。

ポンプの定期点検結果報告書
(画像=この記事を書きつつ写真を撮って初めて、給水の文字があることに気づきました(!)細かな検査項目が次ページに続くのですが、ただページをめくっていたと思われます…、「RENOSY マガジン」より引用)

「良好」と書かれていたので、問題はないんだなと思って読み進めていました。

増圧ポンプの寿命

理事長になってしばらくすると、この物件でも「増圧ポンプ」の交換が必要と管理会社の担当者から提案を受けました。

10年以上使っていて、部品はすでにメーカーになく、どこかが故障するとまるっと取り替える必要があるということでした。壊れたら交換するのはどう?と聞いてみたところ、半導体不足で設備がすぐ手に入らないので、不具合が出る前に交換するのがよいと説明を受けました。

そして2023年、相見積を取って、安く工事を実施していただける方に工事を依頼しました。事前の打ち合わせの際に、工事を見学したいと打診したところいいですよと言われたので、工事当日に見学に行きました。

給水増圧ポンプ交換工事を見学

30℃を軽く超える夏の日、職人さんが作業を開始。朝9時前に現場に行ったときにはすでに古いポンプユニットの撤去の準備が始まっていました。

古いポンプユニットの撤去準備
(画像=地下ではなかった設置場所、「RENOSY マガジン」より引用)

ほぉ…これがポンプユニットか……。まだどのパーツがどんな働きをするのかわかっておらず、クリアに認識できていません。

新しいポンプユニットの搬入

間もなく新しい給水ポンプがトラックで運ばれてきました。重機を使って荷台から台車へと下ろされました。

新しい給水ポンプが荷台から台車へと下ろされる
(画像=機械を使っての上げ下ろしということで、重いことが想像できます、「RENOSY マガジン」より引用)

古い給水ポンプユニットを撤去

給水ポンプユニットの構成を職人さんから聞きました。

2台のポンプと、肺の働きをする圧力タンク、電圧を変えるインバーター、脳の働きをする基盤と、人間に例えていただいたので、わかりやすかったです。

いままで使っていたポンプ一式のパーツが解体されていきます。解体開始と同時に、住人の方の断水が始まります。

設備の大きさは、おぼろげなイメージとはまったく異なるサイズ感でした。

巨大ではなかったポンプ
(画像=巨大ではなかったです。、「RENOSY マガジン」より引用)

しばらくただただ観察していたのですが、職人さんの工具が小さい隙間に入らず錆びたネジが動かなくて、撤去がスムーズに進まなくなるハプニングが起きました。このときに初めて、「ポンプのコンパクト化が進んでるんだっ!」と、ポンプユニットが企業努力によってすごく小さくなっていった経緯の妄想が膨らみました。

解体されたポンプ一式
(画像=解体された各パーツ、「RENOSY マガジン」より引用)

新しい給水ポンプを設置、点検

力技でネジを撤去したあと、新しい給水ポンプシステムを取り付けていきます。

しばらく観察しているうちに、「このポンプは綺麗なお水のための設備なのか?」という疑問がようやく湧いてきました。

素人質問すぎて聞くのも躊躇われましたが、聞いてみました。もちろんそうだよという返答でした。

公共の水道管から

マンションに水を引き込んで

圧力を使ってポンプで水を上の階に送る!

やっと頭の中が整理できました!

敷地内の水道メータ
(画像=公共施設から水を取り込むポイントも、敷地内にありました、「RENOSY マガジン」より引用)

水道管と電気とを繋げ、電源を入れ、ポンプメーカーの方もやって来て水漏れ等のテストもして、無事時間内に工事が終了。再び各部屋の水が出るようになりました。

メインの職人さんがほぼお一人で撤去から設置まで行ったのですが、多岐にわたる技術を駆使していることが見学を通してわかりました。今回もすごい現場を拝見できてとても勉強になりました。ありがとうございました。

新しい給水ポンプの設置が完了
(画像=細部まで丁寧な仕事がなされていました!!!!!、「RENOSY マガジン」より引用)

きれいなお水を入居者の部屋の蛇口まで届ける増圧ポンプユニット。生活に欠かせないとても大切な設備ということがわかりました。

増圧給水ポンプがやっと認識できるように!

見学が終わったあと、初めてネットで「増圧ポンプ」と検索してみました。

給水にはいくつかの方式があり、公共の水道管から直接各部屋に水を送りとどける方式が直接給水で、圧力を使って下から上へと水を運ぶ仕組みが増圧ポンプ(命に関わる大事な2つのポンプ)ということがわかりました。

東京都水道局のホームページに、給水方式の分類が書かれています。

近々、月次報告書に給水ポンプの報告がまた上がってくる時期なので、今度はどのくらいの圧力で部屋まで水が運ばれているのかの項目も、以前よりは理解できるようになっていると思います。

清水まゆみ
RENOSY マガジンスタッフです。 2017年から区分の不動産投資を始めました。メルマガやイベント等でもで初心者の体験談を語っています。 【不動産投資をやってみた】体験レポート