ID為替レポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「円は8月は首位スタート、ユーロとドルが追う」

ドル円=138-143、ユーロ円=153-158、ユーロドル=1.08-1.13

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨10位(11位)、株価4位(4位)、円は8月は首位スタート」
 円は8月は首位スタート、年間では10位と低迷しているが7月は5位でドル円陰線と持ちなおしている。やはり6月の貿易統計が23か月ぶりに黒字となり、7月上旬も1000億円程度の赤字に留まっていることが円の持ち直し、昨年のような急激な円安になってない要因だ。

 昨年の今ごろは月間で1兆円、2兆円の赤字が続いていた。金利差の拡大・縮小で短期には円安・円高になるが、それは貿易赤字・黒字があってこそだ。買い切り・売り切りの玉で需給を歪ませないとトレンドは出来ない。貿易赤字は縮小したが、まだ赤字とも黒字とも言えないフラット状態だ。暫く行ったり来たりしながら実需の需給がトレンドをつくる。OPEC減産、米国利上げ・据え置きのニュースもあるが、約10日ごと発表される貿易統計をチェックしていきたい。黒田前総裁もよく金利差が円相場を決めるのではないと言っていたが、中期の貿易動向と円相場を見れば、金利より貿易需給だとわかる。

 IMFや神田財務官がYCC修正を促していたが、日銀も応じた。その方向性が続く。さてGPIFは4-6月期に18.9兆円の利益を上げた。円安株高メリットは大きいが、なかなか続かないのも事実だ。

*米ドル「通貨6位(6位)、株価(NYダウ)12位(12位)、CPIは小戻しの3.3%予想。今年のドルは中庸」
 世界のインフレは低下しているが、それぞれインフレターゲット内には収まっていない状況(除く南アフリカ)。政策金利の維持はするが利下げには時期尚早といったところだ。
 米国のインフレもロシアのウクライナ侵攻後の2022年6月に9.1%まで上昇したが、現在は3%である。今週は7月分が発表され、予想は3.3%で低下傾向が一服する見込みだ。物価はOEPCの原油減産や、ロシアのウクライナ産穀物輸出合意からの離脱で上昇する不安はある。ただグローバルサプライチェーン圧力指数 (GSCPI)は収まってきている。パンデミックとウクライナ侵攻で4まで上昇したが6月はマイナス0.9だ。

 中国やロシアリスク回避の動きは進んでいる。物価の小戻しはあっても急激な上昇には繋がらないだろう。急激に上昇しなければ、資源取引通貨のドルを買い急ぐ必要もなく、ドルは引き続き強からず弱からずの展開となる。

 フィッチの米国債格下げは多くの有識者が言うように大きな問題ではないが、来年の選挙や債務上限問題には影響してくるだろう。ウクライナ支援を含め景気刺激策の大判振る舞いが出来なくなれば景気悪化のの要因になりかねない。

 また景気後退を回避できる意見も多い。3QのアトランタGDPナウは3.9%、クリーブランド連銀CPIナウは3.89%、恐怖と欲望指数(センチメント)は、82の高値からやや下げて69である。景気は問題なし、株価はやや不安と言ったところか。9月FOMCウオッチは据え置き確率82%である。

*ユーロ「通貨4位(4位)、株価7位(6位)DAX)、脆弱な景気でも経常・貿易収支改善がユーロの支え」
 ユーロ圏のインフレもピークの10.6%(22年10月)の半分の5.3%まで低下したが、目標の2%までは遠いので、ECBからは、まだ引き締め継続の声も聞こえる。ただECBのチーフエコノミストであるレーン理事は、ユーロ圏のインフレ率が今後数カ月で著しく低下するとの確信を示し、金利がピーク水準に近づきつつあることがあらためて示唆された。 域内インフレ率がECBの目標値へ低下するのは2025年になるだろうが、ここ最近のエネルギー価格下落は経済全体のコストを押し下げるだろうと、語った。

 景気はぜい弱だ。2Qのユーロ圏のGDPは前期比0.3%増と、3四半期ぶりにプラス成長に回復した。ただ米国と比べて景気の持ち直しは鈍く、欧州最大の経済大国ドイツは横ばいのゼロ%と低迷した。ただ欧州とは、いつもそういう流れだ。欧州は成熟国の集まりであり、高度成長は聞いたことが無くそれが自然なのだろう。サプライチェーン問題の改善や、資源価格の下落で経常・貿易収支の黒字化が進めば需給的にユーロは底堅くなる。ややECBのタカ派トーンが薄れたことや、テクニカルでボリバン上限からユーロドル下落していたが、下限(1.0880)に近付いたこともあり反発の可能性も出てきた。

*ポンド「通貨3位(2位)、株価19位(19位)、脆弱な経済でも、賃金は急上昇。今週は2Q・GDPの発表」
 ポンドは依然、今年は上位にいる。高インフレでも賃金も急上昇で、金利も下がりにくい。ただ漸く、世界の流れで英国のインフレも22年10月の11.1%から23年6月の7.9%へ低下してきた。英中銀は政策金利を5.0%から0.25引き上げ、15年ぶりの高水準となる5.25%とした。金利が当面高止まりするとの見方を示した。 英中銀は金利の見通しについて「インフレ率を目標の2%に下げるため、必要な期間、十分制約的になるようにする」と表明。「一段と持続的なインフレ圧力の一部リスクが顕在化し始めた可能性がある」と指摘した。

  ベイリー総裁は利下げの時期について推測するのは時期尚早だとした。9月に政策金利が0.25%引き上げられ5.5%になる可能性が高い。総裁は、賃金の上昇ペースは英中銀の前回予想を「大幅に上回っている」と言及。英中銀によると、賃金の伸びは企業の利益率よりも高インフレの大きな要因になっているという。

ハント財務相は英中銀の発表後、「計画通りに行けば、1年後にはインフレ率が3%を下回り、景気後退に陥ることはないだろう」と述べた。成長率については、今年を0.5%と5月時点の0.25%から引き上げた。今年末の賃金上昇率は6%と予想。5月時点の5%から引き上げられた。
 今週は2Q・GDPの発表がある。

*豪ドル「通貨8位(7位)、株価16位(17位)、RBA総裁交代の呪い」
 豪ドルは12通貨中、下位集団にあり弱い。RBAは、前月に続き政策金利を4.1%に据え置いた。これまでの利上げが需要鈍化につながっているとした。ただ、インフレ抑制に向け幾分の追加引き締めが必要になる可能性もあるとの見方は維持した。 予想では36人中20人が利上げを予想するなどエコノミストの間では見方が分かれていた。RBA総裁交代に繋がった金融政策への批判が強いことも配慮されているのだろう。

ロウ総裁は「生活費高騰による圧力と金利上昇を受け、消費の伸びは全体として大幅に鈍化した」と指摘。利上げは需要抑制に働いており、今後もその効果が予想されるとし、据え置き決定は、これまでの利上げの影響と経済見通しを見極める追加の時間を確保するためだと改めて表明した。

コモンウェルス銀行は中銀が年内はしばらく金利を据え置くとの見方を示した。「中銀は引き締めバイアスを維持しているが、再利上げのハードルは高いと予想。中銀が見通しの判断を変えるには、経済指標の予想外の上振れが必要だろう」との見方を示した。

その経済指標は弱い。2Q小売売上高は前期比0.5%減、生活費高騰や金利上昇によって消費者の購買力が低下し、経済成長を圧迫している。今週は消費者信頼感指数 企業景況感指数 インフレ期待 建設許可の発表。来週はRBA議事要旨、賃金指数、雇用統計の発表がある。

*NZドル「通貨9位(8位)、株価17位(18位)、来週政策金利 今週は企業インフレ期待、リセッション経済年」
 豪ドルの後塵を拝し、12通貨中では下位集団。7月からの円高の影響もありボリバン上限から下限までNZドル円は下落した。指標は弱い。2Q失業率は3.6%と、前期の3.4%から悪化した。予想の3.5%を上回った。過去3か月で求人数は急減し、2Qには雇用機会が10.8%急減した。求人数は1年前と比べて23.7%減少した。このデータは、景気後退の真っ只中にあることを示唆している。

 今週は3Q企業インフレ期指数の発表がある。前期は2.79%、予想は2.5%。7月の各種PMIの発表もある。来週は政策金利の発表だが、据え置きの予想。前回の中銀は「政策金利は予見可能な将来において、制約的な水準に維持する必要があるとの認識で一致した」とした。その時、多くのエコノミストは依然として来年の利下げを見込んでいた。 中銀はインフレ率がピークの水準から低下すると予想。「消費支出の伸びは鈍化し、住宅建設活動も減少した。住宅価格はより持続可能な水準に戻った」と分析した。 議事要旨によると、金融政策委員会はインフレ率が24年下半期までに目標の1-3%に低下すると見込んでいる。

これまでの利上げを受けてNZ経済は急激に冷え込み、昨年4Qと今年1Qの2四半期連続で前期比マイナス成長となりリセッション入りした。